近年人気の『金属屋根』を徹底解説!金属屋根の種類やメリットをおさえておきましょう!

住宅にとって『屋根』というものは、中に住む人を風雨から守ってくれる非常に重要な部位となります。そしてこの屋根に関しては、古くから瓦屋根が採用されてきた日本ですが、近年の新築業界では屋根に採用される建材が変化していっているのです。

瓦屋根は、単に歴史のある屋根材というだけでなく、非常に高い耐久力を持っていることやメンテナンスの手間が少なくなるなどのメリットがあると言われています。しかし、他の屋根材と比較すれば、非常に重量のある建材となるため、建物にかかる負担が大きく耐震性にも悪影響を与えると言われているのです。そこで、新築業界などでは、徐々にスレート屋根が採用されることが増えていき、一時期はスレート屋根が新築業界で圧倒的なトップシェアを誇っていました。しかしここ数年の新築業界を見回してみると、ガルバリウム鋼板製の金属屋根材のシェア率が急激に高くなっており、2015年頃にはスレート材と並んでトップシェアを誇るようになっていると言われています。

金属屋根材は、非常に軽量だということが大きなメリットで、屋根リフォーム業界では非常に高い人気を誇っていたのですが、ここにきて新築時でも屋根に金属屋根を採用する方が増えているわけです。そこでこの記事では、これから新築戸建て住宅の購入をご検討中の方に向け、金属屋根の基礎知識やメリット・デメリットについてご紹介していきたいと思います。

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金属屋根にも種類が存在する!

それではまず、金属屋根の種類についてご紹介していきましょう。一口に『金属屋根』と言っても、さまざまな種類が存在します。例えば、一昔前までであれば『トタン屋根』などと呼ばれる金属屋根素材が主流だったのですが、非常にサビに弱く耐久力が低いということで、現在では一般住宅に採用されることはほとんどなくなっています。

ここではまず、代表的な金属屋根素材の種類と、それぞれの耐用年数に関してご紹介しておきます。

トタン屋根

鉄板を亜鉛でメッキした屋根材です。トタン屋根の名称で知られており、非常に安価で軽量という特徴を持っているため、一昔前までは一般住宅でも良く使用されていました。
しかし、非常にサビに弱く、熱を通しやすい、遮音性が低いなど、一般住宅の屋根材としては弱点が多いのがデメリットと考えられ、現在では工場や倉庫などの施設で採用される程度になっています。表面塗装が剥げてしまうとすぐにサビてしまい、穴が開いてしまうような素材で、一般的な耐用年数は10~20年程度と言われています。

ガルバリウム鋼板屋根

鉄板を、アルミニウムと亜鉛の合金でメッキした屋根材で、現在一般住宅の金属屋根と言えば、この素材が主流です。上述したトタン屋根と比較すれば、非常に耐食性が高く、長持ちするのが特徴です。なお最近では、ガルバリウム鋼板をさらに改良した『SGL(スーパーガルバリウム)』に切り替わってきています。
ガルバリウム鋼板屋根は、非常に軽量で熱反射性に優れる、多彩な塗装が可能になるなどのメリットが存在しており、一般住宅の屋根材としては非常にメリットが多いと言われています。耐用年数は、25~35年程度と、十分に長いのも魅力です。

ステンレス屋根

キッチンなどの使用されるステンレスは、錆びに非常に強いことが魅力です。屋根は常に風雨にさらされますので、このサビに強いという素材的特徴が大きな魅力になるのです。ちなみに、鉄にクロム・ニッケルなどを含んだ合金の屋根材です。
ステンレス屋根は、耐久性・耐食性に非常に優れているという特徴があるのですが、屋根材としてみた場合には、高額という致命的な欠点があります。ただし、耐用年数が35~50年程度と言われており、非常に長持ちするのは魅力的ですね。

銅板屋根

銅板屋根は、非常に加工しやすいという特徴を持っています。その加工性の高さから、複雑なデザインをかたどることが可能で、一般住宅などではなく寺社仏閣の屋根材として利用されることが多いです。
銅板は、徐々にサビが生じるようになり、銅素材特有の『緑青』に変色していくことが、寺社仏閣などでは良いとされます。一般住宅では、変色は好まれませんし、部分的な板金素材として利用される程度です。耐用年数は40~50年程度で、非常に長持ちするのですが、メンテを怠ると意外と簡単に穴が開いてしまうので注意が必要です。

