エアコンは『冷房』よりも『暖房』の方が電気代がかかる!暖房の効率的な使い方を押さえておこう!

10月の前半は厳しい残暑が続き「いつまで暑い日が続くのか…」といった声をよく耳にしていましたが、この記事を作成している10月中頃になると、一気に気温が下がってきて「そろそろ暖房器具が必要な季節だな…」と感じるようになっています。近年の日本は、夏から秋を飛び越えて、一気に冬芽いてくるといった季節の移り変わりになってきており、この時期になると体調を崩してしまうという方も多いので注意しましょう。

今回ご紹介する記事は、これから本格的な冬に向けて、誰もがお世話になるエアコンの『暖房』機能をできるだけ効率的に使うための工夫についてです。つい先日まで「いつまで暑さが続くのか…」なんて口にしていたのですが、一気に11月下旬並みの寒さと言われるような寒波がやってきてしまい、既に夜はエアコンの暖房機能を入れてしまった…という方も多いかもしれませんね。もちろん、寒くて風邪を引くぐらいなら暖房をつけて快適な環境を作る方が絶対にオススメですよ!

しかし、意外に見落とされがちなエアコンの事実として、「冷房機能よりも暖房機能の方がお金がかかる!」という現実があるのをご存知でしょうか?真夏や真冬はエアコンに頼って生活するのが一般的になっているのですが、夏は「エアコンの電気代が気になる…」というお話をよく聞くのに、冬場になると不思議ですが、この手の話題をあまり耳にしなくなってしまいます。とはいえ、非常に残念ですが「エアコンは冷房よりも暖房の方が電気代がかかる!」という落とし穴があるということは頭に入れておきましょう。
そこでこの記事では、エアコンの冷房と暖房では「なぜ暖房の方が電気代がかかるのか?」や、可能な限り効率的に暖房を利用するためにおさえておきたいポイントをご紹介します。特に、新築戸建てを購入して初めての冬を迎えるという方は、戸建ては寒さに弱い部分があるので、冬の光熱費の高さにびっくりしなくても良いよう、絶対に押さえておきましょう!

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冬場のエアコンにかかる電気代が高い理由

冬場のエアコンにかかる電気代は高い…と知っている方でも、寒いのは我慢したくないですし、普通に暖房機能を利用していると思います。それでは、冬場の暖房に関しては、何℃程度に設定しておくのが良いか知っているでしょうか?

エアコンの推奨温度については、環境省が公表しているのですが、夏場は28℃が推奨されているということは知っていても、冬場の推奨温度を知らないという方は意外に多いです。実は環境省が公表している、冬場の暖房の設定温度は「室温20℃」が目安となっています。

室温が20℃と聞くと、「ちょっと寒いのでは…」と思ってしまう方が多いのですが、暖房を使用する時にサーキュレーターなどを上手に活用する、窓に断熱シートなどを貼って外の冷気を遮断するなどと言った工夫で、室内を暖かく快適に保つことができるとされています。この辺りの工夫については後述します。
そして、エアコンの設定温度を20℃にするというのは、電気代の面からみても非常に有効な設定温度と言えます。というのも、エアコンの暖房が、冷房よりも電気代が高くなるというのは、この設定温度が密接に関係しているからなのです。

参考:環境省のエアコン設定温度について

エアコンの電気代はその仕組みが関係している

エアコンの冷房と暖房の電気代が異なるのは、エアコンが室内を冷やしたり暖めたりする仕組みが関係してしまいます。夏場になると、エアコンの節電対策や裏技のような物がテレビなどでも頻繁に紹介されますので、エアコンは夏の方が光熱費がかかると考えてしまっており、「暖房の方が冷房よりも電気代がかかる!」という事実に驚いてしまった方が多いかもしれませんね。

実は、エアコンは「ヒートポンプ技術」によって室内の気温を調整するという仕組みになっていることから暖房の方が光熱費がかかってしまうのです。ヒートポンプ技術と聞いてもあまりイメージできないという方が多いと思うのですが、最近では電気でお湯を沸かす給湯器であるエコキュートもこの仕組みが採用されています。

