家は建てて終わりではない!将来的に必要になる住宅メンテナンスについて!

「一生のお買い物」などと言われる住宅の購入ですが、これは家の購入に多額の費用がかかるという意味だけで言われているわけではありません。というのも、住宅というものは、そこに存在するだけで徐々に劣化が進行してしまい、家の購入後も年月の経過に合わせてさまざまなメンテナンスが必要になるのです。

実は、こういった『住宅メンテナンス』に関しては、家を購入する際にほとんどの方が見落としてしまっています。もちろん、誰もが憧れるマイホームの購入ですから、気分が高揚してしまい将来的にかかってくるコストまで考えたくない…なんて心理が働くのも理解できます。
しかし、築年数が経過するごとに、必要になる住宅のメンテナンスの中には、意外に高額な費用がかかるものも少なく無く、計画的に住宅メンテナンスにかかる費用を積み手立てておく方が安心なのです。例えば、メンテナンスコストが高額だからと、必要なタイミングでメンテナンスを行えなかった場合、急速に劣化が進行してしまうことで、住宅自体の寿命を縮めてしまう…なんて残念な将来が待っていると考えなければいけません。

そこで今回は、新築戸建て住宅の建築時に、多くの方が見落としてしまうメンテナンスについて、「いつ、どこの部分に、どれぐらいのコストがかかるのか?」ということをまとめておきたいと思います。これから、住宅の購入を検討している方にとって、絶対に見逃すことができない情報ですので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

住宅を長持ちさせるにはメンテナンスが必須!

新築戸建て住宅を購入した時には、自分の想いが詰まった素敵な家で長く暮らしていくことばかりが頭に浮かぶと思います。しかし、冒頭で触れたように、家は建てたら終わり…という訳ではなく、長く住み続けるためには、定期的な修繕・メンテナンスが必要になるのです。例えば、天候が悪い日には雨水の影響を受けますし、台風や地震などの自然災害があれば、大きなダメージを受けてしまうことも考えられます。それどころか、天気の良い日であっても、紫外線を浴びることで家は劣化が進行してしまうものなのです。

戸建住宅がマンションなどと比較して『住宅メンテナンス費』が見落とされてしまうのは、マンションなどでは購入後も、主に共用部分を管理していくために「修繕積立金」を支払わなければいけません。したがって、「建物はメンテナンスが必要なのだな…」ということが常にイメージできるわけです。しかし戸建て住宅の場合、住宅の維持管理は持ち主が全て行わなければならないため、「将来的なメンテナンス費用」について見落としてしまうことが多いわけです。

上述していますが、住宅を維持管理していくためには、定期的なメンテナンスが必要になり、そしてそのメンテナンスには思いのほか大きな出費を伴う…ということを頭に入れておきましょう。突然の自然災害により想定外の住宅被害も考えられますが、家の屋根や外壁、水回りなどはそこにあるだけでも経年劣化が進行してしまうものなのです。
家を購入する時に、将来的に「どのタイミングで、どんな支出があるのか?」を知っておくことで、計画的に家を維持していくことができるようになります。

家のメンテナンスタイミングとは?

それではここからは、実際に大切なマイホームを長く維持していくため、皆さんが考えておきたいメンテナンスタイミングの目安についてご紹介していきましょう。

住宅メンテナンスのタイミングに関しては、『耐用性』と『耐久性』という二つの考え方があります。耐用性とは、「使用していて使いやすい状態にあり続ける」という指標で、見極めポイントとしては「利用はできるが使いにくくなる…」と言う点がポイントになります。言い換えれば、実際には使えはするけれど、便利さやコスト、安全面などを考えると「使いにくい…」となり、利用できなくなるまでの期間が耐用年数と呼ばれます。
耐久性に関しては、本来の機能として使い続けられなくなることを言います。分かりやすく言うと、外壁や屋根、内壁のクロスなどにおいて、見た目上は変わっていなくても、本来の機能が発揮できなくなってしまった状態です。このような、機能性を失う期間の事を耐久年数と呼びます。

ちなみに、法的耐用年数というものは、法的に定められた減価償却の目安になる年数で、日本国内に多い木造住宅の場合は『22年』となっています。耐久年数に関しては、その製品を製造しているメーカーなどが「独自のテストや判断において使用に問題がない」と提示している年数が目安です。
こういった耐用年数や耐久年数に関しては、設備や部材、どの部位なのかによってかなり異なり、実際の使い方などによっても劣化具合が変わってきてしまいますので注意しましょう。

この記事では、一般的な木造住宅に必要と言われている「築10年目でのメンテナンス」「築20~30年目でのメンテナンス」について、以下でご紹介しておきます。

最適なメンテナンスタイミングを覚えておきましょう!

