憧れのマイホーム購入!ローンではなく現金一括で購入するメリットってある?

憧れのマイホームを手に入れようと検討した場合、どのような手段で物件を購入するのかが気になってしまうという方も多いのではないでしょうか。一口にマイホームと言っても、その選択肢は新築一戸建て、中古住宅、分譲マンションなど、さまざまな物件の種類があるのですが、どのタイプの家を購入するにしても多額の資金が必要になってしまいます。

現在では、マイホームの購入には住宅ローンを利用するというのが一般的なのですが、住宅ローンを利用した場合、利息や融資手数料と言った諸費用が発生してしまうことになります。住宅ローンについては、他のローンと比較すると、圧倒的に金利が低く設定されていますが、元となる住宅購入費が非常に大きな金額になるわけですので、金利が安くなったとしても利息の支払い分は大きなお金になります。そこで、「まとまった現金を持っているのなら、マイホームも現金一括で購入したほうがお得なのかな?」と疑問に感じてしまう方が意外に多いと言われています。

そこでこの記事では、憧れのマイホームを、現金一括購入する場合のメリットや注意点についてまとめてみたいと思います。

現金一括でマイホームを購入するメリット

それでは、現金一括でマイホームの購入をするという選択肢のメリットからご紹介していきましょう。マイホームの購入は、人生の中で最も高額なお買い物と言われますし、多くの方が住宅ローンを利用するという選択をするようです。住宅ローンを利用すれば、万一の時のためのまとまった資金を残しておくことができるという点が大きなメリットとみなされているのだと思います。また、新築一戸建てとなると、3,000万円~5,000万円程度の資金が必要になりますし、なかなかその金額をポンと出せるような人は少ないものです。

それでは、まとまった現金を持っている方が、住宅ローンを使用せずに現金一括で家を購入するメリットとは何があるのでしょうか?以下で見ていきましょう。

①購入手続きの負担が少なくなる

現金一括でマイホームの購入をすると考えた場合、住宅ローンを利用するのと比較すれば、各種手続きの負担が少なくなるというのが大きなメリットになります。分かりやすく言えば、住宅ローンを組む場合には、お金のやりとりだけでなく、書類をたくさん用意して金融機関に提出し、審査してもらう必要があるわけです。以下に現金一括とローンを組む場合の手続きの違いを簡単にご紹介しておきます。

■現金一括購入の流れ

  • STEP1.物件の購入申し込み
  • STEP2.売買契約(手付金の支払い)
  • STEP3.物件の残代金の支払い(決済)=引き渡し(2〜3は同時に行われることもある)

■住宅ローンを利用する際の流れ

  • STEP1.物件の購入申し込み
  • STEP2.住宅ローンの事前審査
  • STEP3.売買契約(手付金の支払い)
  • STEP4.住宅ローンの本申込み(ローンの本審査)
  • STEP5.融資(住宅ローン)承認
  • STEP6.金融機関との金銭消費貸借契約(ローンの借入契約)
  • STEP7.融資が実行される
  • STEP8.物件の残代金の支払い(決済)=引き渡し

上記のように、現金一括で購入する場合の方が、各種手続きが圧倒的に簡素化されるわけです。この違いによって、家を購入するための手間や時間が大幅に軽減・短縮されます。例えば、何らかの理由で家の購入を急いでいるという場合、家の状態などにもよりますが、現金一括の場合であれば、最短1週間程度の期間があれば売買契約~引き渡しまで完了させることもできるのです。
住宅ローンの場合は、どれだけ急いだとしても、金融機関の審査が必要になるので、引き渡しまでに1~2カ月程度はかかります。

ちなみに、現金一括の場合と住宅ローンを利用する場合の書類に関しても以下で大まかにまとめておきます。まず現金一括の場合は、以下のような書類が必要です。

  • 住民票(登記用)
  • 本人確認書類(写真入り身分証明書)
  • 印鑑証明書(登記用)
  • 印鑑(実印と認印)
  • 銀行決済の場合は通帳、銀行印、キャッシュカード

購入者側が用意するものは、基本的に上記のような感じです。これが住宅ローンを利用するとなると、

  • 住民票(金融機関提出用と登記用)
  • 印鑑証明書(金融機関提出用と登記用)
  • 印鑑(実印と認印)
  • 収入証明書類(確定申告や課税証明書、源泉徴収票など)
  • 物件の資料(ローン審査用)
  • 銀行の通帳と銀行印
  • その他、金融機関が必要とする書類

このように、用意すべき書類などもかなり違ってきます。要は、現金一括購入の場合は、金融機関に提出する用の書類が全て必要ないので、簡素化されるわけです。ちなみに、不動産購入時の登記に関しても、ローンの場合に必要になる抵当権設定なども不要で、所有権移転登記だけで済みます。

②利息の支払いがない

当たり前のことですが、現金一括で購入する場合、利息を支払う必要がないというメリットが得られます。現金一括購入の最大のメリットは、この経済的なメリットと考えられるでしょう。

上述したように、近年では住宅ローン金利がかなり低くなってきており、さらにネットバンキングが台頭してきたことにより、住宅ローンの金利は過去最低と言われるような超低金利時代になっています。

とはいえ、住宅ローンを組めば金利分の利息を支払わなければならないことには変わりないので、この点は現金一括の非常に大きなメリットになるでしょう。特に、住宅は非常に大きな金額が動く取り引きですし、例えば、5,000万円の住宅を購入する場合、0.5%の35年ローンを組んだとすれば、その利息総額は約450万円にもなるのです。現金一括の場合、この費用を抑えることができるので、住宅購入の総額が安くなります。

