これから憧れのマイホームの購入を検討している方は、購入する家に何を求めたいと考えていますか?当然、家族の日常生活が不便にならないような利便性は求めたいし、どうせ買うなら外観や家の中も自分の好みに沿ったデザインの家にしたいと考えることでしょう。しかし、家を購入するとなると、家族がそこに何十年も住んでいくことになるわけですし、何より重視したいのが「家族が安心して安全に暮らしていける家」と言う条件を最も重視するという方が多いと思います。 特に日本という国は、古くから地震や台風などの自然災害が非常に多い国として有名で、近年ではこれに加えて集中豪雨による水害なども多発するようになっています。こういったことから、家の購入時には「自然災害に強い家が良い!」と考える方が非常に多くなっているのですが、何に注意して家を選べば『災害に強い家』を購入できるのかがイマイチ分からないという声も多いです。 そこでこの記事では、さまざまな災害から大切な家族を守るため、災害に強い家を選ぶためにおさえておきたい基礎知識をご紹介していきます!
備えるべき災害について
日本国内で「災害に強い家」を建てようと思った場合、まず問題となるのが「そもそもどの災害に備えれば良いのか?」と言うことです。一口に災害と言っても、地震に台風、豪雨による洪水に大雪、雷に火災など、さまざまな災害が存在しています。もちろん、家を建てるための予算がいくらでもあるというのであれば、全ての災害対策をおこなえば良いと思いますが、普通は予算に限りがありますので、全てに備えるというのはなかなか難しいものです。また、被害の可能性がある災害に関しては、地域特性なども関連してきますし、「災害に強い家」を建てる時には、備えるべき災害の優先順位を決めるということも意外に重要です。
激甚災害のほとんどは地震と水害
皆さんも、大規模な災害が発生した後のテレビなどを見ていた時に「激甚災害の指定がうんぬんかんぬん…」と言った放送がされているのを見たことがあると思います。これは、災害の中でも特に被害が大きかった時に、法律に基づいて激甚災害に認定するという決まりがあるからですね。激甚災害に指定された場合、特別の財政助成措置が講じられると決まっていますので、テレビなどでも紹介するわけです。 それでは、ここ最近、激甚災害に指定された災害はどの程度あるのでしょうか?日本は、毎年台風や水害などが発生していますし、地震は毎日どこかで発生しているような国です。それでも、激甚災害の指定に関しては、2018年に4件、2019年に3件となっています。そして、激甚災害に指定された災害の内訳は、2018年で「暴風雨(豪雨):3件、地震:1件」、2019年に関してはその全てが暴風雨(豪雨)となっています。さらに、これ以前の傾向を確認したとしても、激甚災害指定されるのは、そのほとんどが地震と暴風雨(豪雨)による水害なのです。 こういった事を踏まえると、マイホームの災害対策を検討した場合、地震と暴風雨(豪雨)による水害への備えを優先的に検討すべきと考えられるのではないでしょうか。
そもそも「災害の備え」とは?
お客様と新築の打ち合わせを行う時には、必ずと言ってよいほど「災害に備えたい」と言うお話が登場します。しかし、意外に明確になっていないポイントとして、そもそもマイホームの災害対策を検討する目的がかなりあいまいになっているという問題があります。 マイホームの災害対策については、大きく分けて2つの目的が存在していると考えてください。まず一つ目は、家に生じる災害による直接的な被害を最小限にすること。二つ目は、何らかの被害を受けた後も、そこで問題なく生活が続けられるようにすることです。 大規模地震などへの備えと考えた場合、地震の揺れによって建物の倒壊や家具の転倒などを可能な限り防ぎ、家族の命を守るというのが一つ目です。そして二つ目は、地震後に停電や断水など、ライフラインがストップしたとしても通常の生活を続けられるということですね。 このような災害対策の目的を明確にしたうえで、主に地震や水害による直接的な被害を可能な限り防ぐというのが、日本国内における『災害に強い家』と言えるでしょう。
災害に強い家の要素とは?
