絶対に知っておきたい一戸建ての雨漏り原因について!雨漏りは屋根以外が原因となることも…

今回は、一戸建て住宅で発生する雨漏りについて、「何が原因となって雨漏りしてしまうのか?」について簡単にご紹介していきたいと思います。

「一戸建てで雨漏りが発生した…」と聞くと、皆さんはどの部分が原因となって雨漏りしたのだとイメージするでしょうか?こう聞かれると、ほとんどの方が「屋根に何らかの問題が生じて、雨漏りしている…」と考えてしまうことでしょう。しかし、一戸建て住宅で発生する雨漏りというものは、何も屋根の不具合だけが原因となるわけではなく、皆さんが思っても見ない場所の破損が原因となっていることも多いのです。

例えば、住宅の外壁は、中に住む人を風雨や紫外線、犯罪者などから守ってくれる部位でもあります。つまり、外壁に関しても屋根と同じく、常に紫外線や風雨の影響を受け続ける場所となってしまうため、住宅の中でも比較的劣化が早い場所となるのです。そして、外壁塗装の劣化を放置してしまっている…、何らかの理由で外壁に亀裂(クラック)が入っている…などといった場合、その部分から水の侵入を許してしまい、外壁からの雨漏りが発生してしまう訳です。

この記事では、一戸建て住宅に住んでいる方がおさえておきたい代表的な雨漏り原因についてご紹介しておきます。

屋根からの雨漏りについて

「雨漏り=屋根から…」というイメージがあるように、屋根が原因となる雨漏りは多いです。ただし、一口に「屋根からの雨漏り…」といってもその原因はさまざまで、近年では採用している屋根材によっても注意点が変わってきています。
ここでは、屋根が原因となる雨漏りの中でも、代表的な原因をいくつかご紹介しておきます。

屋根の『谷』が原因となる雨漏り

屋根が原因となる雨漏りの中では、屋根の『谷』部分が原因となる物が非常に多いです。「屋根の谷」は、屋根面と屋根面のつなぎ部分のうち、文字通り「谷」のようになっている場所のことで、この部分には銅板やガルバリウム鋼板などを採用した谷樋が設置されています。
この屋根の谷は、屋根に落ちた水を集水し、雨樋に排水する目的で取り付けられているもののため、屋根の中でも特に雨水の負担が大きい場所となります。したがって、雨水の影響で経年劣化してしまい、谷樋に穴が開いてしまう…などといった理由で雨漏りが始まる場合があるのです。特に、瓦屋根で銅板が谷樋として採用されている場合、釉薬などと反応し劣化が早まる場合もあります。
谷樋がある家は、定期的に専門業者に点検してもらうようにしましょう。

棟板金の破損

近年の新築業界では、スレート屋根や金属屋根が主流となっています。そして、この2種類の屋根の場合、屋根の頂上部分に『棟板金』が取り付けられます。棟板金は、屋根面が交わる部分にできる隙間を埋めることや屋根材を固定する目的で取り付けられています。
この棟板金に関しては、釘やコーキングなどで固定されるのですが、築年数の経過とともに徐々に固定が緩んでしまい、隙間ができてしまうのです。隙間ができてしまうと、その部分から雨水の侵入を許してしまい、雨漏りに発展してしまう危険があります。他にも、台風などの強風が隙間から入ってしまい、一気に棟板金が剥がれてしまい、雨漏りが始まる…などということも多いです。
棟板金は、定期的に専門業者に点検してもらい、固定が緩んでいないか確認してもらいましょう。風が強い日などに、屋根から「ガタガタ」といった音が聞こえる…なんて場合は、棟板金が浮いている可能性が高いです。

