エアコンをつけても冷えない…冷房が効かない理由と対処法について

今回は、夏場の生活を快適にしてくれるエアコンについて、皆さんがおさえておきたいポイントをご紹介したいと思います。

近畿地方でもようやく梅雨明け宣言がなされ、これから本格的な夏がやってきます。今年の夏は、新型コロナウイルス問題もあり、例年のように屋外でレジャーを楽しむなんてこともなかなか難しい状況です。こうなってしまうと、家の中で過ごす時間も多くなるため、快適な生活空間を保つためにはエアコンが欠かせない設備となってくるでしょう。一昔前までであれば、「エアコンなんてつけなくても問題ない!」なんて言う人も多かったのですが、近年の日本の夏は年々猛暑化が進んでいますし、エアコンなしでの生活は熱中症の危険性が指摘されており、使用を推奨されているのです。

しかし、エアコンをちゃんとつけているのに部屋の中が全く涼しくならない…なんて状況に陥ったことは皆さんもあるのではないでしょうか?エアコンの吹き出し口からきちんと風が出ているものの、なかなか部屋が冷えなくて「エアコンが故障してしまったのかな…」と不安になった経験は誰にでもある事だと思います。
エアコンをつけているのに部屋が冷えない場合には、誰もが故障を疑うものですが、実は故障と判断する前にいくつかチェックしておきたいポイントがあるのです。そこでこの記事では、エアコンが効かない…となってしまった場合、その原因や対処法についてご紹介します。

原因① エアコンの汚れ

エアコンの効きが悪い…と感じた際に、まず最初に疑うべきなのは『フィルターなどがホコリで詰まっていないか?』ということです。

多くの方は、季節の変わり目など、エアコンを使い始める前にフィルターなどの清掃を行っていると思いますが、これを行っていない場合にフィルターにホコリなどがこびりついてしまうのです。エアコンはフィルターやファンが風の通り道となるのですが、長期間掃除もせずに放置するとホコリがどんどん蓄積してしまい、フィルターが目詰まりを起こしてしまうことで冷房などの効きを悪くしてしまうものなのです。

最近では、自動掃除機能付きのエアコンなどが登場しており、そういった機種であれば人が掃除する必要などないと考えてしまう人が多いです。しかし、こういった機種でも、フィルター表面のお掃除は行ってくれるものの、フィルターの隅やファン、エアコンの内部などは掃除できないのです。つまり、お掃除機能付きの最新機種を導入していたとしても、定期的なエアコンのクリーニングは必要ということです。

対処法について

エアコンの汚れが原因で効きが悪くなっている場合、フィルターなどをきちんと掃除して詰りを取り除いてあげることで調子を取り戻すことができるでしょう。エアコンの清掃方法に関しては、取扱説明書に記載されていますので、そちらを参考にお掃除しましょう。
自分で可能な範囲を掃除したのに、それでも効きが悪い…といった場合は、一般の方では掃除が難しいエアコン内部の汚れが原因かもしれません。長く使用しているエアコンであれば、一度プロに清掃を依頼すると良いでしょう。なお、エアコンの定期的な清掃には以下のようなメリットが存在します。

  • 効率的に稼働できるようになるため、電気代の節約につながる
  • フィルターにゴミが詰まっていると、風と共にハウスダストが噴出しアレルギー症状などを引き起こしてしまう危険があります。定期的に清掃することは、こういった障害のリスクを減らすことにつながります。
  • 長く清掃していないエアコンは、稼働時にカビ臭さなどを感じることがあります。きちんと掃除ができていれば、エアコン特有の嫌なにおいがしなくなります。

原因② 室外機の不調

室内に設置されるエアコンについては、定期的に清掃を行っているという方が多いのですが、そういった方でも見落としてしまいがちなのが『室外機』です。エアコンの室外機は、室内の暖かい空気を排出するという役割を持っており、室外機が正常に動作できない場合には、冷房の効きが悪くなってしまうのです。例えば、室外機の周囲に植木などいろいろなものを置いている、室外機が汚れているなどと言った場合、室外機から熱を放出しづらくなり冷房の効きが悪くなるのです。

また、室外機を直射日光に当たる場所に設置している場合も、熱が逃げづらくなり効きが悪くなると言われています。ちなみに、室外機が直射日光で熱せられる場所に設置した場合、冷房が正常に効いていたとしても、効率が悪くなってしまうため電気代が高くなってしまう恐れがあります。

対処法について

室外機が原因と考えられる場合には、以下のような対応をしましょう。

まず、室外機周辺に植木や自転車など、何らかの物を置いている場合、それらの物を別の場所に動かし、室外機周辺には何も置かないようにしましょう。また、直射日光に当たる場所に室外機がある場合、自分では動かすのは無理ですので、すだれなどで日光を遮断するようにしましょう。