それでは次に、災害に強い家を建てるor購入する時、どのような点に気を付けておけば良いのかについても考えていきましょう。無尽蔵に予算を使えるというわけではない場合、以下の要素をしっかりと確認しながら、購入する家を選ぶのがオススメです。
ポイント① 立地
日本は、諸外国と比較すれば、国土が狭いと言われますが、それでも場所によってそれぞれの地域特性があります。そして、どの地域に家を購入するのかによって考慮すべき災害も変わりますよね、例えば、大阪市内に家を購入するなら、大雪による災害は無視して構わないのですが、北海道となると雪による災害の優先度が高くなるといった感じです。 さらに、ここまで極端ではないものの、同じ大阪市内だとしても、立地によって災害の危険度は変わってきてしまうのです。家購入時の立地は、生活利便性の話と考える方が多いのですが、立地は、家が建っている土地の地形や地盤なども意味しています。分かりやすく言うと、河川が近くにあるのか、周辺よりも高い(低い)位置か、建物を支える地盤はしっかりとしているかなどを指していて、災害に強いということを考えた場合、非常に重要になります。
ポイント② 建物構造
災害に強い家にするには、家そのものが災害に耐えられるだけの構造をしていなければいけません。建物の構造には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの工種を始めとして、主要構造部(基礎・柱・壁・屋根など)がどのように造られているのかを意味します。 なお、災害に対する強さを考える場合、建物の高さや形状なども関係してきます。分かりやすく言えば、背の高い家よりも低い平屋などの方が、地震の揺れの影響は少なくなるといった感じです。
ポイント③ 間取りや設備
上述したように、『災害に強い家』の条件は、被災後も通常の生活を続けられるかどうかも関係します。そして、この部分に大きく関係してくるのが、建物そのものの強度だけでなく、間取りや導入されている住宅設備なのです。 激甚災害に指定されるレベルの大規模災害後は、水道、電気、ガスなどのライフラインがストップしてしまい、復旧までに時間がかかるなんてことも珍しくありません。家族がそのような状態でも安全・安心して生活をするための備えも災害対策と言えますよね。
災害対策を考えた立地とは?
それではここからは、災害に強い家を建てたいという方が検討しておくべき各要素について、もう少し詳しくご紹介していきましょう。まず、ポイント①の「災害対策を考えた立地」の問題からです。ここでは、地震と水害に強い立地についてどう判断するのかを確認しておきましょう。
地震に強い立地
日本は地震が非常に多い国ですので、誰もが地震に強い家を求めると思います。それでは、地震に「強いor弱い」立地はどう判断すべきなのでしょうか?このポイントについては、主に土地の地盤の良し悪しで判断すべきものです。 例えば、低地や沼地、埋立地などに関しては、地盤が柔らかいので、そこに建つ家は地震に弱いとされています。これは、地盤が柔らかい土地と言うのは、地盤が硬い土地よりも震度が大きくなるということが分かっていますし、揺れによって液状化現象が発生してしまう恐れがあるためで、地震に強い家が欲しいと思った場合は、より硬い立地を選ぶことが良いとされているのです。 なお、現在の日本の法律では、建築時の地盤調査が義務となっていて、十分な地耐力(地盤が重みに耐えられる強さ)が無いと判断される場合、一定以上の地耐力を確保するため、地盤の補強工事が行われます。地盤の強さは、「地盤サポートマップ」などで確認できます。 > 地盤サポートマップ
水害に強い立地
水害に強い立地に関しては、地震よりも分かりやすく「河川の氾濫や洪水で被害を受けにくい土地かどうか?」で判断することができます。一般的に、海や河川の近く、低地などが水害の危険度が高くなると言われています。ただし注意が必要なのは、近年では、集中豪雨による都市型洪水が頻発しており、必ずしも河川の近くだけが危険だとは言えない状況になっています。市街地でも、排水機能が間に合わず、道路が冠水している…と言うようなニュース映像を皆さんも見たことがあるでしょう。 こうした水害に関しては、その危険度を地図上に表したハザードマップが公表されていますので、住みたいエリアでより安全だと考えられる立地を探してから、家を選ぶと良いでしょう。 > ハザードマップポータルサイト
災害対策を考えた構造とは?
それでは次に、地震や水害に強い家を作るための二つ目の要素となる構造に関しても見ていきましょう。
地震に強い構造と耐震等級について
建物の耐震性に関しては、その構造に左右されると言っても良いでしょう。一般的には、木造よりも鉄筋コンクリート(RC)造などの方が頑丈で耐震性が高くなると言われています。ただし、RC造の戸建ては、木造と比較すれば建築コストがかなり高額になるので、現状では一般的ではありません。ここでは、日本国内で選ばれることが多い、木造に関して解説しておきます。 地震に強い構造を考えた場合、家は全面にコンクリートを敷設する「ベタ基礎」以上が望ましく、屋根には軽量なスレートやガルバリウム鋼板などの金属が有効とされています。屋根が軽量になれば、家の重心が低くなるので、建物の耐震性が高まるのです。さらに、地震の揺れに対する壁の強さに関してですが、これは「壁倍率」という数値で表され、一般的に、柱と筋交いで造られた壁よりも、柱と合板などの面材で造られた壁の方が揺れに強い構造になるとされています。なお、建物の形状については、凹凸が少ない正方形に近い形状の方が揺れによるねじれなどにも強くなるとされています。近年では、木造戸建て用にも「制振装置」「免震装置」などが登場しており、これらを採用することで建物の耐震性を高める事が出来ます。 このような、建物の地震への強さを表すために、耐震等級と言う評価がされるようになっています。耐震等級は、以前別の記事でまとめていますので、そちらを確認してください。耐震等級には、1~3までの評価があり、数字が大きくなるほど評価が高くなります。地震後の復旧やそこで生活することを考えた場合、耐震等級は2以上、可能であれば最大の3がオススメです。 関連:納得できる家づくりのために『耐震等級』の基礎はおさえておきましょう!
