空き家の売却は急いだ方が良い!?今なら「3,000万円の特別控除」を受けられるかも!

以前、別の記事でもご紹介していますが、少子高齢化や人口減少が進む日本では、年々誰も住んでいない住宅、いわゆる『空き家』が増加しており、さまざまな問題が指摘されるようになっています。2018年に行われた調査によると、その時点で日本の総住戸数の13.6%が空き家状態になっており、なんと7、8戸に1戸は誰も住まない状態で放置されてしまっているのです。

実際に、この記事を読んでいただいている方の中にも、相続した空き家を所有しているけれど、誰も使う予定がないし「その取り扱いに困っている…」という方も多いのではないでしょうか?例えば、建て替えて収益物件に…と考えた場合、相当立地条件が良く無ければ厳しい時代ですし、かといって空き家のまま放置してしまうと、行政執行を受けてしまうリスクが存在します。そのため、親との思い出はあるものの「いっそ売却してしまった方が良いのかな?」と悩んでしまう方が多くなっているのです。

もし現在、あなたが空き家を所有していて「将来的には売却するしかないかな…」とお考えであれば、今のうちに売却してしまった方が良いかもしれませんよ!空き家を所有している方であれば、「空き家(敷地等を含む)を売却した際に3,000万円が控除される制度がある」という情報を耳にしたことがあると思うのですが、この制度は未来永劫続くわけではなく、終わりがすぐそこまで来ているのです。
そこでこの記事では、空き家を売却した際の「3,000万円の特別控除」について、これがどういった制度なのか、また控除はどういった条件なら受けられるのかを簡単にご紹介します。

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『空き家(不動産)』を売却した際にかかる税金とは?

まず「空き家の売却」を検討した際に、大前提として認識しておかなければいけない、売却益にかかる税金をご紹介しておきましょう。

不動産を売却した際には『売却益』が生じる場合があります。売却益とは「売却価格から取得費・経費などを差し引いて、プラスになった部分の金額」を指しています。相続した空き家などを売却する場合でも、売却益が出ると、それに税金(所得税や住民税)が課せられてしまう訳です。

例えば、長年住んでいた家を売却する場合で、どの程度の税額になるのかを参考に計算してみましょう。実際の税金の計算はいろいろと複雑なものなのですが、ここでは分かりやすく、取得費・経費が3,000万円の家で、売却価格が5,000万円であった場合の所得税と住民税(税率合わせて20.315%)の税額をご紹介しておきます。

(5,000万円-3,000万円)×20.315%=4,063,000円

この税金は、実際に住んでいた家でも、相続した家でも同じで、売却益が出れば、かなり高額な税金がかかってしまう訳です。それでは、現在、空き家の売却時に使用できる「3,000万円の特別控除」が適用された場合にはどうなるのでしょうか?以下で詳しくみていきましょう。

「3,000万円の特別控除」ってどんな制度?

それでは、空き家を売却した際に利用できる「3,000万円の特別控除」がどのような制度なのかをご紹介していきましょう。この制度を分かりやすく言えば、一定の条件を満たした空き家を売却した場合、売却によって出た利益(譲渡所得)から「最大3,000万円が控除される」というものです。要は、空き家を売却した際の売却益が「3,000万円以内」であれば、税金が免除になることがあるというのが最大のメリットになります。

例えば、前項でご紹介した不動産の売却例で言えば、売却益が2,000万円ですので、この特例が適用できた場合、売却益全額が控除対象になります。したがって、特例が無い場合には406万円もの税金が課せられていたのに対し、特例によって税金が『0円』になり、非常に高い節税効果を得られるわけです。

なおこの制度に関しては、放置空き家が増加してさまざまな問題が指摘されるようになったことから、2016年に新設された制度となります。正式名称は『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例』といい、本来は2019年12月31日までが適用期限でした。しかし、その後、2023年12月31日までと、期限が延長されていますので、空き家を所有している方で売却を検討しているのであれば、ぜひ利用したい制度だと言えます。

なお、この制度に関しては。適用するための条件が厳しく、複雑な内容となっていますので、以下で適用条件なども詳しくご紹介しておきます。

特例を適用するための条件とは?

