『団体信用生命保険』の基礎知識!団信は絶対に加入しておいた方が良いの?

憧れのマイホームを手に入れる際には、ほとんどの場合、住宅ローンを利用することになると思います。そして、住宅ローンの借り入れを行う場合には、団体信用生命保険に加入することが条件になります。「フラット35」など一部例外はあるのですが、基本的には『団信』への加入が必要になるため、これがどういったものなのかは皆さんも理解しておくべきでしょう。

団体信用生命保険については、住宅ローンの契約者の方が返済途中に亡くなってしまったり、高度障害状態になってしまった場合に、ローンの残額を肩代わりしてくれる住宅ローン専用の保険となります。住宅ローンは、35年など借入期間が長いことから、この間に万一のことがあってもおかしくありません。団信に加入していれば、そういった万一の際も、残された家族が、住宅ローンの返済によって経済的に困らなくても良いようになる生命保険の一種だと考えられています。

ただし、団体信用生命保険にもいくつかの形態が存在していますし、加入前に知っておきたい注意点もあるのです。そもそも「団信は絶対に加入しなければいけないの?」と疑問に思ってしまっている方も多いと思いますので、この記事で『団体信用生命保険』の基礎知識をご紹介しておきます。

団体信用生命保険とは?

それではまず、『団体信用生命保険』がどのような保険なのかについて簡単にご紹介しておきましょう。

冒頭でご紹介したように、団信は、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった際、残りの住宅ローンを肩代わりしてくれる『住宅ローン専用』の生命保険となります。住宅ローンは「最長35年(50年なんて商品も存在します)」などと言われるように、長期間にわたって返済をしていくものになるのですが、この返済期間中に住宅ローンの契約者(収入の担い手)に万一のことが起こってしまうと、残された家族に大きな負担となってしまいます。
あまり考えたくないことですが、ローン契約者が亡くなってしまうと、住宅ローンという大きな借金が残ってしまう上、世帯収入も大きく減ってしまう訳です。つまり、生活をしながら住宅ローンを返済していく経済的な余裕がなくなってしまい、せっかく苦労して手に入れたマイホームを手放さなければならない…なんて事態に発展してしまう危険があるわけです。

団信は、こういった事態を防ぐために加入する保険と考えましょう。
団信に加入していれば、上述のように、ローン契約者に万一のことがあった際、保険会社から住宅ローンの残額分が支払われることになるため、残された家族は住宅ローンの返済に困ることがなく、マイホームも手放さなくても済むわけです。つまり、団信というものは、ローン契約者に万一のことがあった場合、『家族を住居費などの経済的リスクから守る』ための保険と言えるわけです。

ちなみに、団信の保険料の支払いに関しては、他の保険と異なり、明確な『保険料』としての形をとっていないケースがあります。住宅ローンの金利に団信の保険料が上乗せされている形で、保険に加入しているという認識がかなり薄い人も少なく無いのです。そのため、後から「私も団信に入っていたの!?」と驚くようなケースもあると言われています。

団体信用生命保険の種類について

団信がどういったものなのか分かっていただけたところで、種類とそれぞれの補償内容についても簡単にご紹介しておきます。実は、団体信用生命保険にもいくつかの種類が存在しており、代表的なもので分けると「通常の団体信用生命保険」「三大疾病保障付団体信用生命保険」「八大疾病保障付団体信用生命保険」の3つになります。

一般的な団信が「通常の団体信用生命保険」で、これが上述したような「ローン契約者が死亡もしくは高度障害状態になった際、ローンを肩代わりしてくれる」というものです。他の二つは、そこに特約を付帯することで、死亡や高度障害状態以外でも住宅ローンを免除できるような保険になっています。
それぞれの補償内容について、以下で簡単にご紹介しておきますので頭に入れておきましょう。

  • 通常の団体信用生命保険について
    これは、ローン契約者が死亡または高度障害状態になったとき、残された住宅ローンが完済される仕組みの保険です。
  • 三大疾病特約付団体信用生命保険について
    三大疾病特約付団体信用生命保険は、ローン契約者が「死亡・高度障害状態」に加えて、「がん、脳卒中、急性心筋梗塞」の三大疾病により所定の状態になった場合、住宅ローンの残債が完済される仕組みです。注意が必要なのは、三大疾病の「所定の状態」というのが異なる点です。商品によっても違いがありますので、その辺りはしっかりと確認しておきましょう。
  • 八大疾病特約付団体信用生命保険について
    上記の三大疾病特約付団体信用生命保険の条件に加えて、さらに「糖尿病、高血圧症、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎不全」という五疾患になった時、住宅ローンの残債が完済される仕組みです。ただし、この保険に関しても、単に罹患しただけでなく、罹患して「所定の状態になった場合」という条件がありますので注意してください。

このように、団体信用生命保険にいくつかの種類があり、それぞれに条件が異なりますので注意しましょう。なお、疾病の「所定の状態」に関しては、商品や金融機関によって違いがありますので、あらかじめ確認しておく必要があります。

団体信用生命保険の注意点

団体信用生命保険は、上記の通り、住宅ローン契約者に万一のことがあっても、残された家族が残債で経済的困窮状態にならなくても良いように…というものです。例えば、フラット35で住宅ローンを組み、団信に加入していない場合、収入の担い手となるローン契約者に万一のことがあった場合、毎月の住宅ローンの支払いが非常に大きな負担となってしまうことでしょう。「家が残るのだから…」と思うかもしれませんが、収入が大幅に減ってしまうことで住宅ローンの支払いが滞ってしまえば、苦労して手に入れたマイホームすら手放さなければならない…なんて可能性があるのです。

団体信用生命保険は、ご家族の将来的なリスクに備えるということを考えれば、非常に心強い味方となってくれるものです。ただし、いくつかの注意点も存在しますので、以下で簡単にご紹介しておきます。

団信は健康状態が重要!

