失敗しない間取りの決め方は?家づくりの際に注意しておきたいポイント

今回は、注文住宅における間取りの決め方についてご紹介していきたいと思います。憧れの戸建て住宅を購入する際には、建物の外観イメージや間取りに強いこだわりを持っている方が多いです。特に間取りに関しては、実際に生活し始めた時の暮らしやすさに直結するポイントとなるため、誰もが自分のこだわりを反映した家づくりを進めたいと考える物でしょう。

しかし、家の設計段階で「こうしたほうが良いだろうな!」と取り入れた間取りなのに、実際に生活を始めてみると非常に不便に感じてしまい、後悔してしまう…という方も珍しくありません。自分のこだわりを取り入れてもらったわけですので、誰に文句を言う訳にもいかないですし、家が出来上がっていますので後から変更するのも難しいものです。

そこでこの記事では、憧れの注文住宅を建てる際、間取りの決め方に失敗しないためにおさえておきたいポイントについてご紹介していきます。

間取りに関する重要ポイントについて

それではまず、家づくりで間取りを決めていく際に重要になるポイントを簡単にご紹介しておきましょう。間取りを決める時には、以下の3つのポイントを考えておかなければいけません。

  • 家族の優先順位と生活の動線
  • 土地の形状と周辺の環境
  • 日常生活を考慮したゾーニング

それぞれのポイントについて、もう少し詳しくご紹介しておきましょう。

①家族の優先順位と生活の動線について

家づくりをする際には、誰か個人の意見だけを反映するのではなく、ご家族全員の希望をできるだけ反映させたいものでしょう。しかし、当然全ての面に関してご家族全員の意見が一致する…などと言ったことは珍しく、意見が対立することもあるでしょう。したがって、「何を重視するのか?」ということは、あらかじめよく話し合っておき、優先順位を決めておかなければいけません。

また、「実際にそこで生活する」ということを具体的にシミュレーションしておくということも大切です。例えば、お子様が外から帰ってきた際、コロナ禍の現在では「すぐに手洗い・うがいができる構造」などが求められるようになっています。また、女性からすれば買い物から帰った時、玄関からキッチンまでスムーズに行ける動線になっていることで、毎日の負担を大きく減らすことができます。
こういった日常生活の動線に関しては、各ご家庭ごとにライフスタイルが異なることから、自分たちに合ったものを慎重に検討しなければいけません。どうしてもイメージできない…などと言った場合、モデルハウスの見学などを行い、「自分たちの生活なら?」と言った事を確認する方法もオススメです。

②土地の形状と周辺の環境について

住宅の間取りを決める際、忘れてはいけないのが「その土地が面している道路タイプ」や「土地の方角」などです。

例えば、人通りが多い道路に面している場合、その道路に面した位置に大きな窓を取り付けた場合、外部からの視線が気になってしまうことでしょう。また、洗濯物を干す場所になるバルコニーなどは、方角を考慮しておかなければ、日当たりなどに問題が出てしまう可能性があります。
こういった部分を不動産会社の担当者と打ち合わせする場合、『建ぺい率』や『納戸』『接道』など、住宅の専門用語が良く登場します。したがって、きちんと相手が何を言っているのか理解するためにも、基礎的な住宅用語は把握しておくのがオススメです。

③日常生活を考慮したゾーニングについて

『ゾーニング』とは、用途や機能ごとに分類して間取りを決めることを指しています。営業用倉庫や製造工場などの大規模施設でも非常に重要視される考え方です。

分かりやすく言えば、家の外周でも「この部分は庭でここから先は駐車場」といった感じで、用途によってゾーンを決めることです。注文住宅でのゾーニングについては、「土地のどの部分に建物を配置するのか?」また「どの部分を庭、駐車場にするのか?」といった感じで、土地全体をゾーニングするのが第一段階です。そして、「建物内の人の動線を考慮し、各部屋の位置を決める」と言った、住居部分のゾーニングを行うといった流れになります。
ゾーニングは、用途によって建物や部屋の配置を決めていくことですので、生活のしやすさに直結するものだと考えておきましょう。

間取りを決める時の注意点について

それでは、実際に住宅の間取りを決める際、皆さんが注意しておきたいポイントについてもご紹介しておきましょう。間取りは、「人の動き」だけを考えるのではなく、風や光、臭いなどの各種条件の事も考慮しておかなければいけません。
ここでは、間取りを決める時に失敗しないためにおさえておきたいポイントをご紹介します。

