木造住宅でも人気の屋上テラス!憧れだけで導入すると後々後悔するかも…

近年では、木造一戸建てを新築する際、屋上テラスを導入しようと検討している方が多くなっています。これは、狭小地を有効活用して家を建てる、コロナ禍なので敷地内で子供を遊ばせる場所が欲しいなどと言った理由からだと言われており、屋上テラスがあれば、狭小地に計画される建物にとって、プラスαの空間として非常に大きな意味を持つからです。

皆さんも、街中を歩いている際、戸建ての屋上部分でバーベキューなどを楽しんでいる家族を見て、「自分も家を建てるなら、こんな使い方がしたい!」と憧れの気持ちを持ち、実際に戸建て購入の計画を進める時に、屋上テラスの導入を本気で検討しているという方も多いかもしれませんね?確かに、屋上テラスを設けなければ、単なる屋根スペースとなってしまうことから、有効利用するにしても太陽光発電設備を設置するぐらいしかできない、デッドスペースになってしまいます。それが、家族団らんなどを楽しむことができるコミュニケーションスペースになると、非常に大きなメリットのように感じますよね。

しかし実は、木造住宅にとっての屋上テラスというものは、意外に見落とせないデメリットが存在していますので、この記事では木造戸建てに屋上テラスを設置する場合のメリットとデメリットを合わせてご紹介します。

木造住宅でも増えている屋上テラスとは?

分譲マンションなどでもルーフバルコニーがある物件の人気が非常に高いと言われていますが、近年では戸建て住宅市場でも、陸屋根を採用して屋上テラスを設置する住宅が増えています。特に注目したい点は、もともと屋上テラスは、鉄筋コンクリート造りやRC造りの戸建てで見られていたのですが、ここにきて新築木造住宅で屋上テラスの設置を希望する方が非常に多くなっています。ちなみに、既存の木造住宅においても、リフォームで屋上テラスを設置したいという方が多くなっていると言われています。

ちなみに、住宅の建築構造では、屋外に張り出した部分について、屋根がある場合は「ベランダ」、屋根がない場合は「バルコニー」となります。テラスに関しては、本来1階部分のリビングから同じ高さで屋外に張り出した屋根のない部分のことを指しているのですが、屋上スペースに設けるアウトドアリビングや庭園利用を目的とするスペースは『屋上テラス』と呼ばれます。

マンション業界で人気になっている「ルーフバルコニー」については、「ルーフ=屋根や屋上」という意味なのですが、屋上とは限らず、階下の屋根部分がバルコニーになっているものを指しています。

屋上テラスのメリット

それでは、木造戸建て住宅に屋上テラスを導入することのメリットについて考えてみましょう。大阪や東京などの都市部では、土地価格の高騰などもあり、一昔前のように「庭付き一戸建て」を気軽に購入できるような時代ではなくなっています。現在の主流は、狭小地に3階建ての戸建てを建築するといった感じになっており、隣家との距離の問題から庭を用意することが非常に難しいのです。そのような中、屋根部分がフラットな形状になる、陸屋根を採用すれば、本来はデッドスペースとなっていた部分が家族の団らんの場になったり、植栽やガーデニングを楽しんだり、幅広い活用ができると人気になっています。

ここでは、屋上テラスの代表的なメリットをいくつかご紹介しておきます。

家族の団らんの場となる

屋上テラスの導入を検討する方の多くは、狭小地の戸建て住宅でも、家族団らんのスペースが確保できるという点をメリットと感じています。地方の、庭付き一戸建てなどとなれば、庭でバーベキューするなんてことも考えられますが、庭が基本的にない都会の住宅ではなかなか難しかったというのが実情です。屋上テラスがあれば、通行人の目に触れることもありませんし、目隠しフェンスやオーニングを設置しておけば高層からの視線も防ぐことが可能です。

特に、新型コロナウイルス感染症問題がある現在では、子供を遊ばせたくても屋外は心配…などと考える方が多く、自宅内に開放感のある団らんスペースが作れるのが非常に大きなメリットになっているようです。

本来デッドスペースだった場所が有効活用できる

木造住宅の屋根というものは、太陽光パネルを設置する程度が最大限の有効活用方法でした。これは、法律的な問題から、ある程度の勾配を持たせなければならないという決まりがあったためです。現在では、この勾配に関する規定が緩和されて、木造でも陸屋根が採用できるようになっており、屋根スペースにテラスを導入し、さまざまな目的に活用するようになっています。

例えば、家の中で最も日当たりが良くなる場所ですので、洗濯物を干す場所として最適です。他には、家庭菜園やガーデニングなど、植栽を楽しむこともできますし、簡易的なドッグランなどとしても利用できます。このように、本来はデッドスペースとなっていた部分をさまざまな目的に活用できるようになったという点が大きなメリットとみなされています。

屋根メンテナンスに有利

屋上テラスを導入したとしても、その部分は屋根としての役割も同時に担っています。通常、建物の屋根は、一般の方が足を踏み入れることが難しい部分で、日々の生活の中で劣化状況などを把握しておくことは至難の業です。そのため、一般的な屋根の場合、定期的なメンテナンスを専門業者に依頼して、その都度足場を建てて作業を行ってもらうことになるのです。
しかし屋上部分があれば、住人の方が屋根の劣化状況を目で確認することができるようになり、何か異常を感じればすぐに業者に修繕してもらうことができるようになります。さらに、屋根の上の作業でも、足場の組み立てが必要なくなりますので、メンテナンスコストが削減できるというメリットが得られます。