団信は、生命保険の一種と言えるものですので、契約の際には健康告知が必要になります。健康告知とは、生命保険に加入希望の方が、自分の健康状態を保険会社に申告することを指しています。保険会社は、この健康告知をもとに「生命保険に加入させても良いか?」を判断するわけです。

なお、団信の健康告知に関しては、通常の生命保険よりも告知項目などは少なく、加入ハードル自体は低いと考えられます。しかし、持病や既往症を持たれている方に関しては、加入を希望したとしても断られてしまうケースも見られます。つまり、団信への加入が条件となっている住宅ローンに関しては、健康状態が理由で団信に加入できないことで、住宅ローンの審査に通らない…なんていうことも起こってしまいます。

このような話を聞くと「健康状態が悪ければ、マイホームを手に入れられない…」と不安になってしまいますよね。これに関して、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」などを活用すれば良いでしょう、フラット35は、団信への加入と住宅ローンの借り入れがワンセットになっておらず、「団信への加入は任意」になっています。つまり、健康状態にかかわりなく、住宅ローンを組めるというのがフラット35の特徴の一つになっています。

ただし、上述しているように、団信へ未加入の状態で住宅ローンを組んだ場合、ローン契約者に万一のことがあったとき、残されたご家族に大きなリスクが生じてしまいます。したがって、「団信が無くても住宅ローンは組める!」と安易に考えるのではなく、持病を持っている方でも加入ができるような民間生命保険などに加入しておくのがオススメです。

団信ではカバーできない場合がある!

団信で保険金が支払われるのは、基本的に住宅ローン契約者が「死亡・高度障害状態」の時です。ただし、上述した特約を付けることで、三大疾病や八大疾病により『所定の状態』に該当した場合、保険金を受け取ることが可能です。

しかし、住宅ローンが支払えなくなってしまうケースというのは、こういった事態だけではありませんよね。例えば、怪我や病気などによって、長期間にわたって働くことができなくなってしまう…なんてことも考えられます。しかし、残念ながら団信に加入していたとしても、支払い条件を満たしていない場合は保険金を支払ってもらうことができないわけです。このような場合、大幅に収入が減少した中で、毎月の住宅ローンを支払い続けなければならず、かなり大きな負担となってしまいます。

ここで覚えておきたいことは、団体信用生命保険に加入していたからと言って、すべての事象に対して保険金を支払ってもらえるわけではない…ということです。団信でカバーできないような長期的な休業による収入減に備えるには、民間保険の就業不能保険などに加入しておかなければならないと考えましょう。

民間生命保険の方がお得な場合も

団信の保険料は、ローン金利に上乗せして支払うものというのが一般的です。したがって、年齢や健康状態などに関係なく。保険料や補償内容が設定されると考えられます。一方で、民間の生命保険の場合は、年齢や健康状態によって保険料や補償内容が大きく違ってきます。

例えば、若くて健康状態の良い方などであれば、保険料も割安で手厚い補償がついていることでしょう。さらに、タバコを吸わない方であれば、「非喫煙割引」などが適用できるような生命保険があり、若い人ほど民間生命保険の方が有利になる場合があるのです。つまり、40代以下の健康な方であれば、団信に加入するのではなく、通常の生命保険で万一に備えておく方が手厚い補償を受けられる可能性があると考えましょう。

なお、既に民間の生命保険に加入している方が、団信に加入する場合、保障内容に重複している部分がないか確認しておきましょう。重複するものがある場合は、無駄な保険料を支払うことになるかもしれませんよ。

まとめ

今回は、住宅ローンを利用する場合に、ワンセットになることが多い『団体信用生命保険』の基礎知識についてご紹介してきました。団信に関しては「加入しなくてはいけないものなの?」と疑問に思う方が多いと思うのですが、あくまでも任意で加入するもので、団信とワンセットになっていない住宅ローンも存在します。基本的には、保険料が金利に上乗せされますので、加入したくない…と考えてしまう方も多いようですね。

しかし、団体信用生命保険は、ローン契約者に万一のことがあった場合、住宅ローンの残債を支払ってくれるなど、残された家族にとっては非常に心強い味方となってくれます。団信に加入していなければ、住宅ローンの支払いで生活が困窮してしまったり、最悪の場合、苦労して手に入れたマイホームを手放さなければならない…なんてことも考えられるのです。
どのような保険に関しても、『万が一』の事を考えて加入するものだと思います。特に、住宅ローンに関しては、支払期間が非常に長いという特徴があるため、リスクに備えられるという団信のメリットは非常に大きいのではないかと思います。もちろん、民間の生命保険でカバーできる場合もありますので、その辺りはしっかりと慎重に検討するようにしましょう。