ヒートポンプ技術は、空気中に存在する『熱』を活用して、室温の調整をするものです。実は、冬場など、どれだけ冷たい空気であっても、「熱」を持っており、ヒートポンプ技術は、空気中に存在する『熱』を冷媒にのせて移動させることができる技術です。エアコンの故障に「冷媒ガスが漏れている…」というものがあるのですが、実は、このガスが空気中の熱を移動させて室内の空気を調整するという役割りを持っていることから、室外機部分の冷媒ガスが漏れるとエアコンが効かなくなるわけです。

ヒートポンプ技術の仕組みをもう少し詳しく解説しておきます。上述したように、気温がどれだけ低くても、空気中には『熱』が存在しています。そしてエアコンの冷媒は、圧縮すると温まり、膨張すると冷たくなるという特徴を持っています。
つまり、エアコンの暖房は、ヒートポンプシステムが「冷媒」を膨張させて、「冷媒」を外の空気より冷たくし、外の空気中の熱を取り込むという動作をします。そして、「冷媒」が取り込んだ空気中の熱を室内機まで運びます。移動中の「冷媒」は、ヒートポンプシステムによって圧縮されて、集めた空気の熱をさらに暖め、室内機の吹き出し口から温まった空気を吐き出し、室温を調整するという仕組みになっています。

冬場の方が気温差が大きいため、電気代がかかる

皆さんも聞いたことがあると思うのですが、エアコンは、スイッチを入れて、室温を設定温度にするまでが最も電気代がかかります。設定温度になった室温を維持するのにはそこまで電気代はかかっていないのです。それでは、「夏と冬」ともにエアコンの設定温度を25℃にして稼働させた場合のことを考えてみましょう。外気温は地域によって異なりますが、ここでは大阪府などで考えてみます。

  • 夏にエアコンを使って設定温度(25℃)まで室温を下げる
    大阪の夏場となると室温は30~35℃程度になりますね。この場合、エアコンは5~10℃程度室温を下げなければいけないということです。
  • 冬にエアコンを使って設定温度(25℃)まで室温を上げる
    冬の大阪であれば0~5℃ぐらいが一般的ですかね。つまり、設定温度にするのには、エアコンは20~25℃も室温を上げないといけません。

これからも分かるように、夏場と冬場では、冬の方が室内気温と設定温度の差が大きくなることから、それだけエアコンの負担が増大してしまうことになり、電気代が高くなってしまう傾向にあるわけです。ヒートポンプ技術は、空気中の熱を取り込み温めてうえで吹き出し口から排出するわけですので、気温差が少ないほど使用するエネルギーは少なくなるわけです。ちなみに、環境省が推奨する冬場の設定温度が「20℃」なのも、あまり設定温度を高くしてしまうと消費電力が大きくなりエコでないという判断からです。要は、少し寒いと感じるのであれば、重ね着で調節できるような設定が地球環境にとっては良いという考え方ですね。

冬場の暖房代を節約するためには?

それでは、冬場のエアコン利用にかかる電気代について、可能な限り電気代を節約するための工夫について解説していきたいと思います。以下で紹介する対策を組み合わせることで、何の対策も行わない時と比較すれば、電気代に大きな差が出ると思いますよ

節約術① 電力会社の見直し

これは、エアコンの暖房代を節約するだけでなく、家庭で使用する電気代全体の節約にも有効です。電気やガスについては、大阪であれば「電気が関西電力、ガスが大阪ガス」など、大手企業と契約していれば安心と考えている方が多いです。しかし、電気とガスの自由化がスタートしている現在では、盲目的に「大手企業が安心!」と考えるのは少し間違っていると言えるでしょう。

というのも、大手企業と契約する場合でも、電気とガスを「関西電力(もしくは大阪ガス)に統一する」という対策を行うだけでも、月々の光熱費がかなり削減できるような時代になっているのです。さらに、電気やガス単体に関しても、自分たちの電気の使い方をしっかりと調べて最も最適な契約プランがある業者を選定するだけで、大幅に光熱費が下がってきます。最近では、携帯電話やインターネット契約とまとめることで、その辺りの費用を大幅に削減できるようなサービスも始まっていますので「よくわからないから…」と無視するのではなく、しっかりと契約する会社を選ぶようにしましょう。