それでは、空き家を売却する際に「3,000万円の特別控除」を適用するための条件をご紹介していきましょう。ここまでは、単純に「空き家の売却」と言っていましたが、どのような空き家でも良いのではなく、いくつかの条件を満たしていなければこの制度を適用することができません。

適用条件の詳細については、国税庁のホームページなどで説明されていますが、ここでは分かりやすく単純に適用条件をご紹介しておきます。詳細は、国税庁のホームページにてご確認ください。

> 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

(A)対象となる建物の条件

まずは、特例の対象となるには、建物に関する条件を満たしていなければいけません。建物に関する条件は以下のようになっています。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物
    この特例は、耐震性が低い古い空き家が増えるのを抑えることが一つの目的です。そのため、昭和56年以前、旧耐震基準で建てられた家が対象となっています。
  • 一定の耐震性がある建物である、または建物を解体したうえでの売却である
    この特例は、旧耐震基準の家が対象なのですが、旧耐震基準のまま売却しても適用されません。適用を受けるには「a.一定の耐震基準を満たすリフォームを行う」「b.建物を解体し更地にして売却する」いずれかの手段を選ぶ必要があります。なお、被相続人の生前に、一定の耐震基準を満たすリフォームを行っている場合は、そのまま売却できます。
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
    この部分に関しては「老人ホームなどで亡くなったた場合は?」など、いろいろな疑問が生じてしまいますよね、国税庁のHPなどで説明されていますので確認しておきましょう。

(B)売却の期限について

この特例を受けるためには、「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。」という条件が付けられています。

例えば、2018年6月1日に相続が開始となった不動産であれば、2021年12月31日までに売却する必要があるということです。

(C)その他の要件について

上記の条件が主な要件と言えるのですが、これ以外にも注意すべきポイントがいくつか存在します。

特に注意しておきたいのは、上述した「相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと」という条件で、例えば「空き家で放置するのがもったいない…」などと考えて以下のような対処をすると、特例の適用ができなくなります。

  • 相続以降、相続人などの親族が住んでいた
  • 第三者に賃貸して住まわせていた
  • 駐車場やトランクルームなどにして賃貸していた

分かりやすく言えば、空き家を収益目的などで活用していた場合は、本特例の適用が受けられなくなります。その他の条件として、「売却代金が1億円以下であること」「親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。」など、複雑な要件がありますので、詳しくは国税庁のHPでご確認ください。

制度を利用するかはなるべく早く決断しましょう!

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を受けるためには、以下のような手続きで進めます。

  1. ①空き家を売却する
  2. ②「被相続人居住用家屋等確認書」の申請
  3. ③「被相続人居住用家屋等確認書」の交付
  4. ④売却した翌年に確定申告をする

適用要件を満たしていれば、手続き自体はそこまで難しくないと思います。

ただし、この制度は2023年12月31日までの時限立法ですし、相続があった日から3年が経過した年の年末までに売却しなければならないなど、時間的な制約が存在するということを忘れてはいけません。相続などで不動産を手に入れた場合には、事業用に活用することを検討する方も多いです。しかし、一度事業用に活用すれば、本特例は適用することができなくなりますので、注意が必要です。

事業用での活用と売却に迷った場合には、活用した場合の収支シミュレーションなどをできるだけ早く行い、本当に利益が得られるような土地なのか検討する必要があります。悠長に構えていると、売却しても特例を適用できず、多額の税金を支払わなければならなくなる…なんてことが考えられます。

まとめ

今回は、相続した空き家の取り扱いに困っている方などに向け、空き家の売却時に適用できるかもしれない「3,000万円の特別控除」についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、さまざまな要件をみなさなければならないものの、本特例が適用できれば、非常に大きな節税効果が得られるものです。ただし、2023年までの時限立法になっていますので、誰もが利用できる制度ではないということは頭に入れておいた方が良いでしょう。

現在、相続した古い空き家の取り扱いに迷っている…という方がいれば、まずはむとうの家までご相談ください。むとうの家では、お客様に最適な土地活用方法や、高値での買取などをご提案いたします。

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