都市部の戸建ては3階建てが当たり前!高さ規制緩和で3階建て住宅が建てやすくなる?

つい先日、大手メディアで「木造住宅の高さ規制が緩和される!」というニュースが報じられましたが、現在マイホームの購入を検討中の方であれば、このニュースがどういった内容なのか気になっているのではないでしょうか?このニュースでは、都市部などで近年増加している3階建て住宅が建てやすくなるといった内容でしたが、現在でも3階建て住宅は普通に建てられているのに「何が変わるのだろうか?」と少し疑問に思ってしまう方は多いですよね。

今回の規制緩和は、省エネ性能の高い木造建築物を増やすために建築基準法の規制を緩和するといった内容だそうですが、住宅の高さ規定と省エネ性能に何の関係があるのか不思議に思ってしまった方も多いと思います。そこでこの記事では、「高さ規制緩和で3階建て住宅が建てやすくなる」という情報について、これが皆さんにとってどういったメリットになるのかを分かりやすく解説していきます。

参考:読売新聞記事より

木造住宅の高さ規制が緩和される予定

それでは、「【独自】3階建て木造住宅、規制緩和で建てやすく…省エネ住宅普及を後押し」で紹介されている木造住宅の規制緩和がどのような内容なのかを簡単にご紹介していきましょう。

地方に在住の方であれば、「そもそも3階建て住宅なんて建てないのでは?」と考えている方が多いですよね。家を建てる際に、それなりの敷地面積を確保できる場所であれば、2階建て住宅が現在でも主流だと思います。しかし、大阪や東京などの大都市圏になると、限られた土地に満足できる居住空間を確保するには縦にスペースを確保するしかなく、3階建て住宅が主流となってきているわけです。

それでは、現在でも3階建て住宅が建てられている中、どのような規制緩和が行われるのでしょうか?

規制緩和の内容について

読売新聞の記事によると、今回の政府による規制緩和は、「省エネ性能の高い木造建築物を増やす」ということが目的となっており、これを実現するために建築基準法の高さ規制を緩和する方針となっているそうです。

現在、世界中で進められているのが『脱炭素化』の取り組みで、テレビなどでもカーボンニュートラルという言葉を頻繁に耳にするようになっていますね。そして今回の木造住宅の規制緩和は、脱炭素社会実現に向けた取り組みの一環に位置付けられていて、省エネ性の高い3階建て木造住宅を建てやすくするという目的のため、建物の高さ制限を緩和すると共に、行政手続きやコスト負担を削減するとしています。

具体的な規制緩和の内容は以下のようになっています。

  • 従来の建築基準法の規制
    高さ「13m超」の建物は、追加手続きや費用が必要
  • 規制緩和後の新基準
    高さ「16m超」に緩和。省エネ性能の高い3階建て住宅が建てやすくなる

この規制緩和に関しては、2022年の通常国会にて、改正案が提出されることになっているようです。

今回の規制緩和のメリットとは?

それでは、上述のような規制緩和が必要と考えられた理由や、規制緩和がなされた場合のメリットについても考えていきましょう。

現在でも大阪市内に新築される戸建て住宅に関しては、3階建ての物が多くなっていますし、「わざわざ規制緩和が必要なのかな?」と疑問に感じてしまう方も多いと思います。しかし、現行の建築基準法は、「高さ13mまたは軒の高さが9mを超える木造住宅」になると、追加の手続きが求められているわけです。そして、この追加手続きに関しては、専門家による安全性の解析などが求められることから、手続きを進める場合には数十万円というコストがかかってしまいます。

さらに、近年の戸建て住宅は『省エネ性能』が重視されるという傾向があることから以下のような理由で規制緩和の必要性が出てきたと言われています。

現在の規制では、省エネ性と住みやすさが両立しづらい

近年の戸建て住宅は、高気密・高断熱がキーワードになっているなど、省エネ性能の高さが追及される傾向にあります。例えば、以下のような対策がとられています。

  • 床や屋根に断熱材を厚く敷いて断熱性能を高める
  • 各階の天井裏に換気や空調用のダクトを設ける

上記のような対策が施されていることから、建物の高さが以前よりも高くなってしまう傾向にあるわけです。そのため、従来の「高さ13mまたは軒の高さが9m」という規制を守った仕様で家を建てることになると、天井高が低くなってしまうなど、省エネ性能は実現できるものの、居住性能が損なわれてしまう…というケースが出てきてしまう訳です。実際に、国土交通省の試算によると、通常の3階建て住宅であれば、高さの平均値が12.9mになるそうですが、省エネ性能を追求した場合は、平均15.5mほどになると見込まれているとされます。

こういった事情があり、2022年の通常国会に、木造住宅の高さ規制に関して、「16m超」まで緩和するという方針が出されたわけですね。この規制緩和がなされた場合、3階建て住宅を建てる際に、居住性能が損なわれてしまう恐れがなくなりますし、追加手続きが必要なくなりますので、省エネ性の高い3階建て木造住宅を建てる際の負担が大きく軽減されると期待されているわけです。

大都市圏では、地価が高騰していますし、居住面積を確保したければ3階建ての家を建てるしかないというような状況になっています。しかし、従来の規制では十分な省エネ性能を持たせるには何らかの負担を強いられてしまう…というデメリットがあったことから、この規制緩和で、3階建ての省エネ木造住宅の普及が推進されると政府は考えているようです。そもそも、日本の伝統でもある木造住宅は、鉄骨や鉄筋造と比較すれば、建築時の二酸化炭素排出量が4割程度少なくなるとされています。つまり、カーボンニュートラルを目指すには、省エネ性の高い3階建て木造住宅の普及が必要不可欠だという面も非常に大きな要因だと考えられるでしょう。

まとめ

今回は、つい先日、読売新聞にて記事になっていた、3階建て木造住宅の規制緩和について解説してきました。大阪市内など、大都市圏で新築戸建て住宅を建てようと思えば、限られた土地に家を建てなければならない状況であることから、どうしても3階建て住宅にしなければ満足のいく居住空間が得られないという状況になっています。

しかし、従来の建築基準法をもとに3階建て住宅を建てると、今度は省エネ性能を重視するために、さまざまな負担を強いられてしまう…という八方ふさがりのような状況になっていたのです。それが、今回の規制緩和により、住宅の機能性と居住性能を両立した3階建て木造住宅が実現できる期待されています。

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