新型コロナウイルスの影響で戸建ての人気が急上昇ってホント?

2020年の今年は、1964年(昭和39年)以来、56年ぶりに日本でオリンピックが行われるはずの記念する年でした。しかし、今年初めより世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響もあり、オリンピックが前代未聞の1年間延期されることになるなど、今回のコロナ問題は人類に深刻な影響を及ぼしています。

新型コロナウイルスは、命に係わることもある非常に恐ろしいウイルスなのですが、感染拡大を防ぐために自宅待機が求められたこともあり、世界経済へも大きなダメージを与える結果になっています。日本国内では、5月末に緊急事態宣言が解除されるなど、新型コロナウイルスが収束に向かっていっているように思えましたが、7月から再度感染者が増加傾向になっており、今後もまだまだ予断を許さない状況が続いています。今回の新型コロナウイルスに関しては「人との接触を避ける」ということが非常に重要な感染防止策とされており、対面での仕事が当たり前であった日本国内でも、テレワークを導入する企業が急激に増えています。数年前に提言された『働き方改革』により、いち早くテレワークやリモートワークを導入した企業もありましたが、国内全体で見れば浸透したとは決して言えない状況でした。しかし、今回のコロナ問題によりテレワークが「当たり前の働き方」になっているのです。

こういった事情もあり、ここ最近の不動産業界では、『タワマン離れ』などと言う言葉が使われるようになっており、戸建て住宅の人気が急上昇していると言われているのです。この記事では、今回のコロナウイルスが不動産業界にどのような影響をあたえたのかについて簡単にご紹介します。

意外と知られていないマンションの危険性

今回の新型コロナウイルス問題で、戸建て住宅の人気が高くなっていると言われるのには、テレワークを導入する企業が増えたため、自宅内に完全な仕事スペースを確保しやすいのが戸建て住宅だからという面が大きいでしょう。各種メディアなどでも、小さくても仕事専用の部屋を確保できる戸建住宅の人気が急上昇しているといった報道を実際に行っています。しかし、意外と報道されない事実で、コロナウイルスとの共存を考えた場合、「マンション内感染」を恐れている方が増えているというものもあるでしょう。実際に、この手のことを気にして弊社に問い合わせしてくるお客様がいるのも事実です。

冒頭でもご紹介したように、新型コロナウイルスは『人との接触を減らす』という行為が感染拡大を防止するためのカギとされています。しかし、マンションでの生活を考えた場合、この『人との接触を減らす』ということはなかなか難しい事なのです。例えば、マンションの中には自分たちだけのスペースがあるのも事実ですが、何カ月もそこから一歩も外に出ないなんてことが現実的ではありませんよね。そして、一歩自分の部屋を出ると、エレベーターのボタンやオートロックの鍵開閉、集合ポストなどの共用部分がたくさん存在します。さらに最近では、マンション内に共用のトイレやキッズルーム、ゲストルーム、ジムや集会室など、さまざまな共用スペースが存在するのです。

このような状況になっているマンションで、どこか一世帯でも感染者が出た場合、マンション内で集団感染を引き起こしてしまう可能性は、戸建住宅よりも確実に高くなってしまうでしょう。実際に、香港のタワーマンションでは、水の配管を通じて感染拡大が起こった可能性がある…などと言った事例も起きており、コロナウイルスへの感染を恐れて、マンションから戸建住宅へ切り替えようという動きが活発になっているのです。

コロナ禍の中でなぜ戸建が人気なのか?

