生活に必要不可欠な『道路』!今さら聞けない公道と私道の違いをご紹介

日常生活のなかで、誰もが何気なく利用している道路。普通に生活する際には、道路に関して深く考えるようなことはありませんが、いざ憧れの戸建て住宅を購入しようと思った時には、不動産屋さんの口から道路に関する言葉が頻繁に登場し、何のことやら分からない…と困ってしまう人も少なく無いのです。

例えば、不動産屋との打ち合わせ時には「私道が~」や「みなし道路が~」などと、道路に関する用語が良く登場することになりますので、これから憧れの戸建て住宅の購入を検討しているという方は、道路の基礎知識についておさえておいた方が良いでしょう。
皆さんも、これまで生きている中で『公道』という言葉は耳にしたことがあると思うのですが、これが何を指しているのかはご存知でしょうか?一般的には、バスや自動車が走っている、人通りが多い道路のことを公道と認識している方が多いのですが、「私道との違いは何?」と聞かれて、即座に答えることができる人はどの程度いるのでしょうか?この記事を読んでいただいている方の中でも、明確な違いをすぐに答えられる人は少ないと思います。

しかし、これから新築戸建て住宅の購入を検討しているのであれば、公道の定義や私道との違いは意外と重要になってきます。そこで今回は、誰もがおさえておきたい道路の基礎知識をご紹介します。

そもそも『公道』の定義とは?

それではまず、『公道』がどういったものなのか?という疑問から解決していきましょう。

誰もが一度は聞いたことがある『公道』という言葉ですが、これは幅広い意味で使われています。ちなみに、公道という言葉は法律で定義されているものではなく、いろいろなケースにおいて違う意味を持って使われていますので、意外とわかりにくいものです。『公道』は、狭義的には「道路法上での道路」のことを指しており、広義的には「公衆の通行のために設けられている道路」のことを指しています。なお、道路法上の道路は以下のものです。

  • 高速自動車国道
  • 一般国道
  • 都道府県道
  • 市町村道

道路法上の道路以外の『公道』は、農道や林道、河川管理用道路に自動車道などがあります。なお自動車道に関しては、そのほとんどが民間事業者が管理・運営をしているのですが、公共性が高いことから『公道』に含まれることが多く、これらの交通には道路交通法が適用されます。
注意が必要なのは、建築基準法では、以下で紹介する『私道』を道路とするケースもあり、この道路を公道と呼ぶこともあるのです。

それでは、上記のような公道の定義をそれぞれご紹介しておきましょう。

一般国道の定義

まずは、日常生活の中でも良く登場する『国道』です。これは、日本国内どこに住んでいる方であっても、非常に馴染みのある道路ですね。普段の生活の中でも、道案内の際など「国道〇号線を真っすぐいって…」などと、会話の中でもよく登場する道路です。

この国道の定義は以下のようになっています。

道路法第5条では、「高速自動車国道と併せて全国的な幹線道路網を構成し、かつ、次の各号のいずれかに該当する道路で、政令で路線指定されたもの」としており、以下の各号を挙げている[3]。

1.国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地(北海道の支庁所在地を含む。)その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市(以下「重要都市」という。)を連絡する道路(国道1号、国道4号など)
2.重要都市又は人口10万以上の市と高速自動車国道又は前号に規定する国道とを連絡する道路(国道162号、国道428号など)
3.2以上の市を連絡して高速自動車国道又は第1号に規定する国道に達する道路(国道259号など)
4.港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第2項に規定する国際戦略港湾若しくは国際拠点港湾若しくは同法附則第2項に規定する港湾、重要な飛行場又は国際観光上重要な地と高速自動車国道又は第1号に規定する国道とを連絡する道路(国道131号、国道177号など)
5.国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市と高速自動車国道又は第1号に規定する国道とを連絡する道路(国道464号、国道475号など)
引用:Wikipedia

いろいろと難しく説明されていますが、要は『主要な都市を結ぶための道路』と覚えておいて間違いありません。

都道府県道

次は、『都道』や『県道』と呼ばれる道路についてです。これも自動車で移動している際などには、標識などでよく見かける道路ですね。

都道府県道の定義は以下のようになっています。

地域的な幹線道路網を構成し、かつ、以下の各号のいずれかに該当する道路で、都道府県知事がその都道府県の区域内の部分について当該都道府県議会の議決を経て路線を認定したもののことをいう(道路法第7条)。ただし、政令指定都市を通過するもの、他都府県の区域に亘るものについては、それぞれに協議等の手続きを定めた規定がある。そのうち、都(東京都)が認定したものを都道(とどう)、道(北海道)が認定したものを道道(どうどう)、府(大阪府・京都府)が認定したものを府道(ふどう)、その他の43県が認定したものを県道(けんどう)という[2]。

