新築戸建てと火災保険の関係について。賢く選ぶためにおさえておきたい火災保険の基礎知識

マンションや戸建て住宅の購入・建築をした場合には、購入した建物に火災保険を付帯することが一般的です。しかし、一口に『火災保険』と言っても、契約する会社や保険によって補償内容がさまざまあり、どれを選択するのかによって保険料や万一の際の補償限度額がかなり違ってしまいます。火災保険というものは、大切な建物を守るため、非常に重要な保険となりますので、可能な限り補償内容が充実しているものが良い…と考えるかもしれませんね。しかし、何でもかんでも付帯してしまうと、保険料の支払額が高くなってしまい、不動産購入時の負担が大きくなってしまうのです。

しかもこういった保険については、詳細な部分がいまいちよく分からない…という方も多く、「慎重に選びたいと思うものの、何に注目すれば良いの?」と疑問に思ってしまう方も多いでしょう。そこでこの記事では、新築購入時の火災保険選びに役立つ情報をご紹介します。

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火災保険の基礎知識

それではまず「火災保険とは?」という方のため、火災保険の基礎知識からご紹介していきます。賃貸住宅に住む場合でも、加入が条件になっているのが一般的ですし、火災保険の存在自体は誰もが知っていることだと思います。
しかし、火災保険がどのような場合に適用できるのかについては、意外なほど理解していない方が多いのが実情です。ほとんどの方は『火災保険』という名称から、住宅火災による被害を補償してくれるものだと考えてしまっているのですが、実はこの保険は『火災』だけでなく非常に幅広い補償が特徴なのです。ここでは、一般の方が勘違いしてしまいがちな火災保険の基礎知識を簡単にご紹介しておきます。

火災保険の補償内容について

『火災保険』は、その名称から「火災による被害を補償してくれる保険」と考えていませんか?もちろん、このイメージ通り、火災による被害の補償をしてくれるのは間違いないのですが、実は他にもさまざまな災害についても補償してくれる保険となっているのです。以下に、一般的な火災保険の補償範囲をご紹介しておきます。

  • 破裂や爆発による損傷(分かりやすく言えばガス機器の爆発など)
  • 落雷による被害
  • 風災や雪災による被害
  • 水害による被害
  • 盗難による被害
  • 物体の落下による被害
  • 破損や汚損など

火災保険は、火災と破裂・爆発は必須加入となっており、その他の被害は任意加入となっています。ただし、最近では、風災や雪災、落雷などに関しては、自動的に付帯されているような火災保険もあります。これからも分かるように、“火災”保険という名称になっているものの、火災以外による災害で受けた被害でも、火災保険を適用することが可能なのです。ここ数年、台風の大型化による住宅被害が増えていることから、屋根修理業者などが「火災保険で無料で修理可能!」などと営業をかけているのは、こういった理由があるからです。
この特徴から、火災保険というものは、『住まいの総合保険』などとも言われているわけです。

新築時の火災保険加入タイミングは?

新築戸建てに関わらず、何らかの不動産を購入する場合には火災保険に加入する方が大半だと言われています。実際に、内閣府のデータによると、持ち家世帯の火災保険加入率は「82%」にのぼると公表されています。この火災保険の加入率の高さは、以下のような理由があるからです。

  • 住宅ローンを組む場合、火災保険への加入が必須となるから
  • 火災保険は、幅広い補償内容の割に保険料が安いから

住宅の購入時にはほとんどの方が住宅ローンを組みますが、この場合は火災保険に加入せざるを得ないのが実情です。もちろん、非常に幅広い補償範囲になっていることから、火災保険への加入がネックとなり住宅の購入を諦める…なんて方はほとんどいないと思います。
なお、新築時の火災保険への加入に関しては、不動産の受け渡し日から火災保険の適用をスタートするというのが一般的です。建物の建設中は、施工会社に管理責任があるのですが、受け渡しが完了してしまえば、所有者が管理責任者になるのです。そのため、実際に住み始める時から火災保険をスタートする…などとした場合、「受け渡し日⇒引っ越し」の間に何かあったとしても、誰からも補償してもらうことができなくなってしまう訳です。この部分は特に注意しておきましょう。

火災保険料が決まる要素とは?

次は、実際に加入する火災保険の保険料についてご紹介していきましょう。新築戸建てを購入する場合、ほぼすべての方が火災保険に加入しますが、その保険料は人それぞれ異なるのです。それでは、同じ火災保険に加入するのに、人によって保険料が違ってしまう要素は、どこにあるのでしょうか?
ここでは、保険料を決める重要要素をご紹介しておきます。

①建物の構造や専有面積

戸建住宅を建てる場合でも、構造がいくつか存在します。建物の構造を大きく分けると、『鉄筋コンクリート造』『鉄骨造』『木造』に分類することができるのですが、この構造の違いによって火災リスクが異なることから火災保険料が違ってきてしまう訳です。