屋根材の割れ・ズレ

瓦屋根やスレート屋根の場合、自然災害や経年劣化などが原因となり、屋根にズレや割れが生じてしまうことがあります。屋根のズレや割れは、その部分に隙間ができてしまっている証拠ですので、雨漏り原因となってしまいます。
スレート屋根に関しては、表面に塗装が施されており、この塗膜によって防水効果を得ています。そして、塗装は約10年程度が寿命ですので、塗膜の効果が切れてしまうと屋根材が水を含んでしまうようになるのです。その状態のスレート屋根は「湿潤⇒乾燥」を繰り返すことで反り上がってしまったり、亀裂が入ってしまったりするという不具合が生じます。瓦屋根は、非常に耐久力が高いものの、地震や台風などの自然災害で割れやズレが生じてしまいます。
定期的に点検・メンテナンスを行うことで、この原因の雨漏りは回避できるはずです。

漆喰の劣化

瓦屋根に施工されている漆喰の劣化によって雨漏りが始まる…ということも多いです。日本国内で古くから愛されている『瓦』は、非常に耐久力が高いということが特長です。実際に、歴史的建築物などでは、100年以上前の瓦が現役で使用されている場合もあるなど、非常に長持ちするのがメリットなのです。
しかし、こういった耐久力の高さから「瓦屋根はメンテナンスフリーだ!」と勘違いしてしまっている方も多いです。瓦屋根には、瓦以外に木材や漆喰などの副材が採用されており、これらの材料は瓦ほどの耐久力が無いのです。特に漆喰については、屋根材の固定・隙間を埋めるということが目的で、漆喰の不具合は雨漏りに直結します。
漆喰は、施工されてから空気と反応し徐々に硬化していくという特性があるのですが、10年を経過したあたりでひび割れが生じてしまいます。そしてこれを放置するとボロボロに崩れて落ちてしまい、雨水の侵入を許すようになりますので、注意しましょう。

外壁部分からの雨漏りについて

次は、外壁からの雨漏り原因についてご紹介していきましょう。一般の方からすれば、外壁が雨漏り原因になるというイメージはあまりないかもしれませんね。しかし、一戸建て住宅で発生する雨漏りは、外壁の劣化を起因とするものも非常に多いのです。

外壁のクラック(亀裂)

築年数の経過した住宅では、外壁にクラックが入ってしまっている…という場合が多いですね。これは、経年劣化によるものや、地震などの自然災害によるものなど、さまざまな原因が考えられます。
小さなクラックであれば、雨漏りにまで発展しない場合もあるのですが、放置してしまうと徐々にクラックが拡大してしまい、住宅内に雨水の侵入を許してしまうことになります。こういった外壁の劣化を起因とする雨漏りも多いので、定期的に家の周囲を回って、外壁の状態を確認しましょう。

コーキングの劣化

外壁部分からの雨漏りで多いのは、サイディングの目地や窓枠・ドア枠に施工されているコーキングが劣化してしまっている…というものです。横殴りの雨が降った日は、室内側の窓周辺が濡れてしまう…という場合、この原因での雨漏りを疑いましょう。
どのような住宅でも、各所に生じる小さな隙間を埋める目的でコーキングが施工されています。特に、近年外壁材として主流となっている窯業サイディングの場合は、サイディングとサイディングの目地にコーキングが施工され、それによって水の侵入を防いでいるのです。他にも、窓枠やドア枠、換気扇の雨仕舞などにもコーキングが施工されています。
このコーキングについては、一般的に7年程度が耐用年数と言われており、寿命を過ぎてしまうと徐々に痩せてしまい、最終的に脱落してしまいます。そうなると、外壁に隙間ができてしまうことになりますので、雨漏りに発展してしまう訳です。定期的にメンテナンスを行いましょう。

ベランダからの雨漏りについて

一戸建て住宅の雨漏り原因の中でも、特に見落とされがちなのがベランダ部分が原因となる雨漏りです。ベランダは、外壁などから突き出た場所となるため、雨が吹き込んでしまうことも多く、そもそも雨水の影響を受けやすい場所と考えておきましょう。そして、ベランダの各所が経年劣化してしまうことで雨漏りが発生してしまう危険があるのです。

