憧れのマイホーム購入を考えた時、日本国内では新築一戸建ての人気が高いですね。しかし近年では、全国的に家余り状態になっていると言われており、低コストで手に入る中古住宅を選択肢に入れる方も多くなっているようです。
中古住宅であれば、既に建っている家を確認したうえで購入するかどうかを決められますし、前の住人さんの話を聞くことができれば、実際の住み心地の情報なども確認することができます。そのため、新築の購入よりも失敗が少ないと考えている方が増えているわけです。例えば、注文住宅などになると、頭の中で描いていた間取りが実現したものの、想像以上に生活が不便だ…なんてことになるケースも珍しくなく、それであれば、間取りなども細部まで確認し実際のライフスタイルに適しているのかを確認したうえで購入を決められる中古住宅の方が良いと考える方が多くなっているわけですね。また、中古住宅であれば、購入後、そこにすぐに引っ越しすることも可能ですし、住み替えのスケジュールなども立てやすいというメリットが存在します。
こういった理由で、年々中古住宅の人気が高くなっていると言われていますが、本当に中古住宅を選択しても良いものなのでしょうか?実は、中古住宅を購入した方の中には、数年後に「新築を購入しておけば良かった…」と後悔してしまうケースも多いと言われています。そこでこの記事では、中古住宅の一般的なメリットと、中古住宅を購入した方が後悔してしまうポイントをご紹介します。
そもそも中古住宅を購入するメリットとは?
それではまず、マイホームの購入計画を立てている方が、新築戸建てではなく、中古住宅を選ぶ場合のメリットからご紹介しておきましょう。少子高齢化が進む日本では、市場に出される中古住宅が年々増えており、築年数が経過しているということに目を瞑れば立地や間取り、価格などが新築戸建てよりも魅力的に感じる物件は多く存在します。
ここではまず、新築ではなく中古住宅を選択した場合に得られる代表的なメリットをいくつかご紹介しておきます。
メリット1 価格が安い
新築ではなく、中古住宅を選ぶ際の最大のメリットと言えば、なんといっても新築よりも安価で購入することができるという点です。同じような大きさ、間取りの住宅であれば、新築の半額、もしくはそれ以下の値段で販売されているケースも珍しくなく、初期コストを大幅に軽減することが可能です。
家は、築年数が経てば経つほど価格が下落していくものですが、中には新築とさほど変わらないと思えるほど良い状態の中古住宅もありますので、お得に購入できるという点は非常に大きなメリットになります。
メリット2 物件をしっかりチェックできる
中古住宅は、既に物件が建てられている状態ですので、注文住宅などとは異なり、内装や外装、設備などをくまなくチェックすることができます。物件によっては、まだ人が住んでいる状態で内覧することも可能で、自分たちがそこで生活することをイメージしやすく、購入後に実は住みにくかった…などと言ったことになりにくい点がメリットです。
新築でも、建売であれば物件自体は確認できるのですが、家具などが何も設置されていない状態ですので、実際の生活はイメージしにくいです。そのため、物を置いてみるとイメージと違ったなんてことになるケースもあるのです。中古住宅の場合、内覧時のイメージ通りの使い勝手になりがちという点が大きなメリットです。
メリット3 好立地な物件が多い
近年では、都市部で「駅チカ」「スーパーや病院が近隣」など、生活利便性が高い立地条件であれば、マンションなどの集合住宅用地として利用されることが多いです。そのため、新築戸建てを建てる新規開拓地は、比較的駅から遠く利便性に難があるケースが多くなっています。
これが中古住宅であれば、まだ土地に余裕があった時代に建てられていますので、好立地の物件を比較的安価に手に入れる事が出来ます。
メリット4 資産価値の下落幅が小さい
4つ目のメリットは、それなりに築年数が経過した中古住宅であれば、購入時の資産価値をある程度キープしてくれるという点がメリットです。家にも寿命というものがあり、その価値は法定耐用年数と言うものを参考に決められています。家の法定耐用年数は22年に設定されているのですが、新築の場合、築20年あたりで建物の価値が0になると言われるほど急激に資産価値が下落していきます。
ただ、家が築20年を過ぎると住めなくなるというわけではなく、きちんとメンテナンスしていれば、30年、40年経っても普通に利用できるものです。こういったことから、築20年程度のまだ状態の良い家を「土地価格」程度で購入しておけば、その価値をキープしながら住むことができるというメリットがあります。
中古住宅を選んで後悔するポイントとは?