チタン屋根

耐用年数が50年以上と、非常に長持ちする耐久力がこの素材の魅力です。また、非常に軽量ですので、建物への負担が少なくなり、耐震性能に有利という特徴も持っています。
しかし、非常に加工が難しく、高価な屋根材となってしまうというのが難点で、一般住宅の屋根材として採用されることはあまりありません。

金属屋根にも、上記のようにさまざまな素材が存在しています。2021年現在は、新築業界・屋根リフォーム業界共に、ガルバリウム鋼板製屋根が主流です。つまり「金属屋根=ガルバリウム鋼板屋根」と考えておいて間違いありません。

金属屋根のメリット・デメリット

それでは、住宅の屋根材として金属屋根を選択した場合、どのようなメリットが得られるのかについてご紹介していきましょう。ここでは、注意しておきたい金属屋根のデメリット面も簡単にご紹介しておきます。

金属屋根のメリット

それでは、新築戸建住宅などで、金属屋根を選択した場合に得られるメリットからです。金属屋根は、全屋根材の中でも特に軽量だという点がメリットだと言われています。以下に、金属屋根の代表的なメリットをご紹介しておきます。

  • 非常に軽量
    まずは『軽量である』というメリットです。スレート屋根なども、瓦屋根と比較すれば圧倒的に軽量です。しかし、ガルバリウム鋼板屋根は、それよりもさらに軽量で、建物にかかる負担を大幅に軽減してくれるのです。屋根が軽量になれば、建物の重心が低くなり、建築物の耐震性が向上するというメリットも得られます。地震が多い日本の住宅にとっては、最大のメリットと言えるでしょう。
  • 加工しやすい
    次は、加工しやすいというメリットです。建物の用途に合わせて、シンプルなものから複雑なデザインまで、さまざまな形の屋根に対応することができます。また、シンプルな屋根デザインになりますので、スタイリッシュな洋風建築に見える屋根形状には非常に適しています。
  • 耐久性が高く維持費を抑えられる
    一般住宅に採用されることが多いガルバリウム鋼板は、サビに非常に強いなど、高い耐久性がメリットです。また、経年劣化なども少なく、素材自体が比較的安価なことから、屋根の維持費自体を抑えられると言う点も大きなメリットになるでしょう。

金属屋根のデメリット

上述したように、金属屋根は非常に多くのメリットが存在しています。ただし、何のデメリットもない…というわけではなく、いくつかの注意点が存在していますので、以下ポイントは絶対におさえておきましょう。

  • 遮音性が低い
    金属屋根は、非常に薄く成形されていますので、屋根を打つ雨音が室内にまで伝わる可能性があるなど、遮音性が低いのがデメリットになります。ただし、断熱材が一体となった屋根材や、屋根裏に対策を施すなどすれば、そこまで遮音性の低さが目立つこともないと思います。
  • 断熱性が低い
    金属を素材とした屋根材ですので、熱伝導率が高いなど、断熱性が低いと言う点もデメリットです。何の対策も行わなければ、屋根部分から室内の熱が逃げる、外気温の影響を受けやすくなるなど、住みにくい環境になってしまう危険があります。したがって、金属屋根を採用する場合には、屋根裏断熱をする、断熱塗料を採用するなど、何らかの対策が必要になります。
  • サビる
    ガルバリウム鋼板屋根などは、錆びに非常に強いという耐久性が魅力です。しかし、金属なのは間違いありませんので、錆びてしまう可能性はあるのです。例えば、強風などで飛ばされてきたゴミが屋根に衝突し、メッキが剥がれてしまうと、そこからサビがひろがる…なんてリスクがあります。サビの放置は、雨漏りの危険がありますので、台風後などはしっかりと点検する必要があると考えましょう。

金属屋根のデメリットは、上記のようなポイントです。ただし、年々金属屋根の人気が高くなっていることから、屋根材としての改良も進み、断熱性や防音性がかなり改善されてきています。したがって、最新の金属屋根素材であれば、デメリット面もそこまで気にしなくても良いかもしれませんね。