床面の劣化

ベランダの雨漏り原因として多いのが、床面に施されている防水塗装などが経年劣化してしまい、雨水を防げなくなっている状態で、クラックなどから水が侵入してしまう…という原因です。ベランダは、人が頻繁に歩いたり、物を置いたりしますので、床に張られている防水シートや防水塗装が劣化してしまいます。
そして、ベランダの床面にひび割れ、破れ、剥がれなどが起こり、そこから水が侵入して雨漏りに発展してしまう訳です。ベランダ防水は、意外に見落とされがちですが、非常に重要ですので、定期的に点検・メンテナンスを行いましょう。

その他ベランダ各所の劣化

上記以外にも、ドレンと呼ばれるベランダの排水口にゴミが詰まって排水不良を起こしてしまう…、ベランダ壁面などに亀裂が入ってしまう…、笠木が浮いてしまう…などといった劣化も雨漏りにつながります。
ほとんどの方が、「ベランダから雨漏りする…」といったイメージが無いため、外壁や屋根のメンテナンスは行うものの、ベランダは放置してしまっているという場合が多いです。しかし、住宅の雨漏り対策を考えた場合、決して見落としてはいけない場所ですので、しっかりと点検・メンテナンスを行いましょう。

その他の雨漏り原因について

特定の屋根形状や住宅設備を採用している場合、それが原因で雨漏りしてしまう…ということも考えられます。

陸屋根の雨漏り…

陸屋根は、屋上スペースを活用できると近年非常に高い人気を誇ります。しかし、切妻屋根や寄棟屋根など、日本国内で古くから採用されてきた屋根形状と比較すると、雨漏りリスクが非常に高いと言われています。
というのも、陸屋根は屋根面が平らになっていますので、他の屋根形状と比較すれば、長く水が残ってしまいます。もちろん、屋根面には防水塗装などさまざまな雨漏り対策が行われるのですが、適切なタイミングでメンテナンスをしてあげなければ、雨漏りに発展してしまう訳です。
陸屋根を採用する場合には、「他の屋根形状よりも雨漏りリスクが高い…」という認識を持ち、小まめに点検・メンテナンスを行うようにしましょう。

天窓からの雨漏り…

天井部分から採光できる設備として、天窓(トップライト)も非常に人気です。しかし、天窓は屋根に穴をあけて窓を設置するわけですので、天窓が無い住宅よりも確実に雨漏りリスクが高くなってしまいます。
最近では、雨漏りが起こりにくい天窓などが販売されるようになっていますが、あくまでも適切なメンテナンスを行っていれば雨漏りを防げるというだけです。実際に、住宅で発生する雨漏りで、天窓の経年劣化が原因となるものは非常に多いです。
天窓に憧れている方も多いと思いますが、「屋根に開口部を作る」ものですので、雨漏りリスクが高くなるということは忘れないようにしましょう。

まとめ

今回は、一戸建て住宅で発生する雨漏りについて、どのようなことが原因で雨漏りが起こるのかについて解説してきました。この記事でご紹介したように「雨漏りは屋根の不具合が原因となる…」というイメージをしている方が多いのですが、実は、屋根以外にもさまざまな部位が雨漏り原因となってしまうのです。

住宅で雨漏りが発生してしまうと、本来関係のない場所まで水が回り、急速に住宅の劣化を早めてしまうことになります。さらに、湿気を好むシロアリやカビの繁殖を招いてしまう原因にもなりますので、建物にとって致命的な現象だと考えなければいけません。つまり、雨漏りというものは「発生してから修理すれば良い!」というものではなく、本来は「雨漏りさせないためにはどうするのか?」という視点を持っておかなければいけないのです。
この記事でご紹介した雨漏り原因を覚えておけば、雨漏りする前に点検・メンテナンスを入れることもできると思いますので、ぜひ皆さんも頭に入れておいてください。