それでは、家の購入時点で考えておきたいメンテナンスタイミングをご紹介していきましょう。上述したように、住宅はそこに存在するだけで徐々に劣化が進行してしまうものです。したがって、どのような住宅に住んでいるとしても、築10年目でのメンテナンスと築20~30年目でのメンテナンスが必須と考えておかなければいけません。

以下でそれぞれのタイミングで、どのようなメンテナンスが必要になるのかをご紹介しておきます。

築10年目で必要になるメンテナンス

一般的な住宅であれば、築10年経過したあたりでさまざまな劣化症状が表面化してきます。ただし、このタイミングであれば、そこまで大掛かりなメンテナンスが必要…というわけではありません。基本的に、以下のようなメンテナンスが必要になると考えておきましょう。

  • 外壁の再塗装メンテナンス⇒60~80万円程度
  • 屋根の再塗装メンテナンス⇒60~80万円程度
  • コーキングの打ち替え⇒5~20万円程度
  • 内壁のクロス張替え⇒1万円〜/㎡
  • 給湯器の交換⇒30~70万円程度(10~15年程度が一般的)

※金額は住宅産業協議会の情報を基にしています。延床面積145㎡程度の2階建て一般住宅の場合で、塗装工事などは別途足場代(25万円程度)が必要になります。

一般住宅で採用されることが多い、窯業サイディングやスレート屋根に関しては、定期的な再塗装工事が必要です。これらの建材は、表面塗装によって防水などの各種機能を得ており、使用塗料の耐久年数は7~10年程度となっているのです。グレードの高い塗料を採用すれば、それだけメンテナンススパンを長くすることも可能です。なお、外壁と屋根の塗装に関しては、紫外線の影響が大きい屋根の方が劣化速度が早くなります。再塗装は、足場が必要になりますので、できるだけメンテナンスタイミングを合わせた方が足場代を節約することができます。つまり、外壁に使用する塗料と比較して、少しグレードの高い塗料を使って屋根塗装を行っておくのがオススメです。
他にも、窯業サイディングの目地や窓枠・ドア枠などの防水目的で施工されるコーキングについても、10年程度経過すればひび割れや脱落が見られるようになります。これを放置してしまうと、雨水が侵入し、住宅の寿命を縮めてしまうことになります。したがって。築10年程度を目安にコーキングの打ち替えが必要と考えましょう。
こういった住宅のメンテナンスに関しては、できるだけまとめて行う方がコストを抑えることができますので、専門業者にしっかりと点検してもらい、必要なメンテナンスを行うようにしましょう。

築20年目以降で必要になるメンテナンス

築20年目以降になると、木造住宅はかなり劣化が目立つようになります。上述したように、減価償却に使用される木造住宅の法定耐用年数が22年なのですから、20年以降住んだ家であれば、建物部分の資産価値は、ほぼなくなっていると考えても良いでしょう。さらにこれが築30年などとなると、外壁の張り替えなど、ある程度大掛かりなメンテナンスが必要になります。ここでは、築20~30年程度の住宅において、想定しておきたいメンテナンスをご紹介しておきます。

  • 外壁の増し張り・張り替え⇒40~250万円程度
  • 屋根の葺き替え⇒120~200万円程度
  • 内壁のクロス張替え⇒1万円〜/㎡
  • キッチン本体の交換⇒100~300万円程度
  • 水回り設備の交換⇒5~40万円程度

※金額は住宅産業協議会の情報を基にしています。延床面積145㎡程度の2階建て一般住宅の場合で、塗装工事などは別途足場代(25万円程度)が必要になります。

築20年を経過した住宅であれば、さまざまな劣化症状が出てきていると思いますので、かなり大掛かりなメンテナンスが必要になります。屋根に関しては、新築時にスレート屋根を採用しておけば、このタイミングでカバー工事を行うことで、葺き替え工事のタイミングを遅らせることができます。つまり、新築時から将来的なメンテナンスの事も考えて、採用する建材を選んでおくことが長期的には住宅の維持コストを抑えるコツになるわけです。
他にも、外壁材の劣化や各種水回り設備の故障などが生じてしまうようになりますので、それぞれの設備の耐久性から交換を検討しましょう。

まとめ

今回は、家の購入時点から考えておきたい、将来的な住宅メンテナンスについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、長く同じ家に住むことを考えれば、適切なタイミングで必要なメンテナンスをしてあげるということが非常に重要になります。現在では、メンテナンス保証の最長期間を60年程度にしているハウスメーカーなども登場しているように、日本の住宅も長期間にわたって住むことを前提として建てられるようになっています。そのため、長期的な計画を立てて、メンテナンスを継続しながら家の状態を保つということが非常に重要になるわけです。

特に、高温多湿な日本の気候を考えると、木造住宅でのシロアリ対策は欠かす事ができないでしょう。したがって、上述した修繕・メンテナンスに加えて、5~10年程度に1度の『防蟻(ぼうぎ)処理』を行うのもオススメです。シロアリは、木造住宅の天敵になるものですので、以下のような手法で家を守るようにしましょう。

  • 土壌処理
    シロアリの侵入経路となる地面に薬剤を散布し防蟻層を作る手法です。
  • ベイト工法
    床下の基礎部分や庭などにシロアリの駆除剤入りの餌をまき、シロアリの繁殖を防止する手法です。
  • 木材の処理
    木材の表面に薬剤を塗って加工する手法です。ただし、この手法は基礎から加工が必要になりますので、メンテナンスとしては難しいです。

「一生のお買い物」と言われる住宅の購入ですので、中・長期的な視点を持って家を維持していくことを考えておきましょう。