不動産売却を検討した場合、古い家は解体して『更地』にすべき?

今回は不動産の売却を検討する際、多くの方が悩んでしまうポイントについて簡単にご紹介していきたいと思います。

皆さんは、中古住宅の購入を検討した場合、どういった事を重視して物件を探すでしょうか?まずは、現在のお仕事などの関係もありますので、家族が日常生活を進めるうえで、できるだけ利便性が良いエリアで物件を探すことになるでしょう。それでは、希望のエリアで中古住宅が見つかった場合はどうでしょうか?ほとんどの方は「中古住宅の状態はどうなのか?」「既存住宅の築年数は?」など、古家が住むに耐えられるのかということを慎重に調べるのではないでしょうか?
そして、あまりに古い家が残った状態であれば、購入を躊躇してしまう…という方が多くなると思います。

こういった事情もあり、不動産の売却を検討している側は、「古家が残ったまま売却すれば良いのか?」「古家は解体して更地にした方が良いのか?」と悩んでしまう方が多いと言われているのです。古家を解体する場合には、やはりそれなりのコストがかかってしまいますし、売却のためとはいえ、非常に悩ましい問題なのです。そこでこの記事では、不動産売却を検討している方のため、古家付き土地として売却する場合と、更地にしてから売却する場合、それぞれのメリット・デメリットをご紹介しておきます。

古家付き土地と更地の違いとは?

築年数の経過した古い家の売却であれば、古い建物が残ったままの状態で売却を進めるのと、建物を解体して更地で売却する…、どっちが売却しやすいのだろう?と悩む方が多いです。ここではまず、不動産売却の基礎知識として「古家付き土地と更地の違い」を簡単にご紹介しておきます。

『古家付き土地』と『更地』について

それでは、『古家付き土地』と『更地』について簡単にご紹介しておきましょう。この部分に関しては、ほとんどの方がイメージしている通りの内容で間違いないと思います。それぞれの意味は以下のように理解しておきましょう。

  • 『古家付き土地』とは
    『古家付き土地』は、文字通り古い建物が建ったままの土地を指す俗称です。不動産売買の広告などでは、「土地※現況古家あり」などと紹介されている物件となります。この場合、建物に経済的価値はなく、あくまでも「土地のみ」の価格となります。中古住宅として売却するか、古家付き土地として売却するかの境界線は明確にはないのですが、木造建築の法定耐用年数を超える、築20年以上の建物はその価値がゼロとみなされ、古家として扱われます。
  • 『更地』とは
    こちらも特に難しく考えなくても良いです。『更地』は、建物や構造物などが何も建っていない宅地のことを指しており、借地権などがついておらず、その土地を購入すればすぐにでも新しい建物を建てられる状態の宅地となります。

『古家付き土地』と『更地』の意味は上記のような感じで覚えておけば問題ないです。要は、土地に古い建物が残っているかどうかの違いです。

『古家付き土地』と『更地』のメリット・デメリット

それでは、『古家付き土地』と『更地』について、それぞれの売却を検討した場合のメリット・デメリットについて考えてみましょう。不動産売却においては、どちらか一方にメリットが存在するわけではなく、それぞれに一長一短が存在します。
したがって、最善の選択肢を決めるためには、両者の特徴を良く比較して判断しなければいけないのです。

『古家付き土地』のメリット・デメリット

まずは、『古家付き土地』の状態で売却する場合のメリット・デメリットからです。この場合、土地に建物が建った状態となりますので、買主はその家に住むことをイメージしながら購入の検討をできるというのが大きなメリットになるでしょう。
『古家付き土地』の代表的なメリットは以下のような点です。

  • メリット① 解体費用が不要
    『古家付き土地』の場合、解体してから更地として売却するのと比較すれば、解体費用がかからなくなりますので、売主の費用的な負担を少なくできるのがメリットです。売主は、負担が少なくなりますので、売却価格を割安に設定できますし、買い手が早く見つかる可能性も高くなるでしょう。注意が必要なのは、買主は購入後に古家を解体する必要があるため、自分の負担を少しでも減らすため、解体費用分の値引きを要求してくる可能性があるということです。「早く売りたいから」などと考えて、最初に安い価格をつけてしまう場合もありますが、買主が交渉してくる可能性も考慮しておきましょう。
  • メリット② 固定資産税の面で有利
    土地に建物が残っている場合は、「住宅用地の軽減措置特例」が適用されますので、固定資産税が安くなります。したがって、『古家付き土地』として売り出す場合には、腰を落ち着けて売却活動を進めることも可能です。
  • メリット③ 買主側が住宅ローンを利用できる
    『古家付き土地』の場合、金利が安い住宅ローンの融資対象となりますので、買主側の資金繰りに有利な条件が整います。もちろん、土地を購入してから家を建てるという新築計画時も、住宅ローンの利用は可能なのですが、住宅ローンが適用できるまでにタイムラグがあるのです。基本的に、家の設計などが完了し、施工会社との工事請負契約を締結してからの利用に限定されてしまうため、土地の購入に必要な先行投資が必要になるのです。