③購入時の諸経費も少なくなる

マイホームの一括購入の場合「利息分が安くなる!」と言うメリットは有名です。しかし、経済的なメリットは、利息分の支払いがなくなるだけではないのです。住宅ローンを利用して家を購入する場合、金融機関にローンを借りるための融資手数料、住宅ローンの保証をしてくれる保証会社への保証料、金銭消費貸借契約書に使用する印紙代など、さまざまな諸費用が発生します。住宅ローンを組む際に発生する諸費用は以下のような物があります。

  • 団体信用生命保険
    住宅ローンを組む際には、団信への加入が必須とされるケースがほとんどです。団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が亡くなったり高度障害に陥った場合、残債を保険会社が支払ってくれる保険です。現金一括の場合は、団信に加入する必要がありません。
  • 住宅ローン保証料
    住宅ローン保証料は、契約者が住宅ローンの支払いをできなくなった場合に備えて支払うものですので、現金一括の場合、支払う必要がありません。ローンを組む場合は、保証会社に金融機関へローンの返済をしてもらうための保証委託契約料を支払う必要があるのです。

現金一括で購入する場合でも、登記費用や売買契約書に添付する印紙代など、いくらかの諸費用は発生します。しかし住宅ローンの方が、さらに多くの諸費用が発生しますので、その分の負担を軽減できるという点は大きなメリットになるでしょう。

関連:『団体信用生命保険』の基礎知識!団信は絶対に加入しておいた方が良いの?

現金一括でマイホームを購入する時の注意点

それでは、マイホームの購入を住宅ローンを使用せず、現金一括でと考えている方に向け、いくつかの注意点についてもご紹介しておきます。

手持ちの現金が大幅に減ってしまう

上述したように、マイホームの購入は「人生で最も高額なお買い物」と言われています。つまり、現金一括で購入するという選択の場合、手持ちの資金が大幅に減少してしまうという点が注意点です。
家の購入は、「購入時に多額のコストがかかる」というイメージがあると思うのですが、購入後もそれなりにお金がかかってしまいます。例えば、不動産取得税などの税金がかかりますし、家に合う家具・家電の購入費、引っ越し費用や家の維持費など、皆さんが考えている以上にお金がかかってしまうものです。

したがって、現金一括で家を買えるだけの資金がある人でも、家の購入後の資金計画をしっかりと立てておく必要があると考えてください。家の購入により、生活が苦しくなる…などと言った本末転倒な状況は誰も望まないはずです。

住宅ローン控除が適用されない

家の購入に住宅ローンを利用する場合、住宅ローン控除という非常にありがたい制度が設けられています。そして、現金一括の場合、この制度が利用できないという点は理解しておいた方が良いですよ。住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して家を取得した場合、一定の条件を満たすことで「毎年年末の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税が控除される」という減税制度になります。この制度を利用すれば、最長10年間、最大400万円までの控除が受けられます。
この制度があるおかげで、現金で家を購入できるような人でも、わざわざ住宅ローンを利用するというケースも多いようです。なお、2022年からこの制度が改悪されるという情報が出てきていますので、その辺りはきちんと確認しておきましょう。

なお、現金一括で家を購入する場合でも、「投資型減税制度」の対象となるケースはあります。この減税制度は、長期優良住宅や低炭素住宅の認定を受けたマンションが対象など、細かな条件があるのでしっかりと確認しておきましょう。

関連:住宅ローン控除が改悪!?2022年の税制改正で噂される内容について

すまい給付金の対象が限定されてしまう

すまい給付金は、消費税率引き上げによる住宅購入の負担を軽減する目的で設けられた制度です。そのため、非課税取引となる、個人間売買(売主が個人または消費税非課税法人)での中古住宅の取り引きは対象外です。

現金一括での購入の場合、購入者が引き渡しを受けた年の12月31日時点で50歳以上、かつ年収650万円以下(あくまでモデル世帯での目安)の場合、条件を満たす住宅を購入することで給付を受けられます。

火災保険に加入し忘れがある

これは購入者の凡ミスなのですが、現金一括で住宅購入をする場合、火災保険の加入を忘れてしまっている…なんてケースが意外に多いです。住宅ローンを利用する場合、ローンの加入条件として火災保険の加入が求められますので、火災保険に未加入になるなんてことはほとんどありません。しかし、現金一括で家を購入するとなると、火災保険への加入は完全に任意ですので、条件の良い保険を探しているうちに、つい契約を忘れてしまう…なんてことが考えられるわけです。

近年では、木造住宅でも燃えにくい建材が採用されていますので、「火災保険は不要かな」と考えてしまう方も多いようです。しかし、火災保険と言うものは、住宅火災の補償をしてくれるだけでなく、台風や落雷など、さまざまな自然災害による損害も補償してくれるのです。さまざまな自然災害リスクがある日本の住宅は、火災保険が必須と考えておいた方が良いですよ。

まとめ

今回は、マイホームの購入を現金一括でする場合のメリットと、あらかじめ押さえておきたい注意点についてご紹介してきました。

多くの方が住宅ローンを利用して家の購入を進めるのですが、別に住宅ローンは使わなければならないというような物ではありません。この記事でご紹介したように、現金一括であれば、手続きの手間や時間の軽減ができるだけでなく、利息分の支払いがなくなるなど、経済的なメリットも非常に大きいと考えられるわけです。
ただし、家の購入は、購入後もそれなりにお金が出ていってしまう…と言うことを計算に入れておかなければ、家の購入が原因で生活が苦しくなってしまうなど、本末転倒な結果を招いてしまいます。世の中には、ローンを組むことを極端に嫌う方もいるのですが、住宅ローンは普通の借金とは別物と考えても良いと思いますので、手持ちの資金などと相談しながら利用を検討してみましょう。