日本の空き家問題が深刻化!空き家の放置は所有者にもさまざまなリスクがあるってご存知ですか?

今回は、年々深刻化していると言われている『空き家問題』について解説していきたいと思います。少子高齢化が進む日本では、空き家問題が深刻化の一途をたどっていると言われており、2019年に総務省から発表された日本の空き家率(2018年度)は「13.6%」となっていました。こういった表記では、その深刻さがイマイチ伝わらないかもしれませんが、なんと日本にある住宅の7、8戸ににつき1戸は空き家状態になっているのです。そして、近い将来、空き家になる可能性が高い『空き家予備軍』に関しては、日本の総住戸数の1/4に登るとも言われているのです。

こういった状況の中、2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、空き家所有者への風当たりが非常に強くなっています。空き家は、住んでいない住戸の事なのですが、所有者は住んでいない状態であっても管理が義務化されており、管理を怠った場合にはさまざまな罰則が与えられる可能性があるのです。
先日大手新聞でも取り上げられていたため、目にした方も多いと思うのですが、大阪市の空き家戸数は全国の市町村で最も多いと言われており、いつあなたが所有している空き家に問題が生じてしまい、罰則を科せられてしまうか分からないような状況と言えます。そこでこの記事では、日本の空き家問題の現状をご紹介するとともに、空き家所有者にどのようなリスクが存在するのかも解説していきたいと思います。

日本の空き家問題の現状

それではまず、年々深刻化の一途をたどっていると言われている日本の空き家問題の現状をご紹介しておきましょう。

引用:総務省資料より

上のグラフは、2018年における最新の調査データです。この調査によると、日本国内の空き家総数はなんと846万戸に及び、空き家率は13.6%と、どちらの数値も過去最高となっています。空き家問題の背景には、日本の人口減少や少子高齢化などの社会構造問題があるのですが、このような状況でも「新築住宅の過剰供給が止まらない…」という日本の新築神話も大きな要因と言われています。

日本は諸外国に類を見ないほどの新築信仰が強いと言われる国で、中古住宅がたくさん余っている状況にもかかわらず、結婚や出産などのライフスタイルの変化に応じで新築住宅を購入するという方が多いのです。そして、新築住宅を建てる際にも、実家など今まで住んでいた家を取り壊さないことなどから、住宅の数がどんどん増えていってしまっているというのが現状なのです。

実際に、この記事を読んでいる方の中にも、相続した住宅など、実際には住んでいない古い家を所有している…という方も多いのではないでしょうか?しかし、そういった空き家が、所有者にさまざまな影を落とすようになっているのです。以下で、空き家所有者が考えておかなければならないリスクに関してもご紹介していきましょう。

空き家所有者のリスクとは?

それでは、ここからは、空き家所有者に存在するリスクについてご紹介していきましょう。空き家問題は、空き家を所有している全ての人に影響を与えるものです。特に、2015年に施行された「空き家対策特別措置法」によって、空き家を所有し続けるリスクは非常に大きくなっているのです。

以下で空き家所有者のリスクについて詳しくご紹介していきます。

固定資産税が大幅に増税されるかも…

空き家所有者の方であれば耳にしたことがあると思うのですが、以下のような状態の空き家は『特定空き家』と自治体に位置づけされてしまいます。

  • 倒壊などの危険がある
  • 衛生上、周囲の有害になる恐れがある
  • 適切な管理が行われていないことで、景観を著しく損なっている
  • 周辺の生活環境保全を考慮した場合、放置が不適切と判断されるもの

要は、劣化が著しく進んでおり、地震や台風などの天災があった場合、倒壊などによって周囲に危害を及ぼす恐れがあるものや、ゴミなどが捨てられられて異臭を放っている、放火の危険があるなど、周辺環境の保全を考慮すると不適切と考えられる空き家が『特定空き家』に位置付けられるのです。
そして、こういった特定空き家に対しては、行政指導や行政処分が行われることになるのですが、その指導に従わない場合、固定資産税の軽減措置が撤廃されてしまう訳です。そもそも、住宅が建っている土地というものは、『住宅用地の特例』という軽減措置が適用されており、以下のような優遇状態にあります。

  • 200㎡以下の小規模住宅用
    固定資産税:課税標準×1/6、都市計画税:課税標準×1/3
  • 200㎡超の一般住宅用地
    固定資産税:課税標準×1/3、都市計画税:課税標準×2/3

要は、各自治体から特定空き家に位置付けられ、行政指導などを受けたのにもかかわらず、その指導に従わない場合には、上記の優遇措置が撤廃されてしまうことになるので、固定資産税は最大6倍にまで跳ね上がってしまうのです。空き家は、そこに存在するだけで急速に劣化してしまいますし、非常に大きな金銭的リスクと言えるでしょう。

過料のリスクも…

特定空き家に位置付けられ、固定資産税が増税する前段階には、自治体による現地への立ち入り調査が行われます。この調査に関しては、強制ではないのですが、応じない空き家所有者には20万円以下の過料が科せられます。また、固定資産税の軽減措置撤廃後には、「命令」という行政処分が下されるのですが、それに従わない場合は、50万円以下の過料となります。

なお、この『過料』に関しては、行政上の秩序罰ですので、刑罰ではなく前科などはつきません。

最終的には『行政執行』に…

行政処分などにも応じない場合は、最終的な措置として、空き家の解体や一部撤去などの行政執行が行われます。執行は強制ですので、空き家所有者の意思確認などは一切なく進められます。
そして、建物の解体などを行う解体業者に関しても、所有者が選定することもできず、解体にかかる費用などの一切を負担しなければいけません。行政執行にかかる費用の支払いに関しては、それを拒めば財産の差し押さえなどのリスクもあるなど、非常に強い措置となります。

空き家の管理や活用方法とは?