水害発生時の避難場所になる

夏場の集中豪雨による水害が増加している現在、九州地方などでは「屋上があれば、緊急時に避難場所になる!」という点もメリットと考えられるようになっています。100年に1度レベルと言われるような大雨が毎年のように発生している現在、「直上避難」を促すアナウンスを耳にすることも増えていますが、1階の天井まで浸水するような状況になってしまうことを想定すると、屋上があったほうが安心できるようです。
通常の勾配のある屋根になると、雨で濡れている状態だと逆に危険ですし、災害時には屋上テラスがあると、安心感が高くなるでしょう。また、大規模な洪水の映像を見た時には、屋上から救助されている映像を見かけたことがあると思うのですが、空からの捜査活動が始まれば、屋上にいた方が発見してもらいやすくなる点もメリットになるでしょう。

屋上テラスのデメリット

ここまでの情報だけで考えれば、狭小地に建てることが多い大阪の新築木造住宅になると、屋上テラスは非常にありがたいスペースになりそうです。しかし、屋上テラスは、通常の屋根と比較した場合のデメリットもいくつか存在しますので、その辺りをきちんと押さえたうえで導入するかどうかを決めなければいけません。

雨漏りリスクについて

上述したように、一昔前までは屋上テラスは、鉄筋コンクリート造りやRC作りで導入されるといったイメージのものでした。これは、屋根部分の勾配の問題で、RC建築物の屋上は、1/100~1/200の勾配が望ましいとされ、屋上として活用する場合、これ以上の勾配にすると人が歩きにくくなってしまうのです。その当時は、木造住宅の場合、雨漏り対策として1/50程度の勾配が必要とされており、この条件が住宅瑕疵担保責任保険の対象基準となっていたため、木造で屋上テラスが導入されない理由になっていました。これが平成20年以降、保険の対象が1/100勾配まで緩和されたことで、木造でも屋上が作られるようになったわけです。

ただし、屋根部分の勾配が緩くなるということは、その分、雨水などの排水が鈍くなるということに間違いないです。そのため、経年劣化などで屋上部分の防水機能に不具合が生じた場合、雨漏りに直結しやすいというデメリットが生じてしまうのは忘れてはいけません。また、屋上テラスを何の目的で使用するにしても、排水溝や排水路にゴミやホコリが貯まりやすくなるので、日頃から小まめな掃除を心がけてください。

陸屋根は外壁の負担が大きい

屋上テラスを導入するということは、陸屋根と呼ばれる屋根形状になります。そして、陸屋根を採用する場合には、庇がなくなるという大きなデメリットが存在するのです。築年数が経過した日本建築の建物には、必ずと言ってよいほど『庇』がありますよね。この庇は、特に重要な部位ではないと考えている方が多いのですが、実は外壁に雨が当たらないようにする、日射の調整をするなど、非常に大きな役割を持っているのです。
つまり、庇が無い住宅というのは、外壁に直接雨水が当たりやすくなってしまい、その分、外壁の劣化速度が早くなってしまうというデメリットが存在します。

通常の屋根以上に防水メンテナンスに注意が必要

屋上テラスが無い屋根形状であっても、定期的なメンテナンスを欠かすことはできません。日本国内で古くから人気の切妻や寄棟、近年増えている片流れ屋根などでも、雨漏りさせないためには定期的な屋根メンテナンスが必要不可欠になるわけです。
しかし、陸屋根の場合は、屋根としてのメンテナンスだけでなく、防水層のメンテナンスという視点を持っておかなければならないのが大きなデメリットです。屋根メンテナンスに関しても、一般の人からすると馴染みが薄いのですが、防水メンテナンスはさらに放置されてしまいがちです。その上、屋上テラスは洗濯物を干す場所に…ガーデニングに…などと、それなりに利用頻度が高いことから、余計に防水層の劣化が早くなってしまう恐れがあるわけです。

防水メンテナンスを怠ってしまうと、意外に簡単に雨漏りしてしまいますので、この部分は本当に注意が必要です。

まとめ

今回は、木造住宅でも人気になっている屋上テラスのメリットとデメリットについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、屋上テラスが木造住宅に導入され始めたのは本当に最近のことなのですが、コロナ禍に入ってからは、さらにその人気が高くなっているように思えます。

屋上テラスは、第二のリビングとして利用することも可能ですし、狭小地に家を建てることになる大阪や東京などの都市部では、非常にオススメ出来るものだとは思います。ただし、木造住宅にとって、雨漏りの可能性が高い陸屋根は、皆さんが考えている以上にリスクは高いと思っておきましょう。メンテナンスを怠ってしまうと、すぐに住宅内に水が侵入してしまうことになるので、木材が腐食してしまい、一気に家の寿命が縮んでしまう恐れがあるのです。

木造住宅で陸屋根を導入する場合には、他の屋根形状以上の頻度でメンテナンスが必要になるということは覚悟しておきましょう。

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