土地所有者をマイナンバーで管理

増え続ける所有者不明土地に歯止めをかけるため、
政府は登記簿や戸籍などの関連データを
マイナンバーで一括管理することを検討しています。
関係する行政機関が土地所有者の死亡情報を共有できる
ようにして、所有者不明土地につながる相続の
登記漏れを防ぐ狙いがあります。

 

 

所有者不明土地とは

 

登記簿などの公的書類で調べても現在の所有者が判明しないか、
判明しても連絡がつかない土地のことです。
高齢化や地価下落などを背景に全国的に増えています。
所有者不明土地を遺族が相続登記しないまま放置しておくと、
相続人が増えすぎて相続も売却も困難になるケースが
出てきます。

 

死亡情報を法務局と共有

 

今の制度は土地所有者に登記を義務付けていないうえ、
登記簿を管理する法務局は遺族が死亡を届け出る自治体と
情報を共有できていません。
マイナンバーで一括管理が実現すれば、法務局が死亡届の
提出をすぐに把握して相続人に登記を促せます。
また、自治体が所有者不明土地を調べる際にマイナンバーを
活用できれば、固定資産税の納税状況などを関係機関に
照会しやすくなり、作業が大幅に省力化できると関係者は
期待しているようです。
遺族側にも、転居届をだすだけで登記の住所変更手続きを
済ませることができるなどの利点もあります。

 

 

 

現状の問題点

 

マイナンバー法はマイナンバーの活用分野を社会保障、
税、災害対策の三つに限っています。マイナンバーで
管理する個人情報を土地管理に広げることには国民の
反発も予想されます。

 

 

まとめ

 

民間の有識者研究会の試算によると、全国の所有者不明土地は、
九州より広い約410万㌶(2016年)に及ぶそうです。
政府は所有者不明土地の活用を進めるため、公園や教育施設など、
公益性の高い事業に限って10年間の利用券を与える特別措置法案を
閣議決定するようですが、やはり、このまま増え続ける所有者不明土地を
放置しないため、マイナンバーの活用を今後も検討していっても
よいのではないでしょうか。
政府は今夏にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」にそうした
方針を盛り込み、早ければ来年の通常国会にマイナンバー法改正案などを
提出したい考えのようです。