上述したように、今回の新型コロナウイルス問題もあり、長年都市圏で人気であったタワーマンションの需要が急落していると言われているのです。もちろん、今回のコロナ問題は非常に甚大な経済ダメージが各業界に出ているため、不動産業界全体の買い控えが起きているのでは…といった考え方もあるでしょう。しかし、そういった考察がある一方で、東京などでは郊外に存在するミニ戸建て住宅の需要が急激に高くなっているという報道が出ているのです。実際の報道内容を以下に引用しておきます。

「戸建ての販売実績はこの5月が過去最高で、6月はそれを上回ったはずです。出せば売れるので必死で土地を探している状態です」
その会社のミニ戸建てを購入する人は、広さと部屋数を求めているそうだ。やはりテレワークの動きと連動しているのだろう。
さらにこんな動きもある。緊急事態宣言の解除後、郊外の中古一戸建てが売れ始めた。3000万円未満の低価格帯の動きが早まり出したのだ。少し駅から離れた築30年程度の物件は、土地の価格だけになるので1000万円前後の予算でも十分に探せる。
引用:ヤフーニュースより

上記のように、首都圏では長らく人気であったタワマン需要が低調になっており、その代わりに郊外にあるミニ戸建て住宅の需要が急激に高くなっていると言われているのです。この理由は、今回のコロナウイルス問題の影響が強く、コロナウイルスとの共存を考えた場合、戸建て住宅の方が多くのメリットがあると考えられているからだそうです。以下でいくつかのメリットをご紹介しておきましょう。

集団感染のリスクが低い

今回の新型コロナウイルスについては、戸建て住宅に引っ越せば感染することはない…とはもちろん言えません。しかし、多くの人間が集まるマンションなどと比較すれば、確実に感染リスク自体は低くなると言えるでしょう。
上述したように、マンションには自分の部屋だけでなく、同じマンション内に住んでいる人が共用する部分がたくさん存在しています。さらに、高級マンションになるほど、外部の人間を招き入れて打ち合わせなどが行える会議スペースや、格安で知人に利用させることができるゲストルームなど、マンションに住んでいない方でも利用できる設備までついているのです。したがって、マンション内で感染者が出てしまった場合、同じエレベーターを利用することで自分も感染してしまう…などと言うリスクが決して低くないのです。

その点戸建住宅であれば、基本的に家族のみしか利用しませんし、コロナウイルス問題が収束するまでは他人を招き入れないなどの対策を自分で行うことも可能です。つまり、感染リスクを極限まで下げることができる点が、人気になっている理由の一つと言えるでしょう。

働き方が変わってきたため

もう一つの大きな理由は、今回の新型コロナウイルス問題により、テレワークやリモートワークを導入する企業が増加していると言う点でしょう。最近ではインターネットを介してコミュニケーションが取れるシステムが多く登場しており、業種によっては自宅で仕事を進めるのに何の支障もないという方も多いことでしょう。
テレワークについては、数年前から提言されていた新しい働き方なのですが、対面での仕事を重視する傾向にある日本では決して定着しているとは言えないような状態が続いていたのです。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、政府から『人との接触を減らす』『外出自粛』を求められたこともあり、一気にテレワークが浸透してきているのです。

しかし、テレワークの導入に関しては、「自宅で落ち着いて仕事ができるスペースがあること」を条件にしている企業も少なくありません。この場合、マンションなどになると、テレワークを行うためのスペースを確保するのが難しく、それを理由に出社するしかない…などと言う方も多いようです。しかし、戸建住宅であれば、マンションよりも部屋数が多くなるため、テレワーク専用の部屋を作るのが容易になるのです。

まとめ

新型コロナウイルスの影響で、日本国内でもさまざまな意識が変わってきています。特に、従来のような「とりあえず会社に行くこと」が重要視されていた日本でも、テレワークやリモートワークといった働き方が一気に浸透しつつあるのです。当然、新型コロナウイルス問題が収束してしまえば、従来通りのような勤務形態に戻るかもしれないという考えもありますが、感染症対策を考えた場合には、マンションの危険性というものも無視できないのです。

特に、新型コロナウイルスについては、多くの専門家が今後も流行インフルエンザ同様に、新型コロナウイルスとの共存を目指さなければならないと公表しています。他にも、爆発的な感染力を持つウイルスは存在しますし、いつ新たなウイルスが登場するのかも分からないということを考えれば、より感染症対策が行いやすく、柔軟な働き方を実現できる戸建住宅の人気が高くなるのも分かりますよね。