注文住宅新築でありがちな失敗とは?新築購入を後悔しないためにおさえておくべきポイント【間取り編】

注文住宅は、「土地を購入してから、または所有している土地に、自由に設計して建てる一戸建て住宅」のことを指しています。建売住宅と比較すれば、建築コストが高くなってしまうものの、細部まで自分のこだわりを取り入れることができるため、『理想の新築一戸建てが手に入る!』ということが大きなメリットだと言われています。

しかし、設計担当者とさんざん悩んで、何度も修正を加えながらやっと完成した家にいざ住み始めてみると、「住んでみると不便に感じる部分が多いな…」「この部分の使い勝手が悪いな…」「想像した家となんか違う…」なんて感じてしまうことも多いようです。注文住宅の場合、無理を言って自分のこだわりを組み込んでもらったりしていますし、完成した家は「自分の理想通りの家」になっているはずなのに、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか?

最初に言っておきますが、注文住宅でのこのような失敗は意外に多く、高いお金をかけたのに「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうという人は珍しくありません。そこでこの記事では、注文住宅で家を建てる時に、皆さんが失敗しないために押さえておきたい『注文住宅でのよくある失敗談』をご紹介していきます。

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注文住宅新築のよくある失敗談【間取り編】

家というものは、一生のうちに何度も建てるような物ではありませんし、建築関係を生業にしている方以外であれば、ほとんどの方が素人と言えます。したがって、設計士さんとの打ち合わせなどで、図面などをもとに話している時、なんとなく理解していたつもりが、実際に住んでみると全く想像と違っていた…、頭の中で描いていた家と現実のギャップが非常に大きい…などと、後から問題が続出してしまう…なんてことが非常に多いと言われています。こういった事もあり、「家は3回建てないと本当に満足できる家は出来上がらない…」なんてことが言われているのです。

つまり、初めて注文住宅を新築するという方であれば、「理想通りに仕上がらない…」ということはある意味当然のこととも言えます。そうはいっても、せっかく高いお金をかけて購入する憧れのマイホームですし、「どうせ失敗する…」なんて考えで家を建てるわけにはいかないですよね。そこで皆さんがおさえておきたいのは、注文住宅で失敗した…と感じてしまった先輩方は、どこを見て「失敗…」と感じたのか?ということです。
「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、先輩方が失敗したと感じるポイントを押さえておくことで、自分が同じポイントで失敗することを防ぐ事ができるようになるでしょう。そこでまずは、間取りに関する失敗談からいくつかご紹介していきます!

住宅雑誌に載っているようなLDKに憧れて失敗…

家の中心部となるLDK(リビング・ダイニング・キッチン)は、誰もがこだわりを持つ部分で、後から失敗と感じてしまうことも多いです。プランニングに気合を入れ過ぎてしまうことが、余計に失敗例を増やしてしまうのだと思います。

例えば、LDKに関しては、オシャレな家にするためには非常に重要な部分ですので、住宅雑誌などにも素敵なLDKの情報が良く登場します。皆さんも、吹き抜けになっていて、リビング階段が取り付けられた開放感のあるLDKの画像などは目にしたことがあるのではないでしょうか?そして、こういった住宅雑誌に登場するLDKに憧れてプランニングしたことで後悔してしまう…ということが多いです。
近年の住宅は、高機能化していますし、築年数が経った家に比べると気密性が高いことから、冬場でも寒さを感じてしまうなんてことは少ないです。しかし、リビングに吹き抜けやリビング階段を設置してしまうと、エアコンで温めた空気などが上に逃げて行ってしまうため、暖房効率が悪いLDKが出来上がってしまう訳です。つまり、雑誌に憧れて素敵なLDKを実現した結果、「寒くて光熱費が高い家」に仕上がってしまい、失敗した…と感じてしまうという訳です。