1.市又は人口5000人以上の町(以下これらを「主要地」という)とこれらと密接な関係にある主要地、港湾法第2条第2項 に規定する重要港湾若しくは地方港湾、漁港漁場整備法(旧称・漁港法)第5条に規定する第二種漁港若しくは第三種漁港若しくは飛行場(以下これらを「主要港」という。)、鉄道若しくは軌道の主要な停車場若しくは停留場(以下これらを「主要停車場」という。)又は主要な観光地とを連絡する道路
2.主要港とこれと密接な関係にある主要停車場又は主要な観光地とを連絡する道路
3.主要停車場とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
4.2以上の市町村を経由する幹線で、これらの市町村とその沿線地方に密接な関係がある主要地、主要港又は主要停車場とを連絡する道路
5.主要地、主要港、主要停車場又は主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道、一般国道又は前各号の一に規定する都道府県道とを連絡する道路
6.前各号に掲げるものを除く外、地方開発のため特に必要な道路
引用:Wikipedia

上述した国道よりも少し範囲が限定的になっています。こちらは都道府県が認定しています。

市町村道

最後は、市町村道です。上2つからだいたい予想がつくと思いますが、以下のような定義をされています。

市町村道は、大きく2つに分けられる。

・幹線市町村道: 国道(高速自動車国道・一般国道)を補完し、都道府県道(主要都道府県道・一般都道府県道)とともにその地方の幹線道路網を構成する道路
・一般市町村道: それ以外の市町村道。日常生活に必要となる生活道路
市町村道は膨大な延長があるため、特に幹線市町村道を優先して整備が行われている。幹線市町村道は、その重要度に応じて幹線一級市町村道、幹線二級市町村道に分けられている。

幹線一級市町村道
・都市計画決定された街路
主要集落(戸数50戸以上)と、その集落と密接な関係にある他の主要集落とを連絡する道路など
幹線二級市町村道
・集落(戸数30戸以上)同士を連絡する道路
・集落と、その集落と密接な関係にある一般国道、都道府県道、幹線一級市町村道とを連絡する道路など
引用:Wikipedia

市町村道は、国道や県道などと比較すると、目的の範囲が狭く、簡単に言うと集落同士を結ぶ生活に必要な道路のことを指しています。

『公道』と『私道』の違いは?

それでは、『公道』と『私道』の違いについても簡単にご紹介しておきましょう。『市道』と『私道』は、両者ともに「しどう」と読みますので、口にすると非常にややこしいのですが、公道との違いをきちんと押さえておかなければ、意外な落とし穴があるのです。

そもそも、上述した公道と私道の区別に関しては、道路の所有主体で判断するのではなく「管理主体」で判断するものです。もう少しわかりやすく説明すると、国や地方自治体、公共団体などが管理主体となる道路が『公道』であり、私人が管理主体となる道路が『私道』となるのです。

皆さんが覚えておきたい『私道』に関する知識としては、道路の維持管理は所有者が行わなければいけないため、私道の舗装を行う時には所有者が自費で行わなければならないということです。ちなみに条件を満たしている場合には、自治体などから補助金の交付を受けることも可能です。他にも、私道はあくまでも個人や団体、企業が所有・管理する道路のため、公道のように誰でも通行して良いものではないということです。私道を利用したい場合には、所有者から承諾を受ける必要があるのです。例えば、私道に面した土地に建物を建てる場合などは、私道の所有者から「車両通行承諾書」「道路掘削承諾書」などの承諾を得なければいけないのです。さらに、私道に埋設されている給水管や配水管が個人や企業の所有物である場合、その使用に関しても承諾を得なければいけません。

なお、新築戸建ての建築を検討している方にとっては、建築基準法第43条第1項に定められている「建築物の敷地は、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならない」という『接道義務』に関しても深くかかわってきます。
地方などであれば、前述の接道義務を満たすことはそこまで難しくないのですが、東京や大阪などの都市部になるとなかなか難しい条件になっているのです。こういった場合に、不動産屋さんとの打ち合わせで登場するのが『私道』や『みなし道路』という言葉なのです。
将来的にあなたも関わる問題かもしれませんので、「どういったものなのか?」という表面的な知識だけでもおさえておきましょう。

まとめ

今回は、日常生活の中ではあまり気にすることのない道路の基礎知識についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、一口に『道路』と言っても、いろいろな種類が存在しており、細かく見ていけばそれぞれの道路の目的や役割が異なるのです。もちろん、普通に生活しているだけであれば、気にする必要のない知識ですので、知らない人の方が多いのも当たり前かもしれません。

しかし、新築戸建ての購入を検討している方であれば、不動産屋さんとの打ち合わせで道路に関する話題が登場してきますので、覚えておいた方が良いかもしれませんね。