一般的に、鉄筋コンクリート造よりも木造の方が火災リスクが高くなります。また、木造は鉄筋コンクリート造よりも、台風や地震などによる災害リスクも高くなってしまうことから、保険料が高くなるわけです。さらに、専有面積が広くなれば、火災による損傷範囲が広くなってしまいますので、専有面積が広くなると火災保険料が高くなります。

②地域特性の問題

諸外国と比較すれば、国土が狭い日本ですが、それでも地域によって災害リスクが異なります。例えば、「自然災害が多い地域か?」などと言った点も火災保険料に関係すると言われています。分かりやすい例を挙げると、日本国内でも台風による被害が多いとされる九州・沖縄エリアに関しては、他のエリアよりも火災保険料が割高に設定されていると言われています。

他には、住宅が密集している地域か?、消化施設が充実している地域か?などと言う点も考慮されるそうです。

③選択する補償内容や特約で保険料が変わる

火災保険は「家財」を補償範囲内に含めることができます。ただし、家財保険を付帯すると、その分保険料が上がってしまう訳です。

他にも、日常生活上で考えられる事故の補償として「個人賠償責任補償特約」など、さまざまな特約があるのですが、こういった特約をどんどんつけていけば、その分保険料は高くなってしまいます。

④補償期間で保険料が変わる

火災保険は、補償期間を1年から選べ、最大で10年までの期間を選ぶことが可能です。そして、補償期間を長く設定することで、月換算の保険料を安くすることができます。

⑤補償限度額が関係する

火災保険は、補償限度額によって保険料が異なります。
補償限度額は、再調達価格が目安になっています。要は、「もう一度建築した場合、いくらかかるのか?」という金額のことで、これによって保険料が変わってきてしまう訳です。

火災保険料を安くするコツ

それでは最後に、新築戸建ての購入時に、少しでも火災保険料を安くするため、みなさんがおさえておきたいポイントをご紹介しておきます。ここまでの説明で、どのような要素が火災保険料に関係するのかが分かっていただけたと思いますし、「保険料を安くするためのコツ」についても、ある程度イメージできると思います。

大まかに分けると、以下の3つのポイントが重要になりますので覚えておきましょう。

10年一括払いが最も安くなる

火災保険は、長期(最長10年)で契約すれば保険料が安くなるとご紹介しましたね。さらに、火災保険料の支払い方法も選択することができ、「一括払い・年払い・月払い」などの種類が存在します。そして、この中でも一括払いを選択すれば、総額の保険料を安くすることができるのです。

契約期間や支払い方法などによる保険料の違いについては、保険会社によって異なる場合もありますが、最も安くなる支払い方を選んだ場合、同じ保険会社の「高額になる支払い方」と比較すると、年間で約2.5倍もの保険料の違いになると言われています。

必要な特約をきちんと選ぶ

火災保険は、火災と破裂・爆発は必須加入ですが、その他の特約は任意加入です。ただし、最近の火災保険は、さまざまな特約が付帯された状態で販売されていることが多いです。したがって、火災保険に加入する前に補償内容をしっかりと確認し、不用な特約が付帯されていれば、それを外すなどと言った事で、保険料を安くすることができるのです。例えば、以下のような感じで必要な特約か判断しましょう。

  • 冬場に雪が少ない地域であれば『雪災』の特約は不要
  • ハザードマップを確認し、水害のリスクが小さいなら『水災』の特約は外す
  • 高価な家財が無いというのであれば家財保険は付帯しない
  • クレジットカードの保険で「個人賠償責任保険」があるというのなら付帯しない

このように、提示された保険の内容が自分にとって本当に必要なのかはきちんと確認しましょう。こういった細かな部分に関しては、火災保険の担当者が教えてくれることが基本ありませんので、自分で判断しなければならないのです。

補償限度額を低く設定する

最後は、火災保険の補償限度額を低く設定するという方法です。上述の通り、これは再調達価格が基準になっています。例えば、「再調達価格×70%~130%」の範囲で補償限度額が決められている場合、最も限度額が低い「70%」を選ぶ方が保険料が安くなるのです。

ただし注意しておきたいのは、補償限度額を低く設定した場合、万一の災害などで建物が損傷した際、保険金だけで補修できない…なんてケースになることも考えられる点です。保険は「万一の時のため」に入るものですから、それを想定してバランスを慎重に考えましょう。

まとめ

今回は、新築住宅の購入時、住宅ローンを利用するのであれば、必ず加入しなければならない火災保険の基礎知識をご紹介してきました。この記事でご紹介したように、何らかの不動産を購入する場合には、ほとんどの方が火災保険に加入しています。しかし、同じ火災保険に加入する場合でも、きちんと自分に合った条件なのかを確認しなければ、無駄に高い保険料を支払っていくことになる可能性があるのです。

こういった保険に関しては、内容が良く分からないことから、保険会社の担当者に勧められるまま契約してしまう方も多いです。しかし、大切なマイホームに何かあった時のためのものですので、自分でもきちんと判断できるよう、基礎知識ぐらいは学んでおくようにしましょう。

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