また、こういった間取りにすると、家族間でのコミュニケーションがとりやすくなるという点がメリットとされています。しかし、コロナ禍の現在では、テレワークが始まったことで、リビングで仕事をしていると、家族全員が出入りする場所になるので、集中力が乱されてしまう…ストレスを感じてしまう…といった声を聴くようになっています。さらに、これは致し方ないのですが、実際に生活してみると、リビングが常に綺麗に整理整頓されているなんてことはなく、雑誌で見たようなスタイリッシュなLDKではなく、どうしても生活感丸出しになってしまうことで、「お金をかけた意味がない…」と失敗に感じる方が多いようです。小さなお子様がいるご家庭であれば、リビングを常に整理整頓するなんてことは至難の業ですので、憧れだけで決めるのはやめておいた方が良いです。

子供部屋で失敗…

子供部屋に関する失敗談も意外に多いです。最近では、将来子供が何人できるか分からないし…と考えて、新築時は仕切りを作らず、子供の成長に合わせてや2人目ができた時など、個室が必要になってから部屋を仕切れるように工夫しておくといった対策をとる方が増えています。

  • 子供部屋を1部屋にしたら、後から追加が必要になって困った…
    新築時は、男の子が一人だったので子供部屋は1つしか作らなかった。将来二人目が出来たらリフォームすれば良いか…と考えていたら、家が建って住み始めたその月に二人目ができ、最初から2部屋作っておけばよかった…と後悔した。
  • 受験で次男に我慢させてしまった…
    年が離れた兄弟がいるご家族で、子供部屋は一部屋で良いと判断したというパターンです。次男が「自分の部屋が欲しい」と言い始めた時、ちょうど長男の受験と被ってしまい、子供部屋は長男が受験のために占領していた。次男はやんちゃ盛りだったのですが、受験が終わるまでは何とか我慢させなければならず、申し訳なく感じてしまった…。

このように、「必要になれば仕切れば良いか!」と思っていても、比較的早く個室が必要になってしまう…ということも多く、リフォーム費用を無駄に感じてしまい「最初から仕切っておけば良かった…」と考えてしまう方も多いようです。なお、子供部屋に関しては、夫婦の部屋と隣り合った間取りはあまりオススメでないと言われています。親子であってもプライバシーの配慮は必要ですので、その辺りのことも考えながら間取りを決めましょう。

寝室に関する失敗…

寝室に関する失敗談も多いので注意しましょう。まず初めに、寝室に関して、夫婦同室にするのか、別々で設けるのかはしっかりと検討したほうが良いですよ。何らかの理由で別々にする場合でも、ずっと別々を想定するのか(子供が生まれたら片方を子供部屋に)など、将来的なことまでしっかりと考えながら広さや間取りを検討しましょう。そうしなければ、以下のような状況に追い込まれてしまう危険があります。

  • 夫婦同室にしたら、夜泣きが酷く片方がリビングで寝る羽目に…
    夫婦同室で、一緒に寝るようにしていたのですが、子供が生まれてから夜泣きが酷く、二人とも寝不足になってしまった…。このままでは共倒れになると、仕方なく奥様が子供とリビングで寝ることになってしまった…。こんなことなら寝室を2部屋作っておけばと後悔した。
  • 寝室が狭すぎた…
    「どうせ寝るだけだし」とベッドが入るギリギリの広さで設計したら、着替えにも困るぐらい狭くてまいった…。もう少し広くしておけばと後悔した。

寝室については、後から「もっと広くしておけば…」と感じてしまう方が多いので注意しましょう。また、夫婦同室を想定して間取りを決めたのに、後から何らかの理由で別々に寝ることになってしまうケースは意外に多いようです。「子供が生まれたから」など、一時的な問題であれば良いのでしょうが、仕事の関係などで生活リズムが根本的に異なる…という場合、将来それがストレスになる可能性もあるので、長期的に考えると寝室を分けておく方が良いかもしれません。