採光や風通しについて

日常生活に太陽の光は欠かせませんので、間取りを検討するうえで『採光』について検討することが大切です。特に、リビングなどご家族が長い時間を過ごすことになる場所は、日当たりが良くなるように考慮するのがオススメです。その一方で、トイレなどの水回りや納戸に関しては、採光の優先順位は低いです。
他にも、住宅の換気性能などを考えた場合、風通しの事も考えておくべきでしょう。例えば、一つの部屋でも窓は2つ以上配置する、「北と南」「東と西」など、対面になるように窓を設置してきちんと風が通るように工夫するなどです。新型コロナウイルスのような感染症問題の事を考えると、家の中で過ごす際の快適性も考慮しておくのが大切です。

生活動線や将来的な家族構成

間取りは、日常生活での動線を意識しておくことが非常に重要です。したがって、家族全員の意見を考慮して、一人一人が本当に生活しやすいのかを具体的にイメージしながら設計することが大切です。

また、戸建て住宅はそこに長く住むという点も忘れてはいけません。5年後、10年後の家族構成も考慮しておかなければ、将来的に使いにくい家になってしまう可能性があるでしょう。例えば、10年後に子供が成長し独立した場合、子供部屋が不要になるなんてことは珍しくありません。住宅の間取りは、現在だけを考えるのではなく、将来のことも考慮に入れて、長い間生活しやすい空間を作る事が大切です。

家具・家電の配置もあらかじめ考慮して

現在の生活は、さまざまな家具・家電に助けられていますね。生活の中で一切家電製品を使用しない…なんて方はほとんどいないと思います。したがって、間取りを決める時には、あらかじめ家具や家電をどこに配置するのかということをイメージすることで、非常にスムーズに家づくりが進むようになります。

特に注意が必要なのは、現在使用している家具・家電そのまま使おうと考えている場合、実際に家を建ててから「家具が入らない…」なんてことにならないよう設計しなければいけません。また、意外に忘れられがちなのが、コンセントの位置などですが、これも設計段階から家電の配置が決まれば配線計画などがスムーズに進みます。

玄関と階段の配置が重要

家づくりの際には、玄関と階段の配置が非常に重要です。まず玄関については、どのような道路に接しているのかを考慮し、道路から玄関までの動線も検討しておかなければいけません。また玄関内部に関しては、現在のライフスタイルのことも考慮しましょう。例えば、小さなお子様がいるというご家庭であれば、玄関にベビーカーを置いて置けるスペースを作る、キャンプなどが趣味でアウトドア用品が多い…という場合も、玄関収納を大きくとるなど、間取りによってその利便性が大きく違ってきてしまいます。

階段についても、「家族とのコミュニケーションを取りやすいように」などと言った理由、リビング階段が人気になっていますが、2階部分と空間がつながってしまうため、空調の効率が悪くなる…などのデメリットが考えられます。また、外から帰って2階に上がる際、必ずリビングを経由することになるため、憩いの場に花粉などを大量に持ち込んでしまう…などと言った注意点もあります。
こういった細かなことまで考慮したうえで、玄関や階段の配置を決める必要があります。

家の外部の事も考えておく

家づくりを進める時には、家の中の間取りばかりに注目が行きがちです。しかし、庭や駐車場など、家の外部についてもしっかりと検討しておかなければいけません。

例えば、「憧れの戸建て住宅を建てた時には、ガーデニングを楽しみたい!」と考えている場合、庭に蛇口が必要になりますよね。そうすると、それ用の配管などが必要になるため、決して無視できる部分ではないのです。また、家の購入時は自動車を持っていなくて、将来的にも必要ないと考えていたことから、駐車場は考慮しないという人も最近多いです。しかし、後から自動車が必要になる…なんてことも珍しくなく、こういった場合は余計な出費が生じてしまいます。
家づくりをするときには、将来的に考えられるライフプランについても、しっかりと検討しておかなければいけません。

関連記事:コロナ禍で変わった新築戸建ての家づくり!感染症対策を考慮した最新の住宅設備とは?

まとめ

今回は、注文住宅の購入を検討している方のため、住宅の間取りを決める時に失敗しないためにおさえておきたいポイントをご紹介してきました。住宅の間取りに関しては、「吹き抜けのリビングに憧れていた!」「リビング階段にしたい!」など、流行の間取りを深く考えずに取り入れようとする方が多いです。

しかし、実際に住むことを考えた場合、間取りというのは単に部屋の配置を決めるだけのものではなく、生活の利便性やライフスタイルに適した動線になっているのかなど、考慮しなければいけないポイントが意外に多いのです。そのため、単なる憧れだけで間取りを決定した場合、実際に住み始めてから後悔してしまう…なんてことになりかねないのです。
家づくりは、そこで何十年も暮らしていくということをきちんと考慮して決めなければいけないと考えておきましょう。