室外機の汚れに関しては、吹き出し口やフィンなどであれば自分で掃除することができますので、定期的に汚れを落とすようにしましょう。なお、室外機は雨ざらしでも問題ないように作られていますので、水を使用して掃除が可能です。室外機内部の掃除となると、分解しなければいけないので一般の方が掃除するのは難しいです。汚れがすでにたまっているようであれば、プロの業者に依頼するのがオススメです。

原因③ エアコンの冷媒ガスが漏れている

エアコンには、熱を運搬する『冷媒ガス』が配管に充填されており、これにより温度調節ができるようになるのです。しかし、何かの拍子に冷媒ガスが漏れてしまうと、その温度調節ができなくなり、冷房が効きにくくなるのです。

新しく購入したばかりや引っ越しした後から効きが悪くなった…というのであれば配管の取り付けミスが考えられますが、多くの場合、配管の経年劣化による腐食でガス漏れしてしまっているというのが原因です。なお、冷媒ガスの漏れについてはエアコン本体側のガス漏れと、室外機側のガス漏れの2通りが考えられます。どちらのガス漏れかを判断するには以下のポイントを確認しましょう。

  • エアコン内部を確認し、熱交換器周辺に霜がついているのであれば本体側の問題です。
  • 室外機のドレンホースに霜がついているのであれば室外機の問題です。

対処法について

新しく購入したばかりなのにエアコンが…、引っ越し後にエアコンが…となった場合、取り付け業者のミスが考えられますので、業者に連絡してガスを補充してもらいましょう。この場合、無償で対応してもらえると思います。

経年劣化による配管の破損が原因でガス漏れしている場合は、エアコン業者に有償で修理してもらう必要があります。ただし、ガス漏れの修理に関しては2万円以上が修理費用の相場となっているため、決して安くありません。このコストを嫌って自分でガスの補充をしようとする方もいますが、専門知識が必要な作業となりますのであまり勧めできません。失敗してしまえば、高価な冷媒ガスが無駄になってしまいますし、事故の危険もあるのです。

したがって、冷媒ガスが原因でエアコンの効きが悪くなっている…という場合には、プロに修理を依頼しましょう。

原因④ エアコンが部屋の大きさに合っていない

意外と見落とされがちなのが、エアコンの能力が部屋の大きさに見合っていない…というものです。引っ越しなどで、今までよりも広い部屋になったといった場合に良くあります。

エアコンは、それぞれの能力によって見合った広さが畳数で決められています。電気屋さんなどにエアコンを見に行くと『6畳用』『10畳用』などと記載されているのを見たことがあると思います。したがって、10畳の部屋に引っ越したのに、エアコンのの力が6畳用などと言った場合には、部屋を十分に冷やすことができなくなってしまうのです。

エアコンの能力と部屋の大きさが見合っているのに、効きが悪い…といった場合には、木造建築などで空気が外に逃げやすく、効きが悪くなってしまう…なんて原因も考えられます。木造建築では、通常よりも能力が高いものを選ぶのが推奨されています。

対処法について

この場合は、エアコンの買い替えが必要と考えましょう。エアコンの風量をパワフルにすれば冷やすこともできるのでしょうが、このような使い方の場合余計な電気代がかかってしまうことになります。
したがって、中長期的に見れば、エアコンを買い換えた方が安くつくと思います。

原因⑤ エアコンの故障

冷房の効きが悪いと思って、①~④について確認してみても、どこにも問題が無かった…という場合エアコンの故障が考えられます。この場合には、エアコンの買い替えかプロに修理を依頼するしかないと考えましょう。

最近ではエアコンの修理やメンテナンスを専門とした業者も多くなっていますので、インターネットで調べてみれば近くのエアコン修理業者がたくさん出てくると思います。一般的には、出張費用として5000円程度の費用が掛かり、後は内容に応じた修理費用が掛かります。修理費用は1~5万円程度が相場となっていますので、何年程度使用したエアコンなのかによって、買い替えか修理を選択しましょう。

一般的にですが、エアコンの耐用年数は約10年と言われていますので、10年近く使用したものであれば、修理ではなく買い替えがオススメです。修理したとしても、すぐに別の箇所が故障してしまう可能性があります。

まとめ

今回は、今や私たちの生活には欠かせない住宅設備となっているエアコンの基礎知識をご紹介してきました。日本の夏は年々猛暑化が進んでいると言われており、現在ではエアコンなしで夏を乗り切るのはなかなか難しい気候になっています。特に高齢者などがいるご家庭であれば、熱中症による死亡事故の危険もありますので、夏場のエアコンの調子には細心の注意を払っておきたいものです。

現在使用しているエアコンで、「冷房の効きが悪いな…」と感じた時には、本稿でご紹介した内容を思い出してみてください。