冬場は身近に火災原因がある!ストーブや電気こたつを使用する時の注意点について

これから本格的な冬を迎えることになりますが、冬場は火気を使用する機会が増加するため、不注意による火災が増加すると言われています。この記事を読んでいただいている方の中には「自分は火災なんて起こさない」など、変な自信を持っている方もいるかもしれませんが、非常に身近な位置に出火原因となるものが多くなりますので、絶対に火災を起こさない…などとは誰にも言えないことなのです。

その証拠に、さまざまな設備の安全性が向上している現在でも、年間3.5万件以上の火災が日本国内で発生していると言われており、令和元年の総出火件数はなんと37,683件にものぼるのです。この数字は、単純計算で毎日100件以上の火災が国内のどこかで発生しているということで、いつあなたの身に火災の不幸が降りかかってもおかしくないと考えなければいけないのです。

そこでこの記事では、冬場に特に注意しておきたい石油ストーブや電気ストーブ、電気こたつなど、火災原因になってしまう暖房器具の使い方についてご紹介します。これらの製品は、暖を取るためにとても役立つものですが、使い方一つで出火原因になってしまう危険な設備でもあるのです。

参考:総務省「令和元年(1~12月)における火災の状況(確定値)

石油ストーブによる火災について

日本国内では、古くから使用されている暖房器具に『石油ストーブ』があります。石油ストーブは、灯油を燃料とした暖房機器で、電気ストーブとは違って、ストーブの上に鍋をかけられるなど、暖房機器以外の使い方が可能です。そのため、地方都市などではまだ使用しているご家庭も多く、特に年配の方には人気の暖房器具です。
ただし、石油ストーブは直接火を使う暖房器具となりますので、不注意による火災が非常に多いという側面もあるのです。ここでは、住宅火災を引き起こしてしまう可能性がある間違った石油ストーブの使い方をご紹介しておきます。以下を見て、心当たりがあれば、絶対にそういった使い方をしないよう注意しましょう。

ストーブの周りに可燃物が散らかっている…

寒い冬の日には、ストーブの前に座って作業する…という方が多いため、ストーブの周りにさまざまな可燃物が散らかってしまっているという状況が良くあります。例えば、布団の近くにストーブを置く、洗濯物を乾かすためにストーブに近づける、直前まで見ていた雑誌などと言った事が多いです。
このような状況では、ふとしたはずみで可燃物がストーブに接触してしまうこともあり、それが原因で出火する恐れがあるのです。

ストーブの周りでスプレーを使う…

化粧品やヘアスプレー、殺虫剤などのスプレー缶の中には、引火性の溶剤が含まれているものがあります。そのようなスプレーを火のついたストーブの周辺で使用してしまうと、出火してしまう恐れがります。

寝る時もストーブをつけている…

高齢者の一人暮らしなどに多いのが、エアコンを嫌い寝る時もストーブをつけたままにしておくという使い方です。しかし、この使い方は非常に危険ですので絶対にやめましょう。例えば、寝ている時に寝返りを打って、布団がストーブに接触し出火してしまう…などと言った火災は毎年のように発生しています。本人は、眠ってしまっていますので、出火に気付けず逃げ遅れてしまう…なんて状況も考えられます。

火をつけたまま給油する…

ストーブの燃料を給油する際には、必ずストーブを切ってから行いましょう。寒くなるのが嫌だからと考えて、火をつけたまま給油を行い、引火してしまった…などと言う事例もあるそうです。
また、給油中に誤って灯油がこぼれてしまった際には、きちんと拭き取るようにしましょう。「そのうち乾く」などと考えて、そのままにしてしまうと引火して火災になってしまう危険があります。

ストーブを使って洗濯物を乾かす…

冬場は外に洗濯物を干しておいても、なかなか乾かない…ということもあり、夕方以降にストーブを使って洗濯物を乾かすという方が多いです。特に、ストーブの上に洗濯物をかけておけるようなものを取り付け、干している間に夕食を作るという方は多いと耳にします。
しかし、こういった使い方をしている際、何かの拍子に洗濯物が落下し、ストーブの上に落ちてしまうことで火災に発展してしまう…という事故が多いと言われているのです。ストーブを使って洗濯物を干す場合、ある程度距離を離すなどの対策を行ってください。

カートリッジタンクの蓋が緩い

石油ストーブは、カートリッジタンクに灯油を入れて、本体にはめ込むといったタイプが多いです。したがって、灯油切れを起こした際には、カートリッジタンクを外し給油を行うのです。
給油を行ったカートリッジタンクに関しては、最後にしっかりと蓋が閉まっているのかよく確認してください。過去に発生した火災では、カートリッジタンクの蓋が緩く、ストーブ内で灯油が漏れてしまい出火した…という事例も少なく無いようです。

