今回は、普段ご紹介している「お家を建てる際のお役立ち情報」とは少し離れて、日常生活の中に潜む誰もが被害にあう可能性がある『水漏れトラブル』の詐欺被害についてご紹介します。
ここ数日、テレビのワイドショーなどで盛んに報道されていましたが、近年、全国各地で水回り修理の高額請求被害が多発していると言われています。特に今年は、新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす方が増えているからか、国民生活センターなどへの水回り修理の高額請求に関する相談が、例年にないペースで増加しているそうなのです。
テレビで報道された情報では、本来数万円程度で修理できるような内容の工事なのに、50万円以上の請求をされてしまい、致し方なく支払った…、15分程度の工事だったのに65万円の請求をされた…など、水回り修理の相場をご存知の方であれば信じられないような高額請求が横行していると言われているのです。
こういった水漏れトラブルに関しては、誰もが遭遇してしまう可能性があることですので、高額請求被害に遭わないためには、どんな被害事例があるのかや、騙されないための業者選びの方法は知っておかなければいけません。
そこでこの記事では、実際にあった水回り修理の高額請求手口や、業者選びをする際のポイントを簡単にご紹介しておきます。
水回り修理高額請求の手口とは?
それではまず、実際にあった水回り修理の高額請求手口をいくつかご紹介していきましょう。そもそも皆さんは、トイレやお風呂、キッチンなどの水回りで、水漏れトラブルなどが発生した場合、どのようにして業者探しをしているでしょうか?
近年では、毎日のように水回り修理業者の広告が記載されたマグネットがポスティングされていることもあり、それを冷蔵庫などに張り付けて、万一の際に連絡するという方が多いかもしれませんね。他には、実際に何らかのトラブルが発生した際、インターンネットなどで検索し、上位に来た業者に連絡してみるという手法が多いでしょう。
どちらの方法も、ごく一般的な手法のように思えますが、それではなぜ社会問題になるほど高額請求被害が続出しているのでしょうか?これは、さまざまな悪徳業者が利用する手口でも多いのですが、要はすでに水漏れしている状況での連絡ですので、「すぐに解決したい!」という消費者側の心理に付け込むという手口が多いのです。例えば、水漏れが続いてパニックになっている状況であれば「すぐに行って修理します!」と言われれば、とてもありがたいと思い見積書で業者比較することもなく、そのまま修理をしてもらう…なんて依頼の仕方をする方も多くなるのです。そして、工事後に予想外の高額な請求をされてしまい困ってしまう訳です。
ここでは、実際に高額請求被害に遭った人の手口をいくつかご紹介しておきますので、頭に入れておきましょう。
手口① 見積書を出さずに修理をする
通常、どのような工事でも契約前に見積書を出してもらい、その金額と内容に合意ができたうえで作業に入るものです。しかし、水漏れトラブルの場合、「トイレを使えないから、すぐに修理したい…」などと言う消費者心理があることから、見積書の提出もなく、いきなり修理工事に入る業者がいるのです。そして、修理工事が終わってから、テキトーな作業内容を記載し、高額な料金を請求するのです。
このような手口の場合、電話連絡時には「見積もりをしてから作業に入ります」などと顧客を安心させて、実際には正確な見積もりもないまま修理工事を進めるという場合が多いようです。そして、後から出される作業内容に関しては、本当に記載されている作業が必要だったのかどうかが、素人ではわかりませんので、支払うしかない…という状況が作られてしまうのです。
ポスティングされたマグネットや、業者のホームページなどには、安い金額が記載されている場合が多いので「大した金額にはならないだろうと…」などと考えてしまう人もいるのですが、正確な見積もりもないまま作業をさせるのは絶対にやめましょう。
手口② 不必要な工事を勧める
次は、本来パッキンの交換など、簡単な交換工事で済むようなトラブルにおいて、「トイレごと交換しないといけない…」「水栓を交換しないと直らない」などと、不必要な工事を勧めて金額を高くする手法です。
水漏れ原因に関しては、自分で何が悪いのかを判断することができない人がほとんどですので、プロの修理業者に言われたのであれば、「そういうものか…仕方ないな」と業者の言いなりで修理を申し込んでしまう方もいるでしょう。しかし、多くの場合、不用な工事を勧められているだけですので、申し込む前に他の業者にも調査してもらうようにしましょう。
手口③ 工事の途中で修理内容を変える
①に似ていますが、こちらの手口の場合は「部品修理で対応可能なので2万円程度で修理できます!」などと、最初は安い費用を提示して顧客を安心させてきます。そして、修理を進めていく途中で、「他に悪い場所が見つかったので、そちらの修理も行います」などと、当初の予定にはない工事を進めていくのです。そして、後から追加した工事分で高額請求をしてくるという手口になります。
既に工事を進めている場合には、途中でやめるわけにはいきませんし、予定にない修理が必要と言われてもそのまま進めてもらう方がほとんどでしょう。しかし、追加分の工事にかかる費用をきちんと確認しておかなければ、最終的にいくら請求されるか分かったものではないのです。もし、「追加の工事が必要」などと言われた場合、その時点で工事をストップし、追加分の詳細な費用を確定させるようにしましょう。