水害に強い構造
引用:国土交通省「浸水の予防・人命を守る家づくり」 水害に強い家の構造については、上図のように「浸水」しにくい構造の家を指しています。水害では、「床下浸水」と「床上浸水」という言葉を耳にすると思うのですが、どちらにせよ、建物の劣化を急速に進めてしまうような大問題に発展します。なお、水害に強い家の条件は、以前別記事でまとめていますので、以下の記事をご参照ください。 関連:戸建住宅の水害対策。水害に強い家の特徴や直前にできる水害対策について
災害対策を考えた間取りや設備とは?
最後は、3つ目の要素である間取りや設備に関してです。上述しているように、激甚災害に指定されるような大規模災害が発生した場合、水道や電気、ガスなどのライフラインが長期的に停止してしまうようなことも珍しくありません。実際に、数年前に千葉県を襲った大型台風では、千葉県全域に停電被害が発生してしまい、さらに地域によっては電気が1か月間も復旧しなかった…と言う事例も存在しているのです。つまり、災害に強い家の条件を考えた場合、「建物が災害に耐えられる」ということだけではなく、災害後も家族が通常の生活を安全に続けられるという条件も非常に重要になるのです。 まず間取りに関してですが、大規模地震では、揺れにより大型家具が転倒してしまい、それに人が巻き込まれてしまう…なんて危険がありますよね。他にも、大型家具に出口を塞がれてしまい、スムーズに避難できなくなってしまう…なんてことも少なくありません。「災害対策に間取りは関係ない…」と思った方でも、ここまで説明すれば、家族の安全を考えた場合、災害と間取りが非常に密接な関係があるとわかるでしょう。 例えば、地震への備えとして間取り考慮する場合、大型家具の転倒を気にしなくて済む、造り付けの収納を多く設置すれば、家族の安全性を大幅に高めることができるでしょう。実際に、阪神・淡路大震災では、家具の転倒による圧死や怪我が多く発生しており、その被害を少なくするには、家具を置かなくて済む間取りが最も安全なはずです。他には、上述した、耐震性の高い構造を検討すれば、災害時の安全な避難も実現しやすくなるでしょう。 次に、災害後の生活を考えた場合です。この部分に関しては、大規模災害後は「スーパーやコンビニなどが営業できないので食料の確保が難しくなる」「水道や電気などのライフラインがストップする」と言う点を意識しておきましょう。 このポイントがわかっていれば、「食料の確保が難しくなった時のため食料を備蓄しておく」ための備蓄庫(パントリー)があれば非常に助かりますよね。備蓄庫に、長期保存可能な水や缶詰などを保管しておけば、万一の災害時でも家族の食料を確保することができます。他にも、太陽光発電や蓄電システムを導入しておけば、大規模停電が発生した時でも、自家発電した電気で生活を進めることができます。給湯器に関しては、エコキュートなど、貯湯式の給湯システムを選ぶことで、断水時の非常用水を確保することができます。 このように、家を建てる時に導入する住宅設備に関して、利便性だけで選ぶのではなく、災害時に家族を守る機能があるのかも考えておくことで、『災害に強い家』を実現することができます。 関連:災害大国と言われる日本では、停電への備えがとても大切!
まとめ
今回は、マイホームの購入時に誰もが気にすることである『災害に強い家』の条件についてご紹介してきました。むとうの家に相談していただくお客様の多くも、可能な限り災害に強い家にしたいという要望を持っている方がほとんどです。もともと、大阪は他の地域と比較すれば災害が少ない地域と言われますが、それでもいつ発生するのかがわからないのが災害ですので、家族の安全を考えた場合、「できるだけ安全な家」を求めるのは当然ですよね。 しかし、このようなお客様でも、具体的に災害に強い家がどういったものなのかを全く理解していないケースが非常に多いのが実情です。災害に強い家は、この記事でご紹介したような要素を兼ね備えておく必要があり、場合によっては「その他の点を我慢する」必要もあるということは頭に入れておいた方が良いですよ。 もちろん、一般の方が建物の構造条件などを自分で全て調べて災害に強い家を計画するのはなかなか難しい事ですので、まずはお気軽弊社まで音岩瀬ください。