持ち越し灯油の利用は注意

「持ち越し灯油」は、前年に購入した灯油で使いきれなかったものを保管しておき、次のシーズンに使用する灯油のことです。最近では、この持ち越し灯油による事故が急増していると言われますので注意してください。
灯油に関しては、保管方法などを気にしなくても、特に腐るものではないと考えている人が多いです。しかし、保管方法を間違ってしまうと灯油が劣化して、機器の故障や不完全燃焼、火災の原因となってしまうのです。実際に、石油ストーブの取り扱い説明書などには「持ち越し灯油の使用は厳禁!」などと注意書きがなされているはずです。できるだけ持ち越し灯油は使わないようにして、シーズンの初めに購入するようにしましょう。なお、使い切れなかった灯油に関しては、購入したガソリンスタンドなどに持ち込めば、キチンと処分してくれます。

灯油と間違えて、ガソリンや混合油を給油

石油ストーブに間違ってガソリンや混合油を給油してしまい、火災になってしまった…という事例もあるそうです。特にガソリンは、揮発性が高く引火点が非常に低い引火性液体ですので、絶対に間違わないようにしましょう。間違ってガソリンを給油してしまった場合には、炎がまたたく間に周囲に燃え広がる危険性があります。

電気ストーブや電気こたつによる火災について

電気ストーブや電気こたつに関しては、直接火を使う暖房機器ではないため、「火災の心配などない…」と考えてしまっている方も多いです。しかし消防庁が発表したデータによると、平成26年から平成30年までの5年間で「電気ストーブによる火災:2,442件」「電気こたつによる火災:192件」と、意外に頻繁に発生していると言えるのです。
これらの機器による火災に関しては、やはり「裸火がないため火災は発生しにくいだろう…」と使用者が油断していたことが大きな原因だと言われています。電気ストーブや電気こたつに関しても、以下のような使い方をすれば、火災の危険があると考えなければいけません。

電気ストーブをつけたまま寝る

石油ストーブと同じく、電気ストーブも就寝する時には電源を切っておきましょう。電気ストーブの火災では、寝返りをうった際に、ストーブに布団が接触してしまい、そこから引火してしまう…というものが多いです。直接火を使う暖房器具ではないのですが、電気ストーブも高温になりますので、布団などの可燃物が接触してしまうと引火してしまうのです。

カーテンなどに接触している

電気ストーブは、「どこに置くのか?」も意外に重要です。近づきすぎると暑すぎるため、人がいる位置から多少離れた場所に置いておくのが普通です。ただし、ストーブを置く位置に関しては、周囲に引火しそうな可燃物を置かないようにしなければいけません。
過去にあった電気ストーブの火災事例では、カーテンの近くに置いてしまい、目を離したすきにカーテンに引火してしまった…というものがあります。

洗濯物に引火

電気ストーブを使って洗濯物を乾燥させる人も多いです。しかし、石油ストーブとは異なり、裸火がない暖房器具ですので、ギリギリまで洗濯物を近づけても大丈夫…なんて間違った認識を持っている方がいるのです。
上述したように、電気ストーブは非常に高温になってしまう部分があり、そこに洗濯物が接触してしまうと、引火して火災が発生してしまう危険があります。基本的には、ストーブを洗濯物の乾燥に使うのはやめておくのがオススメです。

ヒーター部分にホコリやゴミが付着していた

電気ストーブは、ヒーター部分が熱くなることで暖気できる設備となります。しかし、このヒーター部分に大きなホコリやゴミが付着していると、それに引火して火災に発展してしまうことがあるのです。
直接火を使うわけではありませんので、多少のゴミであれば問題ないと考えてしまう人もいますが、ヒーター部分のゴミは絶対にNGです。何かついているのが見えたら、すぐに取り除きましょう。

こたつ布団の押し込みが火災を引き起こすことも

電気こたつの場合、こたつ布団が原因となる火災事例が存在します。これは、こたつ布団を足などで押し込んでしまった際、その布団がヒーターに接触してしまうことで引火してしまった…という事故です。
高齢者がいるご家庭などであれば、座椅子に座ってこたつに入るなんて使い方をする場合があるのですが、座椅子で布団が押し込まれることによってこういった事故の危険があります。十分に注意しておきましょう。

まとめ

今回は、冬場に増加する暖房器具が原因となる住宅火災について、自宅で暖房器具を使用する際の注意点についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、石油ストーブや電気ストーブ、電気こたつといった暖房器具は、少しの不注意や勘違いが原因となり、住宅火災を引き起こしてしまうことがあるのです。

特に、石油ストーブに関しては、直接火を使う設備となるため、なんとなく火災の危険がある…ということは理解できると思います。しかし、電気ストーブや電気こたつという設備に関しては、裸火がない事からテキトーに使用していても火災原因になることなどないと勘違いしている人が非常に多いのです。

最後に、皆さんに知っておいてほしいのは、「ストーブ火災」というものは、そのほとんどが石油ストーブを使っているご家庭で起きていると考えがちですが、実際にはそうではないということです。実は、東京消防庁が公表した平成28年中に起きたストーブ火災では、なんと全体の76%が電気ストーブが原因だったものなのです。これは、「電気ストーブは火を使わないから安心!」という利用者の油断から来ているものだと考えられますので、「電気ストーブも火災原因になりうる!」ということをしっかりと認識しておくようにしましょう。