今さら聞けない都市計画税の基礎知識をご紹介!都市計画税が関係する人ってどんな人?

マイホームを取得する時には、大きなお金がかかってしまいますので「人生に一度のお買い物」などと表現されることがあります。一般の方であれば、ほとんどの場合、住宅ローンを組んで毎月定額を支払っていくという形で購入するのですが、その総額は数千万円単位の金額になってしまうことから、マイホーム購入前には「本当に買っても良いのだろうか」と不安になってしまう方も多いと思います。

しかし、決して忘れてはいけない事実として、マイホームの購入は、その時だけお金がかかるのではなく、購入後もそれなりの金額のお金が出て行ってしまうものということです。例えば、家はどれだけ大切に扱っていたとしても、そこに存在するだけで劣化が進んでしまいますので、定期的なメンテナンスのためにお金がかかります。そして、「マイホームを持っている」という事実だけで、それなりの金額の税金を毎年支払わなければいけないのです。皆さんも、『固定資産税』や『都市計画税』という名称の税金は耳にしたことがあると思うのですが、マイホーム購入後には、毎年この税金を支払う必要があります。

なお、固定資産税に関しては、「なんとなくどういった税なのかわかる」という方が多いのですが、都市計画税は対象とならない人もいることから、「どんな税金なのか分からない?」という方が多いです。そこでこの記事では、マイホーム購入以後に支払う必要があるかもしれない都市計画税について、この税金がどのような税金で、誰が対象になるのかと言った基礎知識をご紹介します。

都市計画税の基礎知識

それでは、都市計画税の対象となる方は、どういった条件の方なのかを簡単にご紹介していきましょう。都市計画税という名称から「大阪や東京など、大都市に住んでいる人に課せられるの?」と感じてしまう方も多いようですが、そのような不公平な税金ではありませんよ。ここでは、都市計画税の対象など、基礎的な部分をご紹介しておきます。

都市計画税の対象者について

都市計画税は、都市計画事業や土地区画事業の費用に充てることを目的とした市町村税となります(東京23区は都税)。

この税金の対象となるのは、「市街化区域内に土地や家屋を持っている人」で、条件に当てはまると毎年課せられる地方税です。「市街化区域内」という部分は後述するとして、都市計画税は、市街化区域内にある土地や家屋の所有者に課せられるもので、税額は課税標準(土地または家屋の固定資産税評価額)に税率(0.3%の制限税率)を乗じた金額となります。税率については、自治体によって多少異なる場合もあるのですが、0.3%を超えることはありません。

市街化区域内とは?

市街化区域は、都市計画法が指定する「都市計画区域」の1つとなります。なお同法で以下のように定義されています。

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
引用:e-Gov|都市計画法

要は、すでに住宅や商業施設などが立ち並ぶ市街地になっているような地域や、自治体が10年以内に優先的に市街地にしていこうと計画していて、道路や下水道、公園などと言った都市機能や施設の整備を積極的に進めているような区域が『市街化区域』となります。そして、この市街化区域内の土地や建売を購入して取得した場合に、都市計画税が課せられてしまう訳です。

日本国内では、年々市街化区域が増加し続けていると言われており、国土交通省の「令和2年都市計画現況調査」によると、全国に存在する市街化区域は「145万1864ha」に上るとされています。自分が購入を考えている物件が、市街化区域に含まれているのかを調べたいときには、自治体の窓口や不動産会社に確認すれば分かります。

固定資産税との関係について

都市計画税は、固定資産税とセットにされ『固都税』などと呼ばれるように、両者は切っても切れない関係にあります。ここでは、固定資産税と都市計画税の関係性についても簡単に解説しておきます。

固定資産税と合わせて納税する

都市計画税は、原則として「毎年1月1日時点で、市街化区域内に土地や家屋を所有している人に課される」もので、4~6月の間に管轄の自治体から納税通知書が届きます。そして、その納税通知書にしたがって、固定資産税と合わせて納税する形になっているなど、固定資産税と深い関係がある税金になります。

なお、都市計画税は「市街化区域内に土地や家屋を持つ人」のみが対象となる税金なのですが、固定資産税は「毎年1月1日時点で、固定資産(土地、家屋、償却資産)を所有している方全員」に課せられるものです。ただし、所有者や用途によって非課税・減免などの措置があったり、課税標準額によって税金がかからなくなる免税点があったりします。固定資産税の特例措置に関しては、以下のような制度になっています。

  • 非課税対象について
    公衆用道路、公園、学校施設、社会福祉施など、国や地方公共団体が所有しているもの、または学校法人、社会福祉法人などが所有しているもので、本来の用途に使用されていて、地方税法で定められているもの
  • 減免対象について
    公民館、児童館、運動広場、火災にあった家屋など、地方自治体の条例などで免除、減額対象とされたものです
  • 免税点について
    免税点は、同じ人が所有する土地、家屋、償却資産について、それぞれの課税標準額の合計額が、定められた条件に満たない場合、課税の対象とならないというものです。それぞれの免税点は、「土地:30万円」「家屋:20万円」「償却資産:150万円」と決まっています。

固定資産税は、所有する固定資産の評価額に「標準税率(1.4%)」を掛けることで算出されるのですが、上記のような特例が設けられています。なお、課税標準となる「固定資産税評価額」については、各市町村が算定する固定資産税の基準となる価格のことです。これは、総務省が定める固定資産評価基準に基づき自治体が算定しますので、自分の家の評価額を自分で決めることなどはできません。土地については、地価公示価格の70%程度が一般的だと言われています。なお、家屋に関しては、その家を再建築する場合にかかる費用と家屋の劣化などを考慮して決定していると言われており、建築費の5~7割程度の価格になるのが一般的です。
この固定資産税評価額は3年ごとに見直しされることになっています。

都市計画税の計算例について

このように、都市計画税は固定資産税と非常に密接な関係があることから『固都税』などとセットにされることが多いです。もちろん、都市計画税は、固定資産税と異なり、市街化区域内にある土地や家屋のみが対象ですので、この税金は関係ない人も多いです。

ただし、都市計画税の対象となっている方は、固定資産税と合わせて納税しないといけないということは頭に入れておきましょう。都市計画税の計算式は、「課税標準(固定資産税評価額)×税率(0.3%の制限税率)」で算出できますので、あらかじめいくらぐらいなのかは計算しておくと良いと思いますよ。
例えば、固定資産税評価額が3,000万円の土地を所有している場合であれば「3,000万円×0.3%=9万円」という都市計画税を課せられることになります。なお、税率に関しては自治体によって異なる場合があります。

まとめ

今回は、マイホームの取得後に課せられてしまう可能性がある都市計画税の基礎知識について解説してきました。固定資産税に関しては、個人が不動産を手に入れた場合、必ず課せられるものですので、その存在を認識している方がほとんどだと思います。しかし、都市計画税に関しては、対象となる人とそうでない人がいるので、家を購入する前には、住み始めてからどんなコストがかかるのかきちんと調べておくのがオススメですよ。

固定資産税や都市計画税は、基準となる金額が非常に大きいことから、なかなか大きな負担になる税金です。家の購入時には「住宅ローンがギリギリ払える範囲の家」など、少し無理して憧れを詰め込んでしまう人がいるのですが、そのような場合、家のメンテナンスコストや税金などの維持費が大きな負担となってしまい、生活が苦しくなる…などという本末転倒な事態を招いてしまう恐れがあります。家は、購入して終わりなのではなく、その後も継続的にお金がかかるものだと最初から頭に入れておきましょう!

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