水回りに関する失敗…

水回りに関しては、戸建て住宅で後悔する方が多いポイントです。例えば、マンションなどであればスペース的な問題もありますし、洗面所と脱衣室が同じ空間にあるのは当たり前です。戸建てでも、この考えに引きずられ同じ空間にすることが多いです。しかし、生活スタイルが多様化している現在では、洗面所と脱衣所を同じ空間にして、後悔する方が多くなっていると言われています。水回り部分の不満は以下のような物があります。

  • 水回りを一緒くたにして後悔…
    洗面所と脱衣室を一緒にした場合、誰かが入浴していると洗面台が使えない…、朝は洗濯しないといけないのに、みんなが洗面台を使うから邪魔に感じてしまう…など、意外に混み合ってしまうことを不便に感じてしまう方が多いのです。戸建ての場合、スペース的な余裕はあるので、別にした方が良かった…と後悔してしまう訳です。
  • 洗濯物を干すのが……
    最近では、3階建てで屋上テラスまで備えているという住宅が増えています。こういった場合、屋上部分に洗濯物を干す想定をしている方が多いのですが、1階や2階部分に洗濯機置き場を設置してしまい、毎日の洗濯が苦痛でしょうがない…と感じてしまう方も多いです。また、近くのベランダなどに干すことにして、屋上なんてほとんど使わないのに管理が面倒…なんてポイントを後悔する人もいます。

このように、家事動線などをあまり考えずに水回りを決めてしまうと、実際に生活してみると、かなり不便で後悔してしまう…なんて方が多いのです。他にも、玄関付近にトイレを配置して、来客があった時にドアを開けづらい…、排せつ音や流水音が玄関まで聞こえるのが苦痛…なんて、配置に後悔してしまう方も多いようです。

玄関収納を設置して後悔…

玄関収納は、非常に便利なものですので、近年非常に人気の高い間取りになっています。しかし、玄関部分のこういった収納や玄関自体を広く取り過ぎてしまった事に後悔する方も多いようです。

  • シューズクロークを意外に使わない…
    靴を多く持っているのでウォークインシューズクロークを作った。しかし、日常的に使う靴をわざわざクロークまで片付けるのが面倒に感じて、玄関に靴箱が必要だった…と後悔した。また、せっかく広いスペースのシューズクロークを作ったのに子供たちは玄関に靴をぬぎっぱなしにして、あまり意味を感じなくなってしまった。
  • スルー出来ない動線になって……
    奥様側の意見でウォークスルーをを作ったのですが、夫側にとってみるとストレスに感じてしまう動線になってしまっていた。事前にもっと話し合ってシミュレーションしておけば良かったと後悔。

狭い玄関は、それだけで圧迫感を感じてしまうため、できるだけ広く構えたいと考える方が多いです。特に最近では、ウォークインシューズクロークやウォークスルーを導入して収納スペースとして利用する方が増えています。しかし、生活動線をきちんと考えて設置しないと、広いスペースを使ったのに、使い勝手が悪く結局使わなくなってしまう…なんてことも多いです。

まとめ

今回は、注文住宅を建てようと考えている方がおさえておきたい、実際に注文住宅を建てた方が、住み始めてから後悔してしまった間取りのポイントについて解説してきました。この記事でもご紹介したように、自由に自分のこだわりを取り入れる事がメリットの注文住宅ですが、そのこだわりを取り入れたことで逆に失敗した…と後悔してしまう方が存在するのです。

これについては、雑誌などで見た間取り、とにかくスタイリッシュな見た目などにこだわり、そこで本当に生活した時の自分たちをあまり想定せずに計画を進めていったというのが主な原因と考えられます。注文住宅の設計は、プロの設計士と打ち合わせをしながら進めますが、お客様が「どうしてもこうしたい!」という意見があれば、可能な限り応えたいと考える設計士さんも多いです。そのため、あまりに突飛な希望でなければ、お客様の要望をもとに設計して、住んでみると使い勝手が悪かったり、余計な光熱費がかかってしまう家になってしまうのです。

注文住宅は、見た目や流行を重視することも可能なのですが、何より重要なのは、そこでの住み心地ですので、まずは生活動線や家事動線をしっかりと配慮するようにしましょう!