それでは、憧れのマイホームとして中古住宅を選択した方が後悔してしまいがちなポイントをご紹介していきましょう。中古住宅には、上記のようにたくさんのメリットがあるのですが、家を購入する決め手が価格に左右されてしまっていることから、実際に住み始めて後悔してしまう方が多いと言われています。
実は、平成31年3月に国土交通省住宅局より発表された「平成30年度 住宅市場動向調査~調査結果の概要~」によると、中古戸建住宅を購入者した人の約60%は価格面を重視して中古住宅を選んだと答えています。もちろん、家の購入は非常に大きなお金が動きますし、価格面を重視したくなる気持ちも分かります。
しかし、価格ばかりに注目して中古住宅を購入した方の中には、以下のようなポイントで、その選択を後悔してしまうようです。
設備の面で後悔してしまう
中古住宅を選択する場合、新築と比較すれば、設備がある程度古くなっていることを承知して購入するものだと思います。要は「設備が古くなっているから手入れは必要」という認識は初めから持っているはずなのですが、いざ住み始めてみると、想定していた以上に劣化している…と言うことに気付き、中古住宅を選んだことに後悔してしまうケースが多いです。
例えば、綺麗にリフォームされていることを考えると「安いな!」と考えて購入した中古住宅で、給湯設備や排水管、換気設備など、内覧時には分からなかった設備の劣化が住み始めてから分かり、後からお金ばかりかかってしまった…と言うケースが考えられます。
このような事態にならないようにするためには、以下のようなポイントはきちんと確認しておきましょう。
- 給湯器の交換時期について
⇒一般的に給湯器の耐用年数は10~15年程度と言われています。現状設置されている給湯器が何年使用しているものなのかによって、住み始めてからの交換時期を予想しましょう。 - 換気扇の交換時期について
⇒換気扇についても10~15年程度が寿命と言われています。 - 配水管について
⇒配水管については、内覧時に自分の目で確認することなどは難しいです。したがって、どのような材質の物が採用されているのか、また前の住人がどの程度の頻度で清掃していたのかを確認して、劣化度を予想しておきましょう。 - 防水処理について
⇒家全体の防水処理についてはきちんと確認しておきましょう。実際に、屋根や外壁が綺麗に塗装されていることからメンテナンスが行き届いていると購入したものの、コーキングなどの防水処理が放置されていたことで、直ぐに雨漏りが始まるなんてトラブルは多いです。
中古住宅の購入は、単に見える部分が綺麗で予算内なのかに注目していてはいけません。家は、目に見えない部分ほど劣化の進行が早いものですし、見えない部分についてもしっかり確認したり、質問したりしましょう。なお、給湯設備などに関しては、寿命が近くすぐに交換が必要…なんて場合、その費用分を値引きしてもらうなどの交渉に使えば良いと思いますよ。
税制優遇措置が無い事
中古住宅は、新築と比較して安く購入できるという点がメリットです。つまり、お金の面で有利だと考えて中古住宅を選択するわけですね。
しかし実は、中古住宅を購入した方の中には、お金の面で後悔し「新築にすれば良かった…」と考える方も少なくないのです。なぜかというと、中古住宅は、新築購入者が受けられるような税金の控除や軽減措置が受けられないうえ、家の維持管理に想像していた以上のお金がかかってしまうケースが多いからです。要は、安く購入できる点をメリットと思っていたのに、「新築よりお金がかかっているのでは?」と考え始め後悔してしまうという訳ですね。
中古住宅は、固定資産税の控除や住宅ローン控除を受けるために、一定の要件を満たしていなければいけません。購入前にこの部分を無視してしまうと、新築であれば受けられていたはずの優遇が受けられなくて、さらに家のメンテナンスが新築よりも多くなることから、初期コストの安さが数年で逆転してしまう…という状況になってしまう場合も少なくないのです。また注意しておきたいのは、中古の戸建て住宅の場合、リフォームすることで建物の固定資産税が増えてしまう場合もあります。
近隣トラブルの面
中古住宅が売りに出された理由もきちんと確認しておいた方が良いですよ。これを確認せずに、物件価格や立地、建物の状態などで購入を決めた場合、住環境の問題が後から立ちはだかってしまうケースも少なくありません。中古住宅は、既に建築されている物件を購入するわけですので、近隣住民との関係や近隣環境は変えようがなく、既に定まっています。この部分が思惑と異なってしまい、後悔してしまうケースも多いようです。
例えば、昼間に内覧して「静かな環境だな」と思ったのに、夜間はうるさかった…、近隣に騒音を出す家庭があった…、物件購入後に高い建物が建って日当たりが悪くなってしまったなんてケースが多いですね。
もちろん、物件周りの環境に関するポイントを全て把握することなど難しいのですが、生活環境に関わる事は可能な限り詳しく調べておく方が良いですよ。中古住宅は、購入したいと思う方がいる一方で「売りたい!」と考える何らかの理由があるのも事実なのです。
まとめ
今回は、マイホームの選択肢として中古住宅を選んだ場合に、購入者が後悔してしまいやすいポイントについてご紹介してきました。
この記事でご紹介したように、中古住宅は、新築住宅よりも安価に購入することができるというメリットから、新築に拘らない人であれば非常にありがたい存在になっています。ただし、中古住宅の安価だというメリットに関しては、全ての物件で言えることではないのその辺りは注意しておいた方が良いですよ。
例えば、ぱっと見で状態がよさそうに見える物件でも、設備や目に見えない位置で劣化が進んでいて、購入後に多額のリフォーム費用がかかってしまい「こんなことなら新築を買えば良かった…」なんてことになるケースが意外に多いのです。もちろん、住宅の売買では、購入後に目に見えなかった劣化があればそれを売主に補修させることができる契約不適合責任と言うものがあります。しかし、この制度は契約書で免責されていれば、売主は何の責任もとらなくて良くなりますので、よく確認せずに購入してしまうと、全て買主の責任で修繕しなくてはならなくなるケースも多いのです。
つまり、中古住宅は、一見安価に家が手に入る選択肢に見えますが、中長期的に見ると、税制優遇やメンテナンスコストがかからない新築の方が安くつくケースも多いと覚えておきましょう。