節約術② エアコンは自動運転がオススメ

これは冷房機能でも言えることですが、「エアコンは自動運転に設定する」のが最も電気代を節約できると考えてください。

エアコンの運転モードには『強』や『弱』『静』などがあるのですが、電気代を気にする方の中には『弱』運転に設定しているという方も少なくありません。しかし、この運転方法だと、逆に電気代が高くなってしまうと考えた方が良いですよ。
なぜかというと、エアコンは「室温を設定温度にする」までが最も電気を使うことになるため、この時間が長ければ長いほど電気代は高くなるわけです。つまり、自動運転で、設定温度までは急速に上げるという方法にしている方が電気代はかかりません。そして、室温を設定温度に維持することも、自動運転の方が効率的になります。

節約術③ 窓部分に断熱対策を施す

エアコンでせっかく室内を温めたとしても、窓の断熱性が悪いと室温が冷やされてしまいます。窓ガラスの中には、断熱対策が施されているものもあるのですが、一般的な単板ガラスだと外の冷気が入り込みやすく、エアコンで温めた空気が冷やされてしまうのです。したがって、断熱仕様の窓ガラスではない場合、以下のような対策をとってみるのがオススメです。

  • 窓ガラスを断熱仕様のもの交換する
  • カーテンを厚手の断熱カーテンなどにする
  • 天気が悪く外気温が低い時や、夕方など、冬は早めにカーテンを閉めて外気と遮断する
  • 窓に断熱シートや断熱フィルムを貼る

節約術④ サーキュレーターを利用する

冷房もサーキュレーターを利用することで節約できるのですが、暖房もサーキュレーターを併用することで電気代を抑えることができます。子供のころに習ったと思うのですが、暖かい空気は上昇するという特徴を持っていますので、エアコンで温められた空気は、吹き出し口から出ても上の方に溜まってしまい、人がいる床近くは冷えてしまう…なんてことが起きます。したがって、上に向けてサーキュレーターなどを回して、暖かい空気を室内に循環させるようにすれば、エアコンの余計なパワーを使わなくて済みます。

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節約術⑤ 小まめにフィルター掃除をする

意外に見落とされがちなのがこの部分です。エアコンにはフィルターが付いているのですが、このフィルターが詰まってしまうと、エアコンの性能が落ちてしまい、余計な電気代がかかってしまうことになります。

一般的に、エアコンのお掃除と聞くと、季節の変わり目に行って、シーズン中はしないという方が多いです。しかし、本来は2週間に1度程度の頻度でフィルターのお手入れをするのがオススメです。「2週間に一度は面倒だな…」と感じる方が多いのすが、小まめにフィルター清掃を行っておけば掃除機で吸い取るだけですみますので、小まめに行っている方が実は楽です。

節約術⑥ 室外機周りの整理整頓

最後は、室外機周りを整理整頓しておくという対策です。実は、エアコンの室外機周りにたくさんの物を置いてしまっていると、暖房の効率が落ちてしまい、余計な電気代がかかってしまうことになるのです。したがって、室外機の周りは何も置かないようにしてスペースを確保するようにしてください。

なお、大阪市内などであれば気にする必要はありませんが、雪が多い地域などは、室外機周りに雪が積もってしまい、雪を吸い込むことでエアコンの効率が落ちてしまうことがあります。したがって、防雪フードや防雪ネットなどで雪対策をしておきましょう。

まとめ

今回は、これから迎える冬に向けて、おさえておきたい暖房の効率的な使い方について解説してきました。この記事でもご紹介したように、エアコンの冷房と暖房については、その仕組みから暖房機能の方が電気代が高くなってしまいます。実際に、冬場になると、ガスや電気代の高さに頭を悩ませてしまう…という方は少なくないと言われています。

そこでこの記事でご紹介したような冬場のエアコン利用時の節約術を意識してみてはいかがでしょうか。もちろん、節約術をきちんと行ったからと言って、劇的に月々の電気代が安くなるとは言えませんが、夏場と冬場ともに、節約を意識してエアコンを利用することで、年間にかかる電気代はかなり節約できると思いますよ!