ここまでの内容で分かるように、空き家所有者は、適切な管理を行っていなければ、大幅な増税や過料、行政執行などによる金銭的リスクが存在するのです。それでは、空き家の適正管理や有効活用とはどうすれば良いのでしょうか?

空き家の管理は非常に難しい!

各自治体から『特定空き家』に位置付けられないようにするためには、「危機管理・景観・衛生・治安」といった4つの面を考慮して適正に管理していかなければいけません。言葉で聞くだけであれば、そこまで難しく感じないかもしれませんが、全てを適正に管理することは決して簡単なことではないのです。以下に国道交通省が公表している『特定空き家』の条件をご紹介しておきます。

・屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている。
・シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある。
・ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に影響を及ぼしている。
・立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている。
・門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れている等不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されている。
引用:国土交通省資料より

長く空き家状態で放置されている場合、落書きをされたりゴミが投げ入れられたりすることも考えられます。所有者からすれば、自分が行った事ではない不可抗力なのですが、その責任は所有者にあるとされるのです。さらに、立木の越境やシロアリの繁殖など、目に見えない部分の欠陥なども常に注意しておかなければいけません。

皆さんもご存知かと思いますが、人が住まなくなった住戸は、湿気やホコリが溜まりやすくなりますので、劣化スピードが非常に早くなります。適切な管理をする上では、最低でも月に1回は通風や掃除、目視による劣化状況の把握などが必要と言われており、かなりの手間がかかってしまう訳です。空き家が増加した現在では、空き家の管理を専門とするサービスが登場していますが、年間で10万円以上の費用がかかってしまいます。どういった方法をとるにしても、空き家の適正管理には経済的・物理的な負担が非常に大きいと考えましょう。

『賃貸物件』にすれば良い!

管理が難しいのであれば、「空き家を賃貸物件として活用すれば良い!」と考える方は多いと思います。実際に、近年では古民家を改修した空き家カフェなどの需要が高まっていますし、シェアオフィスや民泊施設など、さまざまな活用方法が考えられます。ただし、いずれの方法でも、立地条件などが非常に重要で、需要が無ければ経営は難しいものです。

しかも、貸しだすからと言って、管理が全く不要なのかというとそういうわけではありません。退去時には立会検査があったり、次の借り手を探すための原状回復や設備不良の修理など、費用負担もそれなりに必要になってしまいます。もちろん、入居者をつける、物件の管理などを全て管理会社に委託することもできますが、その場合、管理委託料がかかります。
空き家を有効活用しようと思えば、築年数や広さ、人通りなど、さまざまな条件を満たしていなければ、借り手がつかず赤字経営に…なんてことも考えられます。安易に「第三者に貸せばよい」というわけでもないのです。

解体という選択肢

借り手が付きそうにないような空き家であれば、建物の管理から解放されるための方法として、空き家の『解体』という手段も考えられます。解体すれば、シロアリ被害が…、放火の心配が…などと言ったリスクから解放されますし、有効な手段と考える方も多いです。

ただし、解体という手段を選択した場合には、建物の解体費用で数百万円というコストがかかってしまう上、その後は固定資産税が増税になってしまう…ということを忘れてはいけません。上述した、固定資産税の優遇措置は、「住宅が建つ土地」ということで得られているメリットです。つまり、建物を解体してしまえば、無条件でその優遇措置がなくなってしまう訳です。

さらに、建物を解体したからと言って、全ての管理から解放されるかというとそうではありません。例えば、草が生い茂るような状況になると、動物が集まり糞尿の臭いで周辺環境を壊す…、不法投棄をされてしまうなど、さまざまな問題が考えられます。所有者はこういった事が無いように、定期的な点検、草木の剪定などの管理は義務となります。なお、建物を解体した後は、その土地を活用するために駐車場やトランクルームなどにするという方も多いのですが、相当立地が良くなければ、収益性が低く、固定資産税や維持費用を考えると赤字経営になる…なんて場合が多いです。

まとめ

今回は、非常に深刻な社会問題となっている日本の空き家問題についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、少子高齢化の進む日本では、どんどん空き家が増加しており、現在では7、8戸に1戸は空き家になっている…なんてとこまで来ているのです。こういった問題は、「田舎の問題でしょ!」と思うかもしれませんが、そんなことはないのです。実際に、日経新聞の記事によると、2018年の調査では、大阪市の空き家総数が、全国の市町村で最も多くなっていると紹介されており、都会の方がより深刻な状況と考えられるのです。

特に、空き家を所有している方は、日々の生活に追われてしまい、空き家の管理がおざなりになってしまっている…なんて状況ではないでしょうか?実際に、街中を少し歩いてみると、今にも朽ち果てそうな空き家がたくさん放置されているのを見かけることは非常に多いと思います。こういった状態の空き家を放置していると、最終的に行政執行まで行きついて、問答無用で数百万円単位の解体費用を支払わなければならない…なんてことになりかねません。

相続などで、古い家を手に入れたけど、持て余している…なんて方は非常に多いと思いますので、お気軽にむとうの家までお問い合わせください。むとうの家では、空き家の適切な有効活用方法や、不用になった空き家の買取りなど、お客様にとって最適なご提案を行っています。

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