『古家付き土地』の状態で売却する場合のメリットは上記のような感じです。
それでは、デメリット面に関しては、何に注意しておかなければならないのでしょうか?以下でデメリットについても簡単にご紹介しておきましょう。

  • デメリット① 契約不適合責任を問われるリスクがある
    最も大きなデメリットは、建物の契約不適合責任を問われるリスクがある…ということです。
    これは、買主が購入した不動産に、シロアリ被害や地中埋没物など、目に見えない欠陥が発見された際、その補修にかかる費用を売主側に求めたり、解約や損害賠償請求を求めることができるというものです。こういったリスクを避けるためには、「あくまでも土地を売り渡すもの」ということにし、売買契約に建物については一切の担保責任を負わないものとする「契約不適合責任免責」の条文を盛り込むようにしましょう。
  • メリット② 買い手が見つかりにくい場合が多い
    『古家付き土地』の場合、状態が良ければ買主がすぐに住めるというメリットがある反面、用途が限られてしまうという点を嫌われる可能性があります。さらに、建物が古すぎる場合には、土地全体の印象が悪くなってしまい、買い手がなかなか現れない…なんてことも珍しくないのです。他にも、地盤の状態や埋没物の有無などの調査も行いにくいため、買い手が付きにくくなる場合があります。

『更地』のメリット・デメリット

次は、建物を解体して、更地として売却する場合のメリット・デメリットです。新築などを検討している買主さんにとっては、解体費用などを考えなくても良いですし、土地の形などがわかりますので、その活用方法をイメージしやすくなるというメリットがあります。
一般的に、『古家付き土地』よりも『更地』の方が売りやすいと言われていますので、売主にとっても早く買い手が見つかる可能性があるというのがメリットになるでしょう。代表的なメリットは以下のような点です。

  • メリット① 流通性が高くなる
    上述したように、更地の場合、買主が全体像をイメージしやすくなる、購入後すぐに着工できるなどのメリットがあります。したがって、古家付き土地のまま売却するよりも売却が容易になる傾向があるのです。家の状態が良く、そのまま住んだり貸したりできる家であれば、更地にする必要性は少なくなりますが、そうではない場合、更地の方が売却しやすくなります。
  • メリット② 土地の状態が確認しやすい
    メリット①にも関係しますが、更地の場合は、地中埋没物の確認や地盤調査が容易な状態になります。新しく家を建てる時には、地盤調査をして、必要であれば地盤改良をする必要があるのですが、こういった事が容易になるのは大きなメリットと言えるでしょう。

上記のように、更地の場合は、売却しやすくなる、買い手が早く見つかる可能性があると言う点がメリットです。その一方で、いくつかのデメリット面もありますので、以下の点も頭に入れておきましょう。

  • メリット① 解体費用がかかる
    更地にするためには、解体業者に依頼して古家を解体しなければいけません。当然、業者に依頼するわけですので解体費用がかかってしまう訳です。解体費用に関しては、建物の構造によって単価などが異なります。ちなみに、木造建築の場合、30坪程度の住宅で100万円程度の費用が必要になります。
  • メリット② 古屋付きと比べて固定資産税が高くなる
    建物を解体して、更地にしてしまった場合、固定資産税が2~3倍程度まで高くなってしまいます。更地の方が買い手が付きやすくなるというメリットはあるのですが、なかなか買い手が見つからない可能性もありますし、そうなると、高くなった固定資産税が大きな負担になってしまいます。

このように、更地は費用的な負担が大きくなるということが大きなデメリットになります。

まとめ

今回は、不動産売却時によくある疑問の中でも、『古家付き土地』と『更地』ならどっちが売却に有利なのか?についてご紹介しました。この記事でご紹介したように、どちらか一方が「確実に有利!」というわけではなく、それぞれに一長一短が存在します。

したがって、一般の方がいくら考えてもなかなか最適な答えが見つからない…なんてことも多いのがこの問題です。どうしても迷う場合には、不動産売却のプロに相談してみるのがオススメです。