金属屋根の代表的なメンテナンスについて

それでは最後に、住宅を維持するために必要になる金属屋根の代表的なメンテナンスについても簡単に触れておきましょう。金属屋根は、非常に高い耐久力が魅力の屋根材ですが、一度施行すれば一生そのままの形を保ってくれるというものではありません。どのような屋根材でも同じなのですが、日射や風雨の影響を受け続ける場所となりますので、適切なタイミングで必要なメンテナンスをしてあげなければいけないのです。

ここでは、金属屋根の代表的なメンテナンス手法についてご紹介しておきます。

部分的な補修

どのような屋根材でも、台風や地震の影響などで、小さな不具合が生じてしまうことがあります。もちろん、自然災害の影響以外にも、経年劣化でサビてしまったり、棟板金などの板金部分に不具合が生じてしまうなどの小さな劣化が必ず生じてしまいます。

こういった小さな不具合を放置してしまうと、雨漏りなどの被害につながりますので、見つけた場合にはすぐに専門業者に相談するようにしましょう。また、屋根の上は日常生活の中で目が行き届きにくいものですので、定期的に業者に点検してもらうようにするのがオススメです。

塗装工事

金属屋根は、表面に施された塗料が、経年劣化によって色あせたり剥がれたりします。塗装の劣化は、建物の外観イメージを壊すだけでなく、屋根機能の低下を招き雨漏りを引き起こしてしまう危険がります。

そもそも、金属は雨水に弱いという特徴があるため、塗装が施されているのですから、これが劣化してしまうと屋根全体の劣化を早めてしまうものと考えなければいけません。したがって、金属屋根を採用したとしても、定期的な塗装メンテナンスが必要と考えておきましょう。
なお、塗装メンテナンスは、一般家屋(塗り面積100平方メートル)の費用相場で50~70万円程度かかると考えておきましょう。ただし、断熱塗料や遮熱塗料など、高機能性塗料を採用する場合は、塗装工事にかかる費用が高くなります。

屋根リフォーム

上述したように、ガルバリウム鋼板屋根の耐用年数は20~35年程度です。もちろん、きちんとメンテナンスしている屋根とそうでない屋根であれば、屋根の寿命が大幅に変わってしまいます。

耐用年数が近くなった屋根であれば、カバー工事や葺き替え工事など、大規模な屋根リフォームが必要になります。カバー工事は、既存屋根をそのままに、上から新たな屋根を葺いていく工法で、既存屋根の撤去費や処分費がなくなることから、リフォーム費用を抑えることができます。
葺き替え工事に関しては、既存屋根を一度取り払ってしまい、屋根下地から新たなものにやり替える工法ですので、施工費用が高くなります。ただし、屋根部分だけは新築の状態にまで戻すことができますので、建物の寿命自体を伸ばすことができると言われています。

カバー工事か葺き替え工事どちらで施工するかは、既存屋根に使用されている屋根材の劣化状況や、屋根下地の劣化状況などにより選択する形になります。

まとめ

今回は、屋根リフォーム業界だけでなく、新築業界でも年々その人気が高くなっている金属屋根素材の基礎知識についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、金属屋根は非常に軽量な屋根材で、建物にかかる負担が大幅に軽減されることや建物自体の耐震性を向上させることが大きな特徴です。この特徴は、地震や台風などの自然災害が多い日本の事を考えれば、非常に優れたメリットと考えられ、年々そのシェア率が伸びているのだと思います。

ただし、どれだけ優れた屋根材だとしても、何のデメリットもないということはありませんので注意しましょう。特に、ガルバリウム鋼板屋根は、非常に高い耐久力がセールスポイントとして押される事が多く、業者の営業トークを真に受けて「ガルバリウム鋼板屋根はメンテナンスフリーだ!」なんて変な勘違いをしている方が多くなっているように思えます。
はっきり言っておきますが、この考えは大きな間違いであり、どれだけ耐久力が高いガルバリウム鋼板屋根でも、定期的なメンテナンスは絶対に欠かすことができません。特に、屋根の頂上部分の棟板金などは、徐々に固定が緩んでしまい、強風で吹き飛ばされてしまう…なんて被害が増えています。このような事故を無くすためにも、金属屋根も定期的な点検とメンテナンスが大切だと覚えておきましょう。