高額請求を回避するための業者選びのポイント
それでは、水回り修理が必要になった際、あなたが高額請求被害に遭わないためにおさえておきたい業者選びのポイントもご紹介しておきましょう。家に住む限りは、水漏れトラブルに絶対に遭わないなんて言える人はいませんので、誰もがおさえておかなければならないポイントです。
特に、テレビでも報道されるようになっているほど、水回り修理の高額請求が増えている時代ですので、以下のポイントは絶対に覚えておきましょう。
ポイント① 作業前に詳細な見積もりを提出してもらう
これは、水回り修理だけに関わりませんが、住宅の何らかの修理を業者に依頼する場合には、現地調査をしてもらい、作業前に必ず詳細な見積書を提出してもらうようにしましょう。水漏れトラブルは、「すぐに直したい!」という心理が働くものですが、ここに付け込むのが悪徳業者なのです。
そもそも、何が悪くて水漏れしているのか、そしてどんな修理をするのか分からない状況で、修理を依頼するなどもっての外です。上述した高額請求の手口でも、修理にかかるコストを明確にせず、後から高額な請求をする手口が増えているのです。工事後であれば、どれだけ高額な請求でも「うちの工事はこれだけかかるのが普通!」と言われてしまい、支払うしかない…という状況に持っていかれてしまいます。
水回り修理を依頼する場合、詳細な作業内容と費用がわかる見積書を提出してもらい、なぜその内容になるのか、その費用になるのかをきちんと明確にしておきましょう。依頼しても見積りを出さないという場合は、悪徳業者と思って間違いないと思います。
ポイント② 複数の業者に調査してもらう
水漏れトラブルはできるだけ早く修理したいと考えるものですが、高額請求被害に遭わないためには、最低でも3社程度に現地調査してもらい見積りを作成してもらうのがオススメです。
1社だけの見積りであれば、提示された金額が適正なのかどうか判断のしようがありませんよね。また、不必要な工事を勧められていないかを確認するためにも、複数業者から見積もりを貰うのが有効なのです。例えば、トイレごと交換する必要があると言われても、他の業者がパッキン交換だけの見積りを提出してきた場合、不用な工事をしなくても済みますよね。
悪徳業者は、消費者の「急いで直したい!」という心理に付け込みますので、落ち着いて業者選びを進めることを心がけてください。
ポイント③ 作業内容の変更時は再見積もりしてもらう
高額請求の手口③にあるように、悪徳業者の中には、作業途中に工事内容の変更or追加があるなどと口頭で伝え、作業後に高額な請求をするというパターンもあるのです。したがって、最初に貰った見積書だけでは安心できないのです。
既に工事に入ってしまえば、内容の変更や追加があっても、そのまま工事を進めてもらう人が多いです。しかし、変更(追加)する内容が何なのか、またいくらぐらいかかるのかを確認せずにいたら、高額請求被害に遭ってしまう可能性があるのです。
こういった場合には、工事途中だとしても、いったん作業を止めて、変更する分の見積書を必ず提出してもらうようにしましょう。そして、変更内容と追加費用に納得出来たら再度工事を進めてもらうようにすれば、高額な請求に困ってしまう…なんてこともなくなると思います。
ちなみに、「途中で追加工事がある=悪徳業者」ではないので注意しましょう。優良業者だとしても、工事を進めていく上で、確認できなかった部分の劣化を見つけ、作業内容の変更が必要…となることは珍しくないのです。したがって、作業内容の変更が生じた場合、「再見積もりをしてもらえるか」、「変更内容に丁寧な説明があるか」というポイントを確認しましょう。これをきちんとしてくる業者であれば、特に問題はないと思います。
ポイント④ 業者の信用度を確認しておく
最後は、実際に工事を依頼する前に、その業者の信頼性を確認しておくということです。例えば、地域密着で長く同じ地域で活動している業者であれば比較的安心です。悪徳業者というものは、クレームや悪評がつきものですので、同じ地域で長く活動をすることがありません。会社名をコロコロと変えたり活動場所を変えていきますので、「長く同じ地域で活動している」というのはある程度の信頼性になるのです。
他には、地域の水道局の指定業者になっているのかなども確認しておくと良いでしょう。最後は、SNSなどを使って業者名で検索すれば、実際の利用者の声を見ることができますので、高額請求をしたことがあれば、ほぼ確実に情報がヒットすると思います。
まとめ
今回は、年々増加していると言われている水回り修理の高額請求被害について、悪徳業者が利用する手口や高額請求被害に遭わないため業者選びのポイントについてご紹介してきました。ここ最近では、テレビのワイドショーなどでも水回り修理の悪徳手口が紹介されていましたので、自分も気をつけなければ…と思った方も多いのではないでしょうか?
愛知県などでは、ここ数年高額請求被害が続出していることから、弁護士らが「悪質!『トイレのつまり』ぼったくり被害対策弁護団」を結成し、年内にも集団起訴に踏み切るとの報道がなされています。水回りのトラブルに関しては、どのご家庭でも発生し得るものですので、「自分が高額請求に遭うことはない!」などと誰も言えない状況になっているのです。
悪徳業者による被害に遭わないためには、最初の業者選びがとても重要になりますので、この記事でご紹介した内容は是非